2009年05月26日

花形4人×2役 「小笠原騒動」

ogasawara1.jpg南座五月花形歌舞伎 本日千穐楽、おめでとうございました。
千穐楽までレポを書くのを控えていた訳ではないのだけど・・。

南座五月花形歌舞伎 
「小笠原諸礼忠孝 通し狂言 小笠原騒動」 五幕十場

出演: 中村橋之助 片岡愛之助 中村勘太郎 中村七之助  中村壱太郎 上村吉弥 市村萬次郎 ほか

5月17日(日) 11:00am 南座 1階5列センター

ストーリー: 豊前の国 小笠原家。執権 犬神兵部(中村橋之助)は愛人お大の方(中村七之助)を小笠原豊前守(中村勘太郎)の側室にしてお家乗っ取りを画策しています。忠臣 小笠原隼人(片岡愛之助)は、豊前守が狩で白狐を射ようとするところを諌め、乱れた藩政について進言しますが、逆に閉門を言い渡されてしまいます。その時隼人に命を助けられた白狐は奴菊平(片岡愛之助)となり、兵部に命を狙われた隼人の危機を救います。一方、足軽の岡田良助(中村橋之助)は兵部に加担し、隼人から密書を託されたお早(中村七之助)を殺し密書を奪いますが、お早の怨霊にとりつかれた末に自らの愚かさを悟り改心するものの、母・妻・娘を一度に失ってしまいます。妻のお早を殺された飛脚の小平次(中村勘太郎)は、水車小屋で激闘の末、良助を討ちますが、断末魔の良助から遠江守へ届ける兵部一味の連判状と訴状を託されます・・・。


10年前、南座で復活狂言として上演され話題を呼んだという演目。
中村橋之助を中心に、花形4人が主要キャストを2役ずつ演じて、若さあふれる中に、早替り、宙づり、本水を使った立ち回りとケレンたっぷり、良助一家の悲劇を描いて涙を絞る場面もあり、大詰は花四天登場の大捕物で賑々しく、と歌舞伎の見どころ、楽しさ満載、花形役者の熱気が感じられる舞台でした。勧善懲悪のお家騒動に白狐伝説をからませたストーリーはおもしろくも明快で、それぞれの2役も混乱することなく、口跡のよい役者さん揃いでセリフも聴き取りやすくて、幅広い層が楽しめる親しみやすい演目となっています。

しかしながら、いく分冗長に感じる面があり、もう少し凝縮して緊張感を途切らせることなくテンポアップできそうに思えました。幕間も1回は減らせそうです。これは一昨年の「霧太郎天狗酒もり」の時にも感じましたので、やはり復活狂言の宿命というか、たとえば「勧進帳」のように何百年も脈々と、しかも絶え間なく演じ続けられ、役者にも観客の目にも晒され続けることで磨き上げられ完成された戯曲との違いとも言えるでしょうか。今後のブラッシュアップに期待というところかな。

水車小屋の良助と小平次との立ち回りの場面。この舞台の目玉のひとつになっていて、本水を使った立ち回りは迫力も見応えもあり、客席も大いに沸いていましたし、観ていて楽しい場面ですが、役を逸脱して素の“橋之助” “勘太郎”が見え隠れするような演出はいささか興醒めで個人的には好みではありません。お客様を楽しませようというサービス精神は買いますが、あくまでも芝居・役に則った上であるべきと考えます。お二人ともきっちりした芝居、立ち回りが出来る役者なので、なおさら惜しい気がしました。

役者さんで一番印象に残ったのは、お大とお早の2役を演じた中村七之助。2役の演じ分けはもちろん、特にお大の冷酷な美しさは登場の場面から際立っていました。自ら親を殺してしまうような悪女ですが、情夫の兵部の前では色っぽい女の顔、豊前守の前ではブリッコ風、と一つの役で何通りもの表情を見せるところにも感心。七之助くん、本当に成長著しいなぁ。あんまり綺麗だったので、お大の舞台写真買っちゃいました。父親を赤い腰紐で絞め殺すコワ~イ場面なんだけどあせあせ(飛び散る汗)

舞台写真といえば、片岡愛之助の奴菊平。「義経千本桜」の「四ノ切」の狐忠信みたいな狐姿の舞台写真が、狐色(ってか、金髪?)の髪と黒髪のと2枚出ていたので、「あらま、珍し」と狐色のを買って、いつ出てくるか楽しみに観ていたところ、黒髪の方しか出て来ませんでした・・・へ?いつからか鬘変えたってこと?;・・・ま、それはともかく、小笠原隼人(はいと)は賢明で誠実で忠義の家臣で、愛之助さんにぴったりの役でした。相変わらずよく通るいいお声だし、凛々しいお顔立ちだし、狐になったり人間に戻ったり、早替りもとても鮮やか。隼人が豊前守の放った矢を素手でつかむ場面があるのですが、ここは前日観た宝塚の「オグリ!」の演出の方がかなり上手(うわて)。小道具使いと言ってしまえばそうだけど、歌舞伎の演出の先生もたまには宝塚ご覧になったらいいと思いますよ。

そして、中村勘太郎の充実ぶり。出番少な目ながらくっきり印象に残るところはさすがです。どんな動きも芯がぶれず、指の先まで神経が行き届いた美しい所作が目をひきます。小平次の花道七三での見得は気迫に溢れ、型も美しくてホレボレ黒ハート 少し逞しくなられたようで、ふとした表情や声が驚くほどお父様の勘三郎さんに似ている時があって、ハッとしました。

若手を引っ張ってこの舞台をまとめ上げた中村橋之助の求心力にも敬服。本来良助が持ち役ということですが、大詰の兵部も全身から悪を発散させ、スケール感もあり華やかでとてもよかったです。
加えて周りを取り囲む花四天たちの小気味いいトンボや立ち回り。あの高い梯子のてっぺんで「ひゃ~目」と驚かせてくれたのは、いてうさんかな?目も耳も心も、最後までたっぷり楽しませていただきました。


一番お気に入りは隼人を迎えに来た供揃いの行列が一斉に狐に変身する場面 のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 493 わーい(嬉しい顔) vs 492 ふらふら)
posted by スキップ at 23:53| Comment(10) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同じ日時にスキップさんのお席の真上の3階でみてました!あの日のお芝居をもう一度みれたような気になるレポありがとうございます。
髪が狐色だった日にもみたので、次にみたときに突然現れたことより髪が黒いのにびっくりしましたよ~。
Posted by 火夜(熊つかい座) at 2009年05月27日 08:38
>役を逸脱して素の“橋之助”“勘太郎”が見え隠れするような演出はいささか興醒めで・・・
あ~~~~・・コレ分かりますっ!!めっちゃ!!
やりすぎって・・本当引いちゃいますよね!
2月の花形の獅童君観てそう思いましたもん。
ただっ!一列目・・だと
も~~~~そんなの関係ねえ!状態になってしまいました(笑)
ひじょ~~~に、よくない観客の私!!ははは!!
何列目なら許せて、何列目からなら許せないのだろう?
一度、自分を試してみたいです(笑)
それにしても、勘太郎君素敵でしたね~!
Posted by かずりん at 2009年05月27日 09:01
スキップさま♪
こんにちは☆
行った人も行けなかった人も楽しめる、スキップさまのブログの勝手なファンなので、
南座、いらっしゃらなかったのかしら~(涙)とやきもき(?)していました!
よかった♪スキップさまのおかげで、しっかり楽しむことができました♪どうもありがとうございます!
昨日の千穐楽に遠征した先輩が、「お土産」って筋書と七之助さんの舞台写真数枚。そのうちの一枚は、スキップさまもお買い上げの、お大の方が父親を殺すところ!
ますます惚れました☆明日のコクーンのチケット取り、ガンバルゾ~!
Posted by 菜々子 at 2009年05月27日 20:27
♪火夜さま

まぁ、同じ日だったのですね。
3階と1階で同じ感動を味わっていたなんて、何だかうれしいです♪

>次にみたときに突然現れたことより髪が黒いのにびっくりしましたよ~。
あはは。そうですよね~。
私は、狐さんが去った後も、狐色の髪の狐さんがまた出てくるのだと
しばらく思っていました(笑)。観たかったわぁ~。
Posted by スキップ at 2009年05月28日 06:38
♪かずりんさま

二月花形・・・「吹雪峠」ですね。あれも確かに、でしたね(笑)。

>何列目なら許せて、何列目からなら許せないのだろう?
一度検証してみないといけませんね。
毎日同じ演目を前から1列ずつ後ろにずらしながら観るとか?(笑)
勘太郎くん、たくましく男っぽくなりましよね。
これも愛のチカラかしら!?
Posted by スキップ at 2009年05月28日 06:42
♪菜々子さま

こんにちは。
お立ち寄りいただき、また、過分なお言葉、ありがとうございます。
とてもうれしいです♪

七之助くんのお大のあの写真、ほんとにキレイでしたよね。
うふふ、これからあの写真を見るたびに菜々子さんのことを
思い出しそうです。
大竹しのぶさんをして、「ライバルは七之助です」といわしめた
コクーンの「桜姫」。楽しみですね。
Posted by スキップ at 2009年05月28日 06:47
>スキップさま
>特にお大の冷酷な美しさは登場の場面から際立っていました。
七之助丈は豪華な衣装がお似合いです。悪女の方がくっきりしておられますね。
花形歌舞伎は毎年楽しみにしています。京都では、どうしても、おおどか、鷹揚、おっとりとなります。どうぞ、大御心での御見物を…。
あ、写真買いに行かへんかった。あほやった。
Posted by とみ at 2009年05月28日 22:31
♪とみさま

七之助くん、大人のオンナになりましたね~。
華やかな衣装に負けない美しさをお持ちですので、これから
どんな役を見せていただけるか楽しみですね。
揚巻とか似合いそうです。

>どうぞ、大御心での御見物を…。
うふふ。もちろんです。
老婆心で多少の小言は申しますが、進取の気象にあふれ、
自分達でつくっていこうという熱意が感じられる花形歌舞伎
は私も大好きです。
昨年は1年間飛びましたので、願わくば毎年京都に来ていただきたいですね。
Posted by スキップ at 2009年05月28日 23:31
>スキップ様
 カメコメントに成っちゃいました。遊びもいいけど程度がねと思っていたどら猫の同志がいてくれて嬉しいです。楽しいかもしれないけど、芝居が壊れるのはど~かなと思うもので。
 七之助さんの女っぷりは上がりましたね。どら猫もお大の時は、おおぉって思いました。どんどん奇麗になって行きますね。
Posted by どら猫 at 2009年05月30日 01:59
♪どら猫さま

カメでもうさぎでもうれしいです。コメントありがとうございます。
あの水車小屋の場面は観ていて楽しかったし、みなさん好意的に
受けとめていらっしゃるようでしたが、ちょっとなぁ~と感じました。
私の方こそ、どら猫さんのような同志がいてくださって心強いです。
七之助くんのお大、ほんとにキレイでした。
セリフ回しとか声も女方としてとても自然になってきたように感じられて
これからどんなお役を見せていただけるか、ますます楽しみです。
Posted by スキップ at 2009年05月30日 11:29
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