2008年11月18日

親子二代の「人間豹」目撃!

ayashi.jpg「親子二代」と言っても、幸四郎さんと染五郎さんのことではなくてね・・・。

国立劇場 11月歌舞伎公演
「江戸宵闇妖鉤爪」(えどのやみあやしのかぎづめ)
― 明智小五郎と人間豹 -
市川染五郎大凧にて宙乗り相勤め申し候

作: 江戸川乱歩「人間豹」より
脚色: 岩豪友樹子   
演出: 九代琴松

出演: 松本幸四郎  市川高麗蔵  市川春猿  
市川染五郎  澤村鐵之助  松本錦吾 ほか

11月16日(日) 11:30am 
国立劇場大劇場 1階4列センター


カフェの女性やレビューの踊り子などを次々と手にかけるヒョウのような猟奇殺人鬼を明智小五郎が追うという江戸川乱歩の原作を、舞台を幕末の江戸に置き換えた新作歌舞伎。同心という設定の明智小五郎を松本幸四郎、人間豹の恩田乱学と人間豹に恋人を殺される神谷芳之助の2役を市川染五郎が演じます。

多分、演劇評論家のエライ先生とか、厳しい目をお持ちの歌舞伎通の方とか、はたまた江戸川乱歩ファンからすれば、ご不満は多々おありのことと拝察いたします。さすがにミーハーの私でさえストーリー展開や演出にツッコミたくなる場面は散見しました。が、しかし、もうそんなことは全部許す!と思えるくらいとても楽しめました。カブキ者がカブいてケレン味たっぷり・・・この作品、まさに歌舞伎じゃない!

とにかく染ちゃんカッコイイハートたち(複数ハート)のひと言。
全身黒づくめで隈取り風メイクの人間豹 恩田乱学。スピーティで軽い身のこなし。元々所作や動きの美しい人ではありますが、ワイヤーアクションやジャンプやと大技を使っても乱れないカタチ。身体能力の高さを見せつけてくれます。大詰めの宙乗りも「歩道橋でも震えるくらいの高所恐怖症」にはとても見えないほど迫力たっぷりであの高い空中でもほんとに絵になる姿。歌舞伎の宙乗りは数々見てきましたが、誰もがこんなに美しい形をキープできる訳ではありません。色男の神谷芳之助との声音まで変えた演じ分けも見事で、2役を通しての華のある役者ぶりは、これまで歌舞伎の舞台はもちろん、新感線や大人計画、そして映画やドラマなど“外部”出演で培ってきたものが血となり肉となって活きていることを感じます。早替わりも鮮やかに見せてくれますが、色男の芳之助の美しい顔が一瞬にして恩田の隈取り顔に替わったのには驚きました。(前日演舞場で観た「龍虎」にも同じような場面がありましたが、あちらは見ていて仕掛がバレバレだったから)

惜しむらくは、あまりにカッコよすぎて、おどろおどろしい殺人鬼とか、得体のしれない不気味な怪人とかいう雰囲気に些か乏しいこと。クライマックスの明智との対決では、その魂の叫びのようなセリフにも共感できて、悪者とわかっていてもつい味方したくなっちゃいます。遊び人で女に好かれる神谷芳之助と異形に生まれ愛に飢えた恩田乱学-この2役を市川染五郎が演じることで、二人は表裏一体 人間の光と影、どちらかがまた他方になり得たかもしれないという最後の明智たちの語りが説得力を帯びています。

「うーん、満足」と出てきた終演後のロビーで談笑する高麗屋ファミリーの中に染ちゃんJr.齋くん発見。お母様の後ろにかくれて恥ずかしがっているご様子でしたが、まわりを取り囲んでいた方々が去った後、歩きながら小さな両手を広げて脚を踏ん張ったあのカタチは・・・今観たばかりの人間豹目 お父様のお稽古や舞台を観て覚えたのね~。人間豹の型を完璧にコピーして今にもガォーと吼えそうでした。齋くんカワイ過ぎムード&DNAすご過ぎ。さらに、その様子を満面の笑みで見守るおばさん(つまり私たちのことね)の視線を感じたのか、お母様に連れられて楽屋へ向かいながら、こちら目線で飛び六方まで披露してくれました。いやいや末恐ろしい役者魂。
いっくん、おばちゃんたち、いっくんが大きくなって舞台で「人間豹」やるまでがんばって長生きするから、早くいっぱい舞台に出てね~わーい(嬉しい顔)

hyo.jpgこちらはプログラムの表紙です。
この豹はまさにレオパード柄ですが、人間豹はまれに現れる斑点のない真っ黒の黒豹。それで思い出した昔流行った動物占い
「ワタシ、動物占い、黒ひょうだったのよぉ」と一緒に観たファザコンサリーちゃん。「え~、ワタシも黒ひょう!」と二人で大いに盛り上がりましたが、何か?



できることなら、宙乗りが向かってくる2階席からもう1回観たかったなぁのごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 407 わーい(嬉しい顔) vs 406 ふらふら)
posted by スキップ at 01:38| Comment(8) | TrackBack(3) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
齋くん・・・を目撃できなかった私は
時分のトイレ体質を恨みましたねっ!(プンプン!!)
お二人の楽しそうな会話の横で「くそぉう!」って
涙を流してたんですよ~~。え~~ん。バカ私。
・・・なんか、こういうの縁がない人間なんでしょうねえ。
・・・でも、まあ・・本当に素敵な染五郎様を拝見できたので・・・それは忘れます。
乱歩作品って面白そうですよね。案外、深い・・・というか。
ストーリー終盤は、考えさせられる所ありましたよね。・・宙乗りで飛んじゃったけど(笑)
Posted by かずりん at 2008年11月18日 09:22
ちび豹が出現しましたか!いいなあ。

好みな内容なのに行けなくて残念。
Posted by 火夜(熊つかい座) at 2008年11月18日 12:45
♪かずりんさま

かずりんさんをお待ちしていたお陰でいっくんのあんなシーンを
目撃できたので、これもかずりんさんのお陰です(笑)。
でも今度はナマ染ちゃんに間近で会えるからうらやましいワ。
江戸川乱歩は私もドラマや映画でしか観たことがないので
一度読んでみようかな、と思いました。
「乱歩歌舞伎」来年10月の再演も決まったことだし、
また国立でご一緒しましょう(・・・って鬼が笑うどころじゃないですね)。
Posted by スキップ at 2008年11月20日 03:22
♪火夜さま

「ちび豹」(~o~) まさしくそんなカンジでした。
かっわいかったですよ~。

舞台もとても楽しめました。
「乱歩歌舞伎」として来年にも続けられることが
決まったそうですから、火夜さんも来年はぜひ!
Posted by スキップ at 2008年11月20日 04:18
スキップさんと某かずりんさんの感想を読んで、
すっごく羨ましく思っていた私。
今からチケットなんて取れないよなぁ~、なんて思っていたら、
社内で千秋楽のチケットを譲ってくれる天使が現れ、
急遽観に行けることになりましたー!(笑)

もう会社なんて休みますわ。
宙乗り姿の染様の足しか見えなくなくてもいいですわ。(笑)
たっぷり堪能してきまーっす♪

素敵な感想読ませてくれて、ありがとう♪
Posted by 麗 at 2008年11月21日 00:20
♪麗さま

まぁ!千秋楽だなんて、いいなああああああぁ、うらやましいワ。
「朧」のライのことを愛してくれた(?)麗さんならきっと
人間豹・恩田にもシンパシーを感じていただけると思います。
もつべきものはチケットを譲ってくれる同僚ですね(笑)。
ご感想を読ませていただくのを楽しみにしています。
Posted by スキップ at 2008年11月21日 04:19
自分の感想書けたので、再びコメントなんぞ。(笑)

>とにかく染ちゃんカッコイイのひと言。
いやぁ~、ほんとにこの一言に尽きますね♪
スキップさんのこの感想を読んで、「観に行きたい!」って、
思った位ですから。(笑)
鼓あり、踊りあり、宙乗りにワイヤーアクションと、
染様の魅力を120%(200%?)引き出したこの舞台は、
本当に素晴らしかったです。

>この2役を市川染五郎が演じることで、(中略)明智たちの語りが説得力を帯びています。
これ、カーテンコールで幸四郎さんも語ってました。
「この役は染五郎にしか出来ない!」って♪
本当にその通りだわ♪って頷いてましたよ。(笑)

あれこれ書きたい事があり過ぎて、
感想がめちゃくちゃ長くなってしまったのですが、、、
お時間のある時にでも覗きにきて下さいませ♪
Posted by 麗 at 2008年11月30日 23:44
♪麗さま

超大作レポ、早速読ませていただきました。
麗さんの感動と染ちゃんのカッコよさがヒシヒシと伝わってきました。
ほんとにステキでしたね~。
できることならもう1回観たいです。それも舞台中継とかではなくナマで(笑)。

>「この役は染五郎にしか出来ない!」って♪
そんなふうに認め合える親子関係っていいですよね。
父親としても役者としても尊敬できる先輩が身近にいる染五郎さんは
幸せ者ですね。
Posted by スキップ at 2008年12月01日 01:24
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