2008年10月13日

今さらですが 「悪夢のエレベーター」



IMG_4135.jpg吹越満出演っていうことだけで無条件に観ることを決めたので、原作が何とか共演者が誰とか、まして演出がダンカンだなんて、カーテンコールで登場するまで全く知りませんでした。もちろん内容は言わずもがなです。


「悪夢のエレベーター」
9月28日(日) 2:00pm シアター・ドラマシテイ 1列センター

原作・脚本: 木下半太 
演出: ダンカン
出演: 吹越満  片桐仁  中村倫也  高橋真唯



とあるマンションの故障したエレベーターに閉じ込められた男女4人-ヤクザふうの男(吹越満)、バーの副店長(片桐仁)、オタクらしき青年(中村倫也)、自殺志願の女子高生(高橋真唯)。
バーの副店長 小川は臨月の妻から電話で「産まれそう!」のSOSを受け、急いで帰宅しなければならない状況であること告げ皆に助けを求めますが、次第に明らかになる他の3人の正体・・・。


エレベーターという密室に閉じ込められた4人が繰り広げるサスペンス・コメディ。
え、そうだったの?という意外な展開あり、どんでん返しあり、綿密に張られた伏線が最後に合致してちょっとゾッとする結末まで、かなり楽しめました。コメディの部分も無理なく笑えてマル。舞台装置もよくできていて、エレベーターの扉があるだけで左右の壁はなく、ライトがあたった空間だけがエレベーターの中であることを表わしていて、役者さん達はそこに壁があるかのようにライトの中から出ることはなく、密室感がよく出ていました。後半はその密室から出ていくことになる訳ですが、このあたりからかなりホラー色濃くなって芝居は加速度を増して行きます。

ただ、演出的には幾分過多というか、もう少し削ぎ落とせそうな印象です。小川以外の4人の正体が判るまでのエレベーターの中の場面は、笑いを散りばめてはいるものの、このままいつまでこれが続くんだろう、このままでどんなふうに結末まで持っていくんだろう、と長く感じられました。
その心配はいい意味で裏切られましたが、その“仕込み”のバーの場面を延々と見せられるのもちょっと興醒め。あれくらいのことはそれまでの演技やセリフで見せていただきたいし、それらから感じ取るくらいのイマジネーション、私たち観る側も持っています。片桐仁の管理人(2役)も怪演ですがちょっとクドイ。
ですが、そのバーの場面での中村倫也のオカマのマッキーはほんとにカワイくて活き活きしていて、観ていて楽しかったです。「オカマの6割は水分、3割はヒステリーでできているのよ」「あとの1割は?」「ジョージ・クルーニーを思う気持ちよぉ」わーい(嬉しい顔) どこかで観た美形だなぁ、と思っていたら「恋の骨折り損」にも「さらばわが愛 覇王別姫」にも出ていたのですって。「覇王別姫」なんて、小四役です。後ろの方の席だったし、あの頃は「友也」って名前だったから気づきませんでした。

お目当ての吹越満。
ソロアクト以外の舞台で吹越を観るのは久しぶりと思っていたら、6年ぶりなのだそうです。「エレファント・バニッシュ」以来かな?
声を張っている感じでもないのにはっきり聞き取れるセリフや間の良さは相変わらずで、とぼけた味もシリアスも、硬軟自在といった演技はさすがです。ヤクザの話す大阪弁が吹越には珍しくビミョーなイントネーションだなぁ、と思っていたら、「大阪のヤクザのふりをしている」ことを表わすためにわざとだったことが後でわかりました。カーテンコールの時、「大阪でやるの緊張するんだよね~」っておっしゃっていました。


一番印象に残ったのは、陽子(高橋真唯)の自殺を止めようとする富永(吹越満)とのやり取り:
スペード 「これから先、生きていれば・・・」
ダイヤ 「いいことあるの?」
スペード 「いや、いいことはあまりない。むしろイヤなことばかりだ」
ダイヤ 「やっぱりいいことなんかないんじゃない。死んだ方がマシよ」
スペード 「だけど今よりもっとずっとイヤなことがあれば、今の悩みなんて大したことないと思えるぞ」

・・・そうそう、たとえば中学や高校の頃の悩みなんて、今思うと全然大した悩みじゃない。
でもその時は、その時の自分には、それがどんなものより大きな悩みだったりするのよね~。


位置情報 カーテンコールで登場したダンカン。「千秋楽なのでお土産を」って手にはTシャツを持っていました。それは片桐仁さんのものでご本人には無断で持って来た模様。仁さん「だめですよ、僕今日何着て帰ればいいんですか」って大いにアセッていましたが、最後には客席に投げてくれました。続いてダンカンさんはかぶっていたキャップをスロー。

位置情報 そのカーテンコールは千秋楽だからって一人ひとり感想を話して、結構長かったです。
吹越さんなんて、「1ヵ月間稽古を重ねて作り込んできた芝居の最後がこんなグダグダのトークショーみたいになって・・」ですって。

IMG_4156.jpg位置情報 プログラム(一番上の画像)は装丁も厚さもちょっと三流週刊誌ふう。ほぼ半分位が作者の木下半太さんの文なのですが、その中で、木下さんがつい最近まで劇団の傍ら大国町でバーをやっていたというお話があって、見開き2ページにこんな文字が。
大国町って、とってもディープな街だけど、私にとってはかなり思い入れのある場所。ちょっと木下さんを身近に感じたりもしました。



吹越さん富永、好物はサバとエクレアのごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 391 わーい(嬉しい顔) vs 397 ふらふら)


posted by スキップ at 02:16| Comment(6) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スキップさま、こんばんは♪

実は私はこの本を読んでます。
文庫になっていますよね。
ストーリー展開は面白く読んだのですが、最後のほうがやっぱり文章で読んでもスプラッタ的怖さがあり(笑)、「あ~、これは観られないかも・・・」と思った記憶が^^;
Posted by sakuraya at 2008年10月13日 23:08
♪sakurayaさま

原作お読みになったのですね。
以前テレビドラマ化もされているらしいのですが。
どこまで原作に忠実に演出されているのかわからないのですが、
確かにちょっとうっとくるスプラッタな場面もありました。
客席から「ひゃ~」って声があがっていましたもの(>_<)
Posted by スキップ at 2008年10月14日 01:38
こにちはぁ~。
吹越さんのうそっこヤクザさん、そっかぁ~、怪しい大阪弁だったのですねっ。
台詞も聞き取り易かったし、変幻自在な役者さんですよねぇ。
自殺を止める時の言葉、私もアレ好きですっ。
「これから良い事があるよ」とか言われるより、変に納得できちゃったり
するところが面白いですよね。
Posted by とぐろ at 2008年10月14日 18:08
スキップさん♪
そうそう、中村君はおキレイでしたよね!お肌もピチピチでした(笑)。

私は仁さんがあんな事になってしまっても、「なんちゃってー」
って言って起き上がるんじゃないか?ってずーっと待ってました(笑)。
私もあの自殺を止めたときのセリフは「なるほどね」って思いました!
ある意味名言ですよね。
Posted by みんみん at 2008年10月15日 00:12
♪とぐろさま

あは。吹越さんはかなり自然なイントネーションの関西弁を
話せる人だと思うのですが、富永の大阪弁はちょっとムズムズ
する気持ち悪さでした(笑)。わざとだったとわかって安心しました。
陽子の自殺を止めるセリフは私も妙に納得しました。
確かに、大人になればなるほど、生きていてもツライこと
の方が多いですものね~(?)
Posted by スキップ at 2008年10月15日 01:30
♪みんみんさま

中村倫也くん、ほんとにキレイで、あのオカマは地なのかと
思うくらいでした。またオールメールシリーズでも活躍して
いただきたいですね。
仁さんは二役ともあんなことになっちゃって・・・管理人さんの方は
ちょっと「なんちゃってー」っぽかったですね。
あの自殺を止めるセリフは富永だから説得力あったのかも
しれませんね。そんなに楽しい人生でもなさそうだし(笑)。
Posted by スキップ at 2008年10月15日 01:37
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