
1月13日(日) 12:10 梅田ピカデリー3
作: 木村錦花 脚色: 平田兼三郎 脚本・演出: 野田秀樹
出演: 中村勘三郎 中村福助 中村扇雀 市川染五郎 中村勘太郎 片岡亀蔵 中村七之助 中村獅童 坂東弥十郎 中村橋之助 坂東三津五郎 ほか
平成17年5月歌舞伎座公演を収録したものです。同年7月大阪松竹座で十八代目中村勘三郎襲名披露興行として観ましたが、中村獅童が出演していなかった以外はほぼ同じ配役のようでした。
赤穂浪士討ち入りのニュースに世間が沸き立つ頃、近江・粟津藩。守山辰次(中村勘三郎)はもと研屋の町人で武術は全くできませんが、その達者な口で主君や奥方(中村福助)に取り入っていました。ある日、家老の平井市郎右衛門(坂東三津五郎)に剣術の稽古で散々打ち据えられた辰次は腹いせにちょっとした仕返しを計画しますが、思いがけず市郎右衛門が死んでしまい、彼の二人の息子(市川染五郎・中村勘太郎)に仇討ちの対象として命を狙われることになります。
躍動感あふれる舞台の魅力は映像になってもあせることなく、約2時間の上映時間があっという間で、全く飽きさせません。映像の利点のひとつは、役者さんの表情がアップで観られることですが、いつもとても表情豊かでとびきり大熱演の中村勘三郎は、その意味では映像向きと言えるでしょう。そして周りに映り込む役者さんたちにも、あ、ここにこの人が、とか、この時こんな表情していたんだ、など改めて気づくことも多々あって、とても見応えがありました。憎まれ役を実に楽しそうに演じている平井市郎右衛門の坂東三津五郎、大真面目にやっているのがかえっておかしさを誘う奥方萩の江・中村福助、あけてびっくり怪演のからくり人形・片岡亀蔵などいずれ劣らぬ熱演です。
ワタシ的には一番のツボでもう1回観たいと思っていた、平井九市郎・才次郎兄弟(市川染五郎・中村勘太郎)の道場の場でのスピード感と迫力あふれる申し合いをまた観られただけでも大満足。踊りの名手でもあるこの二人は、この場面ばかりでなく、いつも所作や姿形が本当に綺麗でホレボレしてしまいます。
野田秀樹は、全体に笑いを散りばめたストーリー展開の中で、群集心理という暴力とか、ひとつの流れに付和雷同してしまう群集の愚かしさなどにアイロニーを込めているようです。辰次のセリフ「これを斬るのは俺の手だが、これを斬らせるのはあの声だ。」「私はこのご兄弟ではなく、皆さんに殺されるような気がします。」などがそれを象徴しているように感じました。それと同時に、命の大切さ、生きることへの執着も、私たちに示してくれています。平井兄弟の刀-自分が斬られることになる刀を研ぎながら辰次がつぶやく「あぁ、生きてぇなぁ」は胸にしみ入ります。



勘三郎さん1月16日には東劇で舞台挨拶ですってのごくらく度



同じ日に観て、同じ日に感想をアップしていますね(^^)。生にしくはないですけど、シネマ歌舞伎でも十分楽しさを感じられて嬉しいです。
源左衛門さん、この頃はほんとにお元気そうで。中村屋さんの舞台には欠かせなかった四郎五郎さんも亡くなられ、ほんとに寂しくなりました。
清太夫さんがいつも以上にとびっきり目立ってられたのがおかしかったです。
たった一度の観劇(鑑賞?)では見落としているところがいっぱいありそうです。
今こちらでもシネマ歌舞伎やってるので、行きたくて行きたくてグツグツしてるのですが、なかなか時間が無くて。
でも、スキップ様の記事を拝見してなんとかしようと決意しました。
野田さんが演出された歌舞伎って想像もつきません。行けても今月末かしら。見たいですう(TT)
ほんとに、わかっていれば京都まで出かけてご一緒すればよかったです。
源左衛門さんが闘病なさっていたことを全く知らなかったので、
亡くなられた時は本当に驚きました。この時から1年と少ししか
経っていませんでしたのに。
清太夫さん、辰次の面と向かっていましたものね~(笑)。
きっと繰り返し観てもまた笑ったり新たな発見がりますよね!
舞台は普段歌舞伎をほとんど観ない相方と一緒に観たのですが
楽しんだようでした。
「これが歌舞伎といえるか」なんて議論もありましたが、
歌舞伎好きにも野田さん好きにも楽しんでいただけると思います。
Frannyさんにもぜひご覧いただいて、どんな感想をお持ちに
なるか読ませていただくのを楽しみにしています!
札幌はまだ上映されておらず、来月16日からの上映予定です。
スキップさんの感想を読んでいたら、期待がどんどんと高まってきました♪楽しみです♪
きっと札幌でも次回作の予告編も見られますね。わくわくします。
こんばんは。
舞台を観ていても観ていなくても、1本の映画として十分鑑賞に
耐えうる仕上がりになっていると思います。
私も時間があればもう1度観に行きたいところなのですが。
予告編はほんとにちょっぴりなのですが、特に「連獅子」の方は
とてもキレイな映像でした。本編が出来上がるのもほんとに楽しみですね。