2007年03月26日

悔しがらせることが親孝行


IMG_1994.jpgSnowtreeわたしの頭蓋骨の下 あれれ日記の雪樹さんのところで教えていただいた情報で、日本チャップリン協会主催の第二回チャップリン国際シンポジウムに出かけてきました。お目当ては、


特別対談: 市川染五郎 × チャーリー・シストヴァリス・チャップリン(チャップリンのお孫さん)
コーディネーター: 大野裕之


2007年3月25日(日) 14:10-15:40 京都市下京区  立誠小学校



染五郎さんの曽祖父である初代中村吉右衛門さんとチャップリンが一緒に写った写真パネルが飾られたステージ。
♪ライムライトのチェロ生演奏の中、3人が登壇。

染五郎さんはチャップリンの名作『街の灯』を歌舞伎化した『蝙蝠の安さん』のご縁で、チャップリン研究家で日本チャップリン協会会長でもある大野裕之さんとNHK番組で対談したり、再演のために脚本を書いていただいたりして、「そんなこんなで何故かここにいます」とおっしゃっていました。
染五郎さんの“告白”によると、この『蝙蝠の安さん』は当時(1931年頃)誰にも許可を得ずに無断で翻案されたものだったのだとか。
その事実を「こんなところで公開していいものかどうか・・」と笑ってらっしゃいました。
これは歌舞伎としてもよくできたお話で、「ぜひこの機会に正式に上演の許可をいただきたい」という染五郎さんに、チャーリーさんは笑顔で快諾されました。

パネルの写真は、染五郎さんのご自宅にもあるそうですが、「75年の時を経て、この写真の人達の孫と曾孫が今ここで会っている」という大野さんの言葉が、チャーリーさんの「芸術は時代や作品やジャンルを越えてつながるものがある」という発言ともオーバーラップ。
また、それを受けて染五郎さんが、「そういえば、『ハムレット』の公演でアイルランドのダブリンのチボリシアターに行った時、楽屋にチャップリンさんの映画の古いポスターが貼ってありました」と、ここでも芸術のつながりを感じるエピソードを披露してくれました。

お二人にそれぞれおじいさん、お父さんのお芝居を最初に観たのは何歳?という質問に、
「よく覚えていないけど、『キッド』という映画を観た時、あれに出てくる子供は自分だど思っていた。まわりを見回してもその年頃の子供は自分しかいなかったから」というチャーリーさん。
これに対して染五郎さんは、「“芝居”というのは歌舞伎のことだと思っていたので、ミュージカルや他の芝居に出ている父を観た時、『これはお芝居じゃない』と言ったようです。父はがっかりしていました。」と。
そのお芝居というのが幸四郎さんのライフワークともいえる『ラ・マンチャの男』だったのだそうです。


一番印象に残ったのは、「僕はこんな芝居がやりたい、とか興味ある企画の話を父にすると、父がそれを先にやってしまうことがある」という染五郎さんの発言。
「お父さんにはお父さんの椅子があるのに、何で僕の椅子に座ろうとするの?」とユーモアたっぷりわーい(嬉しい顔)
父と子として互いを認め合いながらも、切磋琢磨するライバル、師弟でもある関係が垣間見えるようで、とても興味深いお話でした。
「僕がいい芝居に出たら今でも父は悔しがる。でも悔しがらせることが親孝行だと思うんですよね。」


IMG_1975.JPG会場の立誠小学校。
ここは日本で初めて映画が上映された場所なのだとか。
木屋町通り高瀬川沿いに佇む校舎は今はもう学校としては使われていませんが、レトロな講堂や教室がそのまま残り、何とも雰囲気のある建物です。



「蝙蝠の安さん」の再演、楽しみにしていますのごくらく度 わーい(嬉しい顔)
(total 190 わーい(嬉しい顔) vs 191 ふらふら)


posted by スキップ at 00:50| Comment(13) | TrackBack(1) | エンタメ et. al | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
当方関東在住なので、なかなか立誠小学校は遠くて行かれませんでした。(先月遠征したばっかりだし。)
レポ面白く拝見させていただきました。幸四郎パパが企画を盗っちゃう、という話、面白いですね。蝙蝠の安さん私も楽しみです。
Posted by もこもこ at 2007年03月26日 07:10
こんばんは♪はじめまして♪
よく覗かせていただいてたのですが、ひえ~~
スキップ様もあそこにあの場にいらっしゃったのですね!
ちょっと感激です♪
詳しく書いてらしてすご~~い!またまた感激です♪
TBさせていただきました♪またよろしくです♪
Posted by かずりん at 2007年03月26日 23:41
♪もこもこさま

はじめまして。ようこそお越しくださいました。
関東からはこの対談だけのためにというのは、大変ですよね。
私の友人にも涙を飲んであきらめた人が約1名(笑)。
幸四郎パパが企画を盗んじゃう話は、過去に実例があったのでは
ないかしら?と思わせるくらい結構盛り上がっていました。
「ちょっと変わってますから」と染五郎さんは笑ってらっしゃいましたが。

「蝙蝠の安さん」上演のためには、松竹に投書したり、劇場で松竹梅の
バッジつけた人に「上演してください」って言った方がいいみたいですよ。
みんなで上演お願いキャンペーンやりましょう!
Posted by スキップ at 2007年03月27日 02:40
♪かずりんさま

はじめまして。いらっしゃいませ~。
トラックバックもありがとうございます。
かずりんさんもあの講堂にいらしてたのですね。結構こじんまりしていたので、
あの同じ空気の中にいたなんて、私も感激です。

純粋チャップリンファンの人にはちょっと失礼かもしれない染ちゃん目線の
レポ(笑)ですが、ほんとに楽しい対談でしたね。
あとでかずりんさんのところにもお邪魔させていただきます。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by スキップ at 2007年03月27日 02:48
スキップ様
御返事ありがとうございました。
いつも拝見していますので、つい書き込んでしまいました。
幸四郎パパに盗られちゃった企画、というのが気になりますねぇ。
昨晩6月には齊君がお目見え、のニュースを知り、ワクワクしています。5月6月、お江戸は高麗屋祭です。
Posted by もこもこ at 2007年03月27日 09:56
スキップさんのフットワークのよさに感嘆しています。染ちゃんが京都に来ていたことすら知りませんでした。まあ、どっちみち、風邪でダウンしていたので行くのは無理でしたけど。

染ちゃんは前日に楽を向かえた南座の花形歌舞伎も観たのかしらね。

5月6月は播磨屋とも一緒ですね。お江戸だしなあ。7月松竹座を期待したけど、巡業のようだし、ロトに懸けるしかありませんわ。^^
Posted by おまさぼう at 2007年03月27日 13:57
立誠小学校って、たしか近藤正臣さんの母校ですよね。しばらく前に近藤さんが再訪していました。

すみません、記事には関係のないことで。
Posted by おまさぼう at 2007年03月27日 14:07
♪もこもこさま

いつも見ていただいてありがとうございます。
ほんとですね、どのお芝居のことでしょうね(笑)。

昨夜は私も「藤間齋初お目見得」の文字に釘づけとなりました。
この対談の時にも染五郎さんは「僕にも2歳になる息子がいますが、
まぁ先のことはわかりませんが、もしそうなっても、僕は彼の椅子
には座らないでおこうと思います。」と笑っていらっしゃいましたが、
2歳で初舞台なのですね~。
Posted by スキップ at 2007年03月28日 01:50
♪おまさぼうさま

お加減いかがでしょうか。
春先の風邪は長引くといいますから、お大事になさってくださいね。
フットワークがいいのではなく、ミーハーなだけです。さすがに土日続けて
京都行きは疲れが出て、今週は仕事に身が入りません(それはいつもか)。

染ちゃんは南座3月11日昼の部をご覧になっていたという目撃情報がありました。
この対談の日は日帰りなさったようでした。

5月演舞場は播磨屋さんの「鬼平」だし、早々と上京決定しているのですが、
6月も「いっくん初お目見得」とあっては見逃す訳にもいかず、連続上京決定!
・・・物入りですワ。トホホ。
おまさぼうさまのロトが首尾よく当たって、ご一緒できることをお祈りしています。

立誠小学校が近藤正臣さんの母校だなんて、ちっとも知りませんでした。
高瀬川沿いの桜並木に囲まれた学び舎は情緒たっぷり。あんな学校で
小学生時代を過ごせたなんて、うらやましいですね。
Posted by スキップ at 2007年03月28日 02:06
「霧太郎~」に続き楽しいおすそわけを頂きました。ありがとうございます!!
私も観劇予定がなければ、ぜひ行きたかったんですけど。
スキップさんのとっても詳細なレポと、かずりんさんのお笑い編(笑)を合わせると、すっごく幸せそうな会場の雰囲気が伝わってきます。「蝙蝠の安さん」ぜったいに上演してもらいたいです!!
六月大歌舞伎は昼の部に三代でご登場なんですね! ご覧になられたレポ、またお待ちしております。
Posted by ムンパリ at 2007年03月29日 23:52
♪ムンパリさま

こちらこそ、続けてコメントありがとうございます。
あれもこれも聞いたことみんな書きたい・・って書いてたら長文レポになってしまいました(汗)。
かずりんさんとは偶然にもほんとに近くに座っていたようで、事前にわかっていたらお声を
かけたのですが。ダーリンにもご挨拶できましたのにね(笑)。

5月演舞場でしょ、(チケット取れたら)俳優祭でしょ、6月歌舞伎座でしょ、って、そんなに
お江戸にばかり行ってどーする、ってカンジですかね~(爆)。
Posted by スキップ at 2007年03月30日 01:23
はじめまして。こんにちは。 興味津々ながら遠方で諦めた対談の様子を教えていただけてありがとうございます。 楽しい対談だったのですね~。 お子さん達が語る幸四郎サンていつも面白く感じます。 「チョット変わってますから」by染ちゃん、「えらい(偉い?)変人です。」by紀保ちゃん、幸四郎サンって‥(笑)。 さしずめ染ちゃんは「朧~」でひとつ親孝行なわけですね(笑)。 「蝙蝠の安さん」の上演はぜひ実現して欲しいです。
Posted by AYAMASA at 2007年03月30日 12:37
♪AYAMASAさま

はじめまして。ようこそおいでくださました。
楽しい対談でした。
・・・といいつつ、チャップリンのお孫さんのことを置いてきぼりにして
いるようでいささか心苦しくはありますが(笑)
「ちょっと変わってますから」はこの日も染ちゃんおっしゃっていました。
「仲はいいですから。誤解のないように。ちょっと変わってますから、父は。」って。
4月のはじめに松竹座に行きますので、まずは“松竹梅のバッジつけた人”に
『蝙蝠の安さん』は・・って声かけてみようかしら(?)
Posted by スキップ at 2007年03月31日 12:34
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