
コリオレイナス 2月17日(土) 6:30pm シアター・ドラマシティ
シェイクスピア最後の悲劇と言われる「コリオレイナス」-高潔な気性、並はずれた勇気、無私の献身も、階級的差別と母親への偏愛により帳消しにされる。強烈な個性の悲劇でもあり、同時に、国家体制を問う政治劇でもある。-
コリオレイナス(唐沢寿明)は共和制に移行したばかりの紀元前5世紀の古代ローマの伝説的英雄で、本名はケイアス・マーシアス。数々の武勲で執政官に推挙されますが、護民官(瑳川哲朗、手塚秀彰)にあおられた民衆への嫌悪をむき出しにした結果、市民たちの怒りと反発を買い追放されてしまいます。敵将オーフィディアス(勝村政信)のもとに身を寄せたコリオレイナスは恨みに燃えて祖国ローマに攻め込みます。親友メニーニアス(吉田鋼太郎)の説得にも耳を貸しませんでしたが、ローマが送った最後の切り札・母ヴォラムニア(白石加代子)の懇願で翻意します。 これを知ったオーフィデイアスは・・・。
幕があがると一面の鏡に客席の自分達の姿が映り「わぁ」という歓声もあがりました。この戯曲を読んだことがなくストーリーも事前に知らなかったのですが、物語が進むにつれて、この鏡は「舞台上の出来事は、古代ローマのものであると同時に“現在の”あなた方のもの、鏡に映ったあなた達は主体性なく扇動に乗せられやすい衆愚そのもの」という蜷川さんのメッセージなのかと思い至りました。
装置、衣装、美術、集団の役者さんの動きに至るまで、隙なく計算しつくされた美しいステージは、はじめにロンドン公演ありきのためか、剣を刀に持ち替えたのを始めとてもジャパネスク。最後には般若心経まで登場しますが、これがバービカンでどのように受け取られるか興味あるところです。
「マッチョじゃない僕は、坊主頭に刀傷のような剃り込みを入れるなど強面な見た目を作り込んでいます」と語っている唐沢寿明は、少し声が苦しそうでしたが、正義感が強く、勇敢なのに頑なで傲慢というコリオレイナスの孤高を見事に表現していました。何も間違ったことはしていないのに、寛容とか、民衆への迎合とかいう気持ちを持てないために降りかかる悲劇。ローマを追われる時に放つ「世界はここだけではない」の言葉が耳に心に響きます。終始笑うことのない固い表情のコリオレイナス。民衆と自分の立場に苛立って「あ”~っ、あ”~っ」と癇癪を起こすコリオレイナス。マクベスも三世次もよかったけれど、唐沢さんはこの役が一番ハマッていたのではないかしら。
白石加代子の母ヴォラムニアは、迫力の演技。この人以外考えられないと思わせるキャストです。息子を愛し息子を信じ、戦いに勝つことが何よりも大切だったヴォラムニア-間違いなくコリオレイナスの悲劇の一端を担う母でした。
コリオレイナスに対する複雑で屈折した思いを自在な演技で描き出していて印象的だった勝村政信のオーフィディアス。死んだコリオレイナスを抱きしめて、泣きながら見せる微笑が、最後までざらりと心に残りました。


小峰リリーさんのステキな衣装も「朧」にかすんだ目には似た感じに映って、ごめんなさいの地獄度



降り物談義で盛り上がりました。最後は,台詞そのままで,日中戦争下の南京での日本軍の蛮行に翻案し,日本軍華族将校と国民革命軍エリートリーダーらしきお衣装と時代考証で上演し,世界を震撼とさせても…とまで行き着きました。
それにつけても,お衣装も装置も綺麗でした。
>この鏡は「舞台上の出来事は、古代ローマのものであると同時に“現在の”あなた方のもの、鏡に映ったあなた達は主体性なく扇動に乗せられやすい衆愚そのもの」......ここは私の席がサイド席だったせいかもしれませんが、断定的につきつけられたようには感じませんでした。そうじゃないといえる?くらいの問いかけのようで、かなり快感!でした。
唐沢さんは映像向きの人という印象を強く持ってました。シェイクスピアへの敬意もあまり持たれていないようだし、それで蜷川シェイクスピアに出るの?という疑問をずっと抱いていたし、今まで舞台で観ていいと思った時がなかったので、今回は見直したのです。ところがやっぱり声がつぶれているのが心配というのをあちこちの皆さんのところで読んで、やはり長丁場の舞台には向かない方なのかなぁと思いました。しかしこの役は彼のキャラにぴったりだと思うのでロンドン公演は是非成功することを祈ってますが、白石さん、勝村さんとのバランスのよさで大丈夫だと信じてます。
「オレステス」のビラからお話はふくらみ、近衛玲奈や蒋王賦に至る貴宅の“降り物談義”、
お芝居の感想とは別にとみさんらしい深い考察に、それに応えるゲストの方々のコメント、
大変興味深く読ませていただきました。
蜷川さんの舞台はいつも装置や衣装にお金がかかっていて(笑)美しいですが、この
「コリオレイナス」は際立っていましたね。
♪ぴかちゅうさま
蜷川さんの挑発とか、突きつけられたように感じた訳ではないのですが、鏡とともに時に客席に
向けられるライトに、「己が姿を見よ」と言われているような印象を持ちました。
私は唐沢さんの舞台は結構好きなのですが、軽妙な役まわりよりコリオレイナスのような役が
ハマるのは些か意外でした。勝村さんは以前「マクベス」を観た時には当日病気休演(!)
だったので、今回唐沢さんとちゃんと組むお芝居を観られてよかったです。
本場ロンドンでの公演、ほんとに成功してほしいですね。
そうなの。お芝居観てる時はほんとに楽しくてとってもごくらくなのよ。
わかってくれてうれしいな。
はじめまして。ようこそいらっしゃいました。
新感線はチラシもポスターもほんとにステキですよね。
「朧の森に棲む鬼」はチケットにもリキ入ってたようで、初めて見た時は感激でした。
その新感線のチケットはどんどん取りにくくなっているようで、悩みのタネなのですが(笑)。
先月観た舞台ですが、今でも印象に残っています。
蜷川さんとキャストの方の気合がヒシヒシと感じるものでしたね。
HEY!HEY!HEY!私も見ました。
もうおかしくて。
時々、帽子をとってコリオレイナスヘアースタイル(笑)をみせるのが・・・
舞台をやっていることを知らない方が見たら、
どうしたんだ唐沢は??って思っちゃうのではないかといらぬ心配をしてしまいました。
でもあの髪型好きです、私は♪
唐沢さんのコリオレイナスといい、白石さんのヴォラムニアといい、まさに
ベストキャストの舞台でしたね。
そうそう、時々あのピンクのニット帽脱いでましたね。TVの唐沢さんしか
知らない人には驚かれたのではないかしら。
でも、似合ってましたよね~、あの“ソリコミ”(笑)