2024年06月17日

星組 「BIG FISH」 エドワードを取り巻く人々編


bigfish3.JPG
                              ©宝塚歌劇団



bigfish12.jpg
                              ©宝塚歌劇団


一面に黄色い水仙の花咲くプロポーズの場面で一幕が終わって、二幕開演前はこの幕。
上が6月13日に撮ったもの。TLがざわついていたので自分が撮ったもの比べてみたら、
なるほど6月2日に撮ったもの(下)は水仙が直線になっていました。


作品の細かい好きポイントや礼真琴さんについては、延々と書き続けそうな勢いですが、いずれまた加筆するといたしまして、エドワードを取り巻く人々について。


宝塚歌劇 星組公演
ミュージカル 「BIG FISH(ビッグ・フィッシュ)」
脚本:JOHN AUGUST
音楽・作詞:ANDREW LIPPA
原作:DANIEL WALLACE
潤色・演出:稲葉太地


以下、スタッフ、出演者、観劇日時は本編の感想(こちら)と同じ



bigfish4.jpg bigfish5.jpg



ウィル:極美慎
”父と息子”の物語ということで、エドワードの次に重要な役割を担うウィル。
極美慎くんもそこのところはよく自覚していて最大限の力量を発揮していたのではないでしょうか。
元より高いポテンシャルを持っている人ですが、目覚ましいほどの「二番手」ぶりで、本編の感想にも書いたとおり、極美くんにとってこのウィルはエポックメイキングな役になったと思います。
父親への葛藤も揺れる心も、最後に理解し合って見送る思いも、今度は自分が父親として立つ姿も、感情細やかに表現。歌も台詞も、ちょっと硬質な声が「僕は現実的なんだ」というウィルにとてもよくハマっていました。
ビジュアルは言わずもがなですが、結婚式のシーンのタキシードの似合いっぷり、ホレボレしました。
ラストのエドワードの How It Ends 毎回涙流しながら聴いていたなぁ。


ヤングウィル:茉莉那ふみ
キャスト一覧にも掲載されていませんでしたが、大抜擢。”Fight The Dragons” では礼さんとのデュエットもあります。
パパの話を楽しみにしつつも、ちょっと醒めた目で見るようになる幼少期から少年期のウィルを適格に演じてお芝居の上手さが光ります。
歌ももちろん聴かせてくれて、礼さん相手に物怖じしない舞台度胸もすごい。サーカスのオーディションで詩さんサンドラと3人娘で♪アラバマの子羊を歌い踊る姿、大学生のおさげ髪もキュートでした。
108期首席で飛びぬけて小柄ながら何でもできる注目の新人さん。ケガで休演も乗り越えて、今後の活躍が楽しみです。


サンドラ:小桜ほのか
エドワードの愛する妻サンドラは小桜ほのかさんと詩ちづるさんで年代を分けてキャスティングされました。
小桜さんといえば直近では「RRR」の総督夫人の冷血っぷりが記憶に新しいところですが、当然ながらまるで別人で、夫と息子への愛情溢れた、いかにもアメリカのファミリーにいそうなママを体現。ほんとお芝居がお上手。
私は小桜さんの歌声が大好きで、これも本編の感想に書きましたが、”I Don't Need A Roof” の包み込むような歌唱は何度聴いても至福でした。


若かりし頃のサンドラ:詩ちづる
サーカスでエドワードと出会って、一目ぼれしたエドワードにプロポーズされて結婚、ヤングウィルのママ時代までのサンドラ。
サーカスの登場の場面、大学でエドワードにプロポーズされる場面、どちらもとても可愛くて正統派ヒロインの役どころ。
礼さんとのデュエットのハーモニーも美しくて、この役を観ていると舞空さんの次はやっぱり詩ちゃんなのかなぁと感じました。
若いママ時代も意外と(と言っては失礼ながら)よくて、昔TVで見たアメリカのドラマにこんなママいた~と思いました。
二幕の冒頭で戦時中の慰問団として登場して、サンドラとはまた違ったショースターぶりも発揮。


ジェニー・ヒル:白妙なつ
エドワードのハイスクール時代のガールフレンド ジェニーも年代を分けてのキャスティング。
白妙さんは、父の真実を知りたいとウィルが訪ねてくる晩年のジェニーでした。
出番は多くないし動きも少ないのですが、ウィルがエドワードの真実に目覚める大切な場面をさすがの演技で締めていらっしゃいました。
「お父さんの気持ち、わからないのね」と切なそうにウィルに言うジェニーが好きでした。


若かりし頃のジェニー:鳳花るりな
ハイスクール時代のいかにもギャルなジェニー。
鳳花るりなさんは「RRR」ではFIRRREで、キレッキレのダンスが冴え渡っていましたが、この役で歌もお芝居もイケることが広く認知されましたね。
魔女率いるWitchesの一人としても目力で妖しげな魅力を振りまいていました。


ベネット:ひろ香祐
エドワードの古くからの友人で主治医。エドワードのとてもよき理解者です。
終始穏やかで温かい雰囲気。エドワードとウィルの関係を案じつつも余計な口を出さない、とてもステキなお医者様でした。
この役にひろ香さんを持って来られることがとても安心。


ドン&ザッキー・プライス:蒼舞咲歩 夕陽真輝
エドワードの少年時代からの遊び仲間でライバルのドンとその弟ザッキー。
蒼舞咲歩さん演じるドン・プライスが、いかにもアメリカ映画に出てきそうな不良の悪ガキ(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のビフのような)で本当に上手い。その兄に金魚のフンのようにくっついている弟のザッキーもポンコツだけどどことなく憎めません。
ドンは大学に入ってサンドラの婚約者としてエドワードと再会しますが、「サンドラ、なんでこのオトコを選んだ?」と思いましたよね。
でも大学で政治学を学んで、後にはアシュトンの町長にもなって、案外勉強家だったのかもしれません。


エーモス・キャロウェイ:碧海さりお
トルネードに巻き込まれたエドワードとカールがたどり着いたサーカスの団長。
ちょっとクセのある役やらせたら安心安定高品質の碧海さりおくん。ダンサーでもありますが、今回力強い歌声も披露してくれています。
狼男としても遠吠えもうまかったなぁ。


魔女:都優奈
森の沼地に棲む未来を予言する魔女。
都優奈さんは星組が誇る歌姫の一人ですが、魔女の大ナンバー I Know What You Want を大迫力の歌い上げ。
もちろん台詞も含めて、ブロードウェイミュージカルなのにまるであて書きかと思うくらいハマっていました。


カール:大希颯
アシュトンの森の洞窟に棲み、人々から恐れられている巨人。エドワードが説得して一緒に旅に出ることになります。
竹馬のような高足を履いて天井につきそうなくらいの巨人。体は大きいけれど繊細な心の持主で、数字に強く頭も切れるカールを大希颯くんが熱演。歌がお得意の大希くんですが、その歌唱力も存分に発揮してくれました。


人魚:希沙薫
オープニングに登場する人魚。
エドワードがキスして水から出て自分の足で歩き始めることになります。台詞も歌もありませんが、折りに触れて登場する希沙さんの人魚、とってもキュート。
本来は男役の希沙さんですが、今回は二幕冒頭の慰問団のUSOレディーなど、群舞の場面でもショートヘアのまま女役として踊っていらっしゃいました。またこのダンスがキレッキレなんだ。


ジョセフィーン:星咲希
ウィルの妻で世界的に活躍するレポ-ター。
ずっと身重の姿なので世界を飛び回って活躍するレポーターのイメージはありませんでしたが、聡明で、ウィルのことを愛しているのはもちろん、エドワードにも優しい心遣いを示すステキな女性でした。
星咲希さん、これまであまり大きなお役をやったイメージがなかったのですが、こういう抜擢があるのも別箱公演のよさだと思います。


書き下ろしではないので役は多くありませんが、主要キャストの他にも
天希ほまれさんが白い長靴履いた超イケメン漁師で、♪アラバマ・ストンプで礼さんエドワードと一緒にタップ踏んだり、サーカスのジャグリングはトリプルキャストだったり、御剣海くんはセントラルパークで長い脚でサックス吹いていたり、この公演で退団する星影ななさんにはエレベーターで「緑が似合いますね」とエドワードに話かけられる看護師役を振ったり、随所に稲葉先生らしい工夫とやさしさが表れていました。

何より
礼さん筆頭に出演者が一丸となって、みんな活き活き楽しそうに、すばらしいパフォーマンスでこの「BIG FISH」の世界を紡ぎ出していたこと、その思いと感動が客席の隅々にまで伝わっていたこと・・・あの空間にいることができて、心の震えと涙を共有できて、本当に幸せでした。
18日間23公演 完走おめでとうございました。



bigfish7.jpgbigfish8.jpg
bigfish10.jpgbigfish9.jpg

6月2日は東や西や南(笑)のお友だちと一緒になって乾杯したり
6月13日は my 楽だからとエディさんと乾杯したりドーナツ食べたり
(いつだって乾杯はつきもの)



bigfish11.jpg

終演後 オーケストラが演奏してくれるイグジットの間はこんな光景



この星組の「BIG FISH」と礼さんのエドワード きっと ずっと 忘れません のごくらく度 (total 2270 vs 2273 )



posted by スキップ at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする

2024年06月16日

きっとずっと語り継ぐ 星組 「BIG FISH」


bigfish1.jpg
              ©宝塚歌劇団

正直なところ、この作品の上演が発表された時、「どうしてこの作品?」と思いましたし、映画観ても(こちら)それほど刺さらず(ラスト泣いたけど(^_^;)、さらに追い打ちをかけるように、版権の関係で舞台中継含めて映像化されないことが発表されて、「なおさらそんな無理してこれやる価値ある?」と思ったものです・・・そんなあの頃の自分を叱りたい。

今の星組で、礼真琴さんのエドワード・ブルームで、この「BIG FISH」を上演することを決めてくださった方に心から感謝。
本当に残念なことに映像や音源には残りませんが、心揺さぶられ涙流したこと、胸の奥深く刻まれた宝物のようなこの公演の記憶は決して消えることなく、きっと私の中で末代まで語り継ぐことになると思います。


宝塚歌劇 星組公演
ミュージカル 「BIG FISH(ビッグ・フィッシュ)」
脚本:JOHN AUGUST
音楽・作詞:ANDREW LIPPA
原作:DANIEL WALLACE
潤色・演出:稲葉太地
訳詞:高橋亜子
音楽監督・編曲:太田 健  音楽指揮:御﨑 恵
振付:御織ゆみ乃  若央りさ  三井 聡
殺陣:清家一斗   装置:國包洋子   
衣裳:河底美由紀   映像:石田 肇
出演:礼 真琴  白妙なつ  ひろ香 祐  小桜ほのか  蒼舞咲歩  
希沙 薫  極美 慎  碧海さりお  夕陽真輝  都 優奈  星咲 希  
鳳花るりな  詩ちづる  大希 颯  茉莉那ふみ ほか

2024年6月2日(日) 11:00am 東急シアターオーブ 1階20列センター/
3:30pm 1階4列センター/
6月13日(木) 11:00am 1階2列下手/3:30pm 2階3列上手
(上演時間: 3時間/休憩 30分)




bigfish2.JPG
                              ©宝塚歌劇団

 
物語:まるでお伽噺のように自らの人生を語り、周囲を魅了するエドワード・ブルーム(礼真琴)。
未来を見通す魔女(都優奈)や共に旅に出た巨人(大希颯)の話、サーカスでの最愛の妻サンドラ(小桜ほのか/詩ちづる)との出会いなど、彼の奇想天外な話は幼い息子ウィル(茉莉那ふみ)を虜にしていました。しかし、大人になるにつれ全ては作り話に過ぎないと考えるようになったウィル(極美慎)は父エドワードと距離を置くようになります。そんなある日、母サンドラからエドワードが病気のため死期が迫っていると連絡を受けたウィルは、身重の妻ジョセフィーン(星咲希)とともに実家に帰ります。父の人生が本当はどういうものだったのかを知りたいと考えたウィルがその足跡を辿り始めると、次第にエドワードの真実の姿が明らかになっていき・・・。


ダニエル・ウォレスの小説をもとに、2003年にジョン・オーガスト脚本、ティム・バートン監督により映画化され、2013年にブロードウェイでミュージカル化された作品。日本では白井晃さん演出、川平慈英さんのエドワードで2017年と2019年に舞台化されています。


父と息子の物語であり
夫と妻の物語であり
愛に満ちた家族と彼らを取り巻く人々の物語

ファンタジーの要素たっぷりで、もともと妖精さんで何にでも憑依できるタカラジェンヌ、そして宝塚歌劇と相性がよい世界なのはもちろん前提として、その”つくり話”なファンタジーと父と息子の葛藤というリアルな人間ドラマのバランスが絶妙で、だから、夢物語のようなお話なのに心揺さぶられてとめどなく涙を流すことになったのでした。

映画→舞台はその後のアシュトンの町のくだりなど少しストーリーも違っていて、原作未読で、ブロードウェイ版はもちろん白井晃演出版の舞台も観ていないのでどれくらい潤色されているかわからないのですが、版権厳しいということですので、おそらくブロードウェイ版そのままなのかな。
「この町にはデイリークイーンが2軒あるから(魔女は)いない」なんていかにもアメリカ的な台詞です。

すばらしい楽曲の雰囲気もいかにもブロードウェイミュージカルで、星組といえば、な耳慣れたフレンチロックとは一線を画した美しくのびやかな旋律の数々。
台詞からシームレスに歌につながるあたりもいかにもブロードウェイミュージカルだなぁと思いました。

物語のはじめと終わりに出てくる「7回跳ねるとラッキー」な石投げ。
最後の川の場面は、エドワードが亡くなった後の川岸。
サンドラとウィル夫妻と息子くんがピクニックに来ていて、後ろに立っているエドワードにサンドラが石を投げて(多分サンドラだけには一緒に来ているエドワードが見えたのね)、ウィルはジョセフィーンから石を受け取って、2人がそれぞれ投げた石がピョンピョンと跳ねていく軌跡がライトになって客席の上を跳んでいくの、天才の演出では?


星組は3チームに分かれての公演ですが、礼さんエドワードをはじめ登場人物は皆ピタリハマって活き活きと物語の世界に息づいています。
歌うまさんばかりで耳に心地いいことこの上ありません。
いつも思いますが、チーム分けとキャスティングする人(組P?)の仕事できっぷりに拍手。

父と息子の物語ということに絡めていうと、これは継承の物語でもあるなと。
父親エドワードと息子ウィルの姿が、礼真琴さんが極美慎くんへ男役としての姿を示し、バトンを渡そうとしている姿とも重なって見えて、ストーリーとはまた別ですがここも盛大に泣きポイントでした。
極美くんにとって、後々「あの時のあの役が」と語られるターニングポイントの役になったのではないでしょうか。


そして礼真琴さんのエドワード・ブルーム。
ほぼ舞台に出ずっぱり、しゃべりっぱなし、歌いまくり。

好奇心旺盛なティーンエイジャー
働き者の溌剌ヤングパパ
グレイヘアがお似合いの人生の夕暮れ時
・・・瞬時に時空を行き来する礼さんエドワード。

礼さんは、お芝居でもショーでも歌唱を役によって、場面によって声を変えてきますが、今回三世代を1人で演じたことで、台詞の声のふり幅広い表現力にもホレボレ。
声や話し方はもとより、姿勢、歩き方、所作や手の表情まで繊細につくり込んで変幻自在。
口跡よく台詞も歌詞もきちんと客席の私たちに届くのもいつもの通り。
「ミュージカルは突然歌い出す」というタモリさんの有名な言葉がありますが、礼さんは台詞と歌が本当にシームレスで台詞から流れるように歌になって、それがまたいい声で、聴き惚れている間に終わってしまいます←

「歌、ダンス、芝居ともに高いレベルで三拍子そろうトップスター」というのは礼さんを形容する時によく言われる言葉ですが、本当にその才能とこれまでの舞台で培ってきたもの、努力、そんなすべてを如何なく発揮している印象です。
研16となって、様々な役を演じ、実生活でもいろんな経験を積んで、演じようとチカラを入れ過ぎなくてもパパ役、おじさん役が違和感なく自然体でできるようになった今の礼真琴さんが巡り合うべくして巡り合った役。
初日のご挨拶で白妙なつさんがおっしゃっていたように、革命に身を投じる訳でも使命を帯びた訳でもなく、アメリカの片田舎の平凡なファミリーの、父と母と息子の物語を圧倒的な歌唱力と表現力、そしてとびきりチャーミングな笑顔で私たちに見せてくれた礼さん。感謝しかありません。


bigfish6.jpg

ヒカリエ11階でエレベーター降りてこれが目に入るだけでテンション爆上がりでした。



映像、音源が残らないこともあって、以下は私が特に印象に残った楽曲、場面をいくつか。
(全部挙げるとキリがないのでこれでも一応厳選)


Be the Hero
エドワードが幼いウィルに「物語のヒーローに 戦ってチャンピオンになれ 自分の物語 その手で描け」と鼓舞する、この作品を代表する曲。
オープニングでは、自分の体験を歌うエドワードの「魔女」「巨人」「人魚」という歌詞に合わせてご本人様が登場してさながらイントロダクション顔見世のような曲で出演者全員の合唱となります。

フィナーレでリプライズされますが、♪世界は お前 の も の だ~ で客席のあちこちを指差しする礼さんの指がこちらに向けられてとなった回も。


I Know What You Want
魔女がエドワードの”死に方”を予言する時の曲。
礼さんが「ブラジルまで届きそう」とおっしゃっていた都優奈さん魔女の迫力の歌唱 すばらしい。
Wicked みたいな魔女の衣裳もステキでした。


Daffodills
エドワードが黄色い水仙の花束を持ってサンドラに ♪どうか 結婚を ああ 僕と とプロポーズする曲。
一幕終わりのこの場面、あまりの多幸感で毎回涙あふれました。
夕陽真輝さんがタカラヅカニュースのお稽古場情報で「礼さんにあの曲であんなふうにプロポーズされたい」とおっしゃっていましたが、ほんとそれ!と思いました。
この場面、舞台写真にもなって、写真はもちろん四つ切も買ってフレームに入れて、ただ今私の部屋におります。


Fight The Dragons
ヤングウィルの寝室で仕事でしばらく家を空けなければならなくなったエドワードがウィルとともに歌う曲。
♪倒せドラゴン 城を攻めて 積み上げろ勝利を
 旅が終われば すべての物語 お前の元へ
 つかめ 真の勝利を 俺が年老いたら物語をお前が話せ

明るい曲ですが、少年ウィルに寄せるエドワードパパの思いが心に刺さって毎回ウルウル。
歌い終わった後に、おやすみパパというウィルを抱き寄せたエドワードが少し眉間に皺寄せて「愛しくてたまらない」といったふうに浮かべる切ない表情、たまりませんでした。パッと離してウィルに向き合った時にはもう笑顔なのにも( ;∀;)

茉莉那ふみちゃんのヤングウィル 超キュートで歌唱しっかり。


I Don't Need A Roof
「この屋根はしっかりしてる、あと10年は大丈夫だ。だからサンドラ、君も大丈夫だ」という、自分の死期を自覚しているエドワードの言葉に黙ってじっとエドワードを見つめるサンドラ。「あぁ、また何か妙なことでも言ったか?」というエドワードに歌い始めるサンドラ。
♪たとえこの家に 屋根がなくても 古ぼけた壁紙 剥がれ落ちても 
 そばにあなたがいれば そこが私の家

初めて聴いた時、小桜ほのかさんサンドラの包み込むような歌唱のすばらしさとエドワードを見つめる温かい眼差しに震えて、そんなサンドラに包まれてほっとしたように膝枕で眠るエドワードに大泣き。
以来、この曲が始まると条件反射のように涙を流していました。
このサンドラがいたから、エドワードもずっと幸せに生きてきたんだなと心から感じられる曲。 


How It Ends
そして泣くといえばこの曲。
♪ 俺の人生は完璧じゃない
 ちっぽけなこと分かっていた
 だから少しでも大きく俺を
 語り継いでくれたらうれしい
 息子がいる 妻がいる
 そしてもうすぐ道は途切れる


人生の終幕を迎えたエドワードが、妻と息子と仲間たちを思い、感謝して心を込めて歌い上げる曲。
そばで聴いている極美ウィルは毎回涙流していて、周りの人たちもみんなウルウル。もちろん客席もそこここですすり泣き(私はすすり泣きどころではなく号泣)。
共演者も客席も心一つにしてしまう礼真琴さんの歌の凄み。

1回目観た時だーだー泣いて、もう歌詞もわかったし大丈夫でしょうと臨んだ2回目は危うく声が出そうになるくらい泣くという。
また、これを歌う礼さんが本当にすばらしくて。
6/13マチネの礼さん、私が観た中では一番たくさん涙を流していらして、綺麗な瞳から溢れ出る涙が頬を伝っても歌は微塵もブレず、「ことちゃんの声帯ってばほんとどうなってるの?!」と思ったのはもちろん後のことで、聴いている間はその歌声に聴き惚れ、歌詞の一言ひと言が心に染み入って、滂沱のナミダ。


これを書いている今、「BIG FISH」千穐楽会場からとんでもない朗報が

音源 配信 決定ですって!!!




あまりの喜び過ぎて エドワードを取り巻く人々編につづく


posted by スキップ at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする

2024年06月14日

再びそしてラストのシアターオーブ


20240613shibuya.jpg


昨日は東京へ・・・というより東急シアターオーブへ行ってきました。

これ、最近どこかで見たフレーズ(^^ゞ

「朝早い新幹線で上京して10時前には渋谷着。
東急シアターオーブで宝塚歌劇星組公演「BIG FISH」をマチソワ観て、マチソワの間もオーブのフロアから動かず、終演後はまたとっと帰ってきました。」
というあたりも6月3日の投稿とまったく同じで、「BIG FISH」マチソワ。
これが私にとって「BIG FISH」楽。
目に心に焼き付けて、案の定ダーダー泣いて、でも満足感いっぱいで帰ってまいりました。


冒頭の画像は、ソワレ終わってロビーに出た私たちを迎えてくれた綺麗な夕陽。
劇場から渋谷ヒカリエ11階ロビーまで降りたところで撮りました。
コカ・コーラやIKEAの広告塔があるところも渋谷っぽい。



ひと月に2回上京してシアターオーブ以外行っていないってどーなん? の地獄度 (total 2267 vs 2273 )

posted by スキップ at 12:42| Comment(0) | TrackBack(0) | travel | 更新情報をチェックする

2024年06月11日

その光の先に見えるものは 星組 「夜明けの光芒」


yoake1.jpg
              ©宝塚歌劇団


雪組に続いて星組も3チームに分かれての別箱公演。
まずは暁千星さん 二度目の東上主演です。


宝塚歌劇 星組公演
ミュージカル・ロマン 「夜明けの光芒」
チャールズ・ディケンズ作「大いなる遺産」より
脚本・演出:鈴木 圭   
作曲・編曲::𠮷田優子   編曲:伊賀美樹子
振付:若央りさ  平澤智   殺陣:諸鍛冶裕太
装置:稲生英介   衣装監修:有村 淳   衣装:植村麻衣子
出演:暁 千星  瑠璃花夏  美稀千種  輝咲玲央
紫りら  朝水りょう  澪乃桜季  夕渚りょう
七星美妃  天飛華音  紘希柚葉  綾音美蘭  碧音斗和
稀惺かずと  乙華菜乃  藍羽ひより ほか

2024年6月5日(水) 4:00pm シアター・ドラマシティ 4列下手
(上演時間: 2時間30分/休憩 25分)




yoake2.jpg
                            ©宝塚歌劇団

物語の舞台は19世紀初頭のイギリス。
テムズ河口近くの片田舎。両親を亡くし、姉ジョージアナ(澪乃桜季)の嫁ぎ先である鍛冶屋のジョー(美稀千種)に引き取られたピップ(暁千星)は幼いころ、脱獄囚に脅され、自宅から食料とヤスリを盗んで渡してしまったことがいつまでも心に残っていました。ある日、近所の大邸宅に住むミス・ハヴィシャム(七星美妃)から養女エステラ(瑠璃花夏)の遊び相手として招かれます。高慢ながら美しいエステラに心惹かれ、彼女に見合う紳士になりたいという願いを抱くピップでしたが、ジョーのもとで鍛冶屋の道を歩み始めます。
数年後、ピップのもとに莫大な財産の相続人に指名されたという知らせが突然届きます。紳士になるため、故郷の人々に別れを告げロンドンへと旅立つピップ。ロンドンでは田舎暮らしとは一変した夢のような暮らしが待っていました・・・。


「大いなる遺産」はイギリスの文豪チャールズ・ディケンズの代表作の一つで、これまで幾度も映像化され、宝塚歌劇でも1990年に剣幸さん主演の月組で上演されたということですが、いずれも観ておらず、もちろん原作も読んだことなくて全くの初見でした。

原作未読のため、どのくらい潤色されているのかわかりませんが、鈴木圭先生の脚本は「光と闇」をテーマに据えていて、財産を手に入れ、ロンドン社交界で虚飾にまみれて”闇堕ち”したピップが、”光の世界”を取り戻すという構成になっていました。
ラストでピップとエステラが一緒に見る朝日が、一度は闇堕ちしたピップの心を再び照らす光のようで、素敵なシーンでした。
”闇”を象徴する存在として、天飛華音さん扮する闇と男女の闇ダンサーズがいろんな場面に登場して妖しく踊りまくるのもよかったです。


ピップが脱獄囚エイベル・マグウィッチ(輝咲玲央)に脅される場面から始まります。
少年期のピップを藍羽ひよりさん、少女期のエステラを乙華菜乃さんが演じています。この二人、「RRR」ではそれぞれシータの少女時代、ラーマの少年時代を演じていて、今回男女が逆転していますが、いつも安心安定のかわいさと上手さ。

このマグウィッチが物語の鍵を握る人物だと最後の方でわかるのですが、この冒頭の時点では場面が暗かったことと、闇ダンサーズを把握するのに夢中で誰か気づかず・・・幕間に会った友人に「オレキザキ 一幕出てなかったよね?」と言って、「出てましたやん、脱獄囚」と言われる始末です💦


続きがあります
posted by スキップ at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする

2024年06月03日

渋谷1年ぶり~♪


shibuya20240602.jpg


昨日は東京へ・・・というより東急シアターオーブへ行ってきました。
朝早い新幹線で上京して10時前には渋谷着(張り切りすぎ(^^ゞ)。
東急シアターオーブで宝塚歌劇星組公演「BIG FISH」をマチソワ観て、マチソワの間もオーブのフロアから動かず、終演後はまたとっと帰ってきました。
公演はとてもすばらしく、東や西や南の友人とも会えて楽しく観劇。

オーブは昨年の同じ時期に月組の「DEATH TAKES A HOLIDAY」を観に行って以来でしたので1年ぶり。
渋谷駅に降りたのも1年ぶりです。


冒頭の画像はシアターオーブの窓から眺めた東京(代々木方面)。
マチネ開演前に撮った写真で、このころは青空が広がっていましたが、この後曇り空から雨へと移っていったのでした。
真ん中の窓枠右手にあるビルが、「BIG FISH」劇中にニューヨークの街の背景として出てきたエンパイアステートビルに似ていて、東京の友人に尋ねたところドコモタワーで、似ている(似せた?)と有名なビルなのだとか。



ドコモタワー 2000年9月竣工ということですが気づくの今?! の地獄度 (total 2266 vs 2271 )

posted by スキップ at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | travel | 更新情報をチェックする

2024年06月01日

映画で予習 「BIG FISH」


bigfishmovie.jpg

原則として「舞台で観るものは事前情報入れたくない」人間で、予習はしない・・・といういかしたくないタイプなのですが、この作品は川平慈英さん主演でミュージカル化されたこともあってストーリーはぼんやり知っていますし(舞台は観ていない)、観劇回数も限られていることから、「映画観ておくかな」と思っていたところに折よくNHK BSでオンエアがありまして、これは!と録画して観ました。

思えば、宝塚歌劇それも星組に限って言えば、オリジナル作品や再演を除いて、「柳生忍法帖」も「ディミトリ」も事前に原作読みましたし、「RRR」は映画館で観て、何なら次回作「記憶にございません」もDVDレンタルして観たって・・・めちゃ予習していますね、ワタクシ💦


「ビッグ・フィッシュ」(2003年アメリカ映画)
原題:BIG FISH  
監督:ティム・バートン
製作:リチャード・D・ザナック
原作:ダニエル・ウォレス   脚本:ジョン・オーガスト
美術:デニス・ガスナー   音楽:ダニー・エルフマン
出演:ユアン・マクレガー  アルバート・フィニー  ビリー・クラダップ
ジェシカ・ラング  ヘレナ・ボナム・カーター  アリソン・ローマン ほか
(上映時間:125分)



ストーリー:
自らの人生を巧みに語って、聞く人を魅了するのが得意なエドワード・ブルーム。
未来を予見する魔女のこと、一緒に旅をした巨人のこと、人を襲う森とその先にある美しい町のこと。彼が語る「人生のストーリー」に誰もが楽しく、幸せな気分になりました。一人息子のウィルも幼い頃は父の奇想天外な話が好きだったが、年を取るにつれそれが作り話であることに気づき、いつしか父の話を素直に聞けなくなっていました。自分の結婚式にエドワードがウィルの生まれた日に巨大な魚を釣った話で招待客を楽しませた時、不満が爆発する形でウィルは父に今夜の主役は自分であると訴え、一方的に父と疎遠になります。
そんなある日、母サンドラからエドワードの死期が迫っていると連絡を受けたウィルは妻のジョセフィーンとともに実家に帰ります・・・。


ダニエル・ウォレスの同名小説を原作としてティム・バートン監督が2003年に映画化した作品。
「ティム・バートンって、こんな優しくてハートウォーミングな作品もつくるんだ」というのが観終わった後の第一印象。
映画はかつてほど数多く観る訳ではありませんが、ティム・バートンといえば「バットマン」「シザーハンズ」「チャーリーとチョコレート工場」といった作品の独特な世界観のイメージが強かったのです。
後で調べる中で、元々はスティーヴン・スピルバーグが監督する予定だったと知り、なるほどと納得もしたり。

「父と息子の葛藤と理解」がメインテーマになっていますが、どこまで本当なのか空想なのかわからないエドワードの経験譚が映像で展開されて、ビジュアル的にも楽しい。
ポスターにもなっているエドワードがサンドラの好きな黄水仙の中でプロポーズする場面は夢のように美しくて、多幸感に満ちています。
というか、サンドラ、どうしてドン・プライスみたいな男を選んで婚約していたの?と思わないでもありません(^_^;)

そんなサンドラが、バスタブに全身顔まで浸かったエドワードを見つめながら、自分も洋服を着たままバスタブに入って抱擁するシーンがとても印象に残りました。
最初の求愛はエドワードからの一方的なものだったけれど、サンドラは彼を深く理解し、愛情深くずっと寄り添ってきたのがよくわかります。

ウィルについては、まぁそんな感じになるよね、そしてそういう風に父親に理解を示すようにもなるよね、と思いますが、この作品が子どもを持つ男性に特に支持されているというのもわかる気がします。
ラストはいかにもファンタジーですが、祝祭的にムードもあって、それまでエドワードの話に出てきた人たちが揃って見守っていて、観ていて悲しいのかハッピーなのかわからない涙が流れました。

楽曲もとてもいいと聞いていますので、ミュージカルとしてどんな舞台になるか楽しみです。



それにしても、映画でこんなに泣くぐらいだから舞台では、まして礼真琴さんのエドワードでは、どれほど泣かされることやら の地獄度 (total 2266 vs 2270 )





posted by スキップ at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | movie | 更新情報をチェックする