2023年02月05日

手紙で紡ぐ人生 朗読劇「手紙」


tegami.JPG


元宝塚歌劇団 月組副組長の夏月都さん。
昨年10月に退団されて以来、最初に選んだ舞台のお仕事が「朗読劇」というのが、いかにもお芝居好き、読書好きのなっちゃんらしい。
「かねてより興味があって、いつか挑戦してみたい分野」だったそうです。

同期の早花まこさんと2人の語り、そして橋沼黎さんのピアノ演奏だけで紡ぎ出される深淵な世界。
聴き応えたっぷりでした。


朗読劇 「手紙」
脚本・演出:仲野好重
出演:夏月 都  早花まこ
ピアノ演奏:橋沼 黎

2023年2月3日(金) 7:00pm アルカイックホール・ミニ 8列下手
(上演時間:2時間/休憩 20分)



第一部 「椅子」 (抄本:江戸川乱歩「人間椅子」より)
     挿入曲:運命  死の舞踏  人生のメリーゴーランド  リベルタンゴ

第二部 「分際」 
     挿入曲:オブリヴィオン  ノクターン  月光  愛の夢  
         主よ、みもとに  Amazing Grace


という二部構成。
第一部は夏月さん、早花さんともに小紋のお着物で、お二人が朗読する後方には大きな革張りの椅子が置かれていました。
休憩中にその椅子は取り払われ、舞台下手にあったグランドピアノも上手に移されて、お二人は黒いドレスで登場されました。



第一部 「椅子」
祖母の一周忌法要のため実家に帰省したナツ(夏月都)とマイ(早花まこ)の姉妹は、母からお蔵にある祖母の遺品の花瓶を持ってくるように言われ、幼い頃によく遊んだ蔵に入ります。二人はそこで、祖母が好んで使っていた小さなテーブルを見つけ、その引き出しの中に、原稿用紙に書かれた分厚い手紙を発見します。ナツは声に出してその手紙を読み始め・・・。


入口でいただいたパンフレットを読まないまま始まったのですが、祖母宛の手紙をナツが読み進める中で、「椅子の中に人間が入る空間をつくり・・・」というくだりで、「これ『人間椅子』じゃない!江戸川乱歩の」と気づきました。
ただ、そういうアウトラインだけは知っていましたが、実際に読んだことはなく、結末も知りませんでしたので、どんどん引き込まれて聴きました。

最後のオチ(というのか?)には、「あー、そういうこと」となりました・・・が、2通目の手紙に書かれた結末(先に送った私の”創作”はどうでしたか?批評してください、というもの)が事実なのか、それとも1通目にあった、椅子の中に入った「私」が自分に座って著作を書く夫人(ナツとマイの祖母)に恋焦がれたという話の方が真実なのかが曖昧というか、その判断は聴き手に委ねられているという印象でした。このあたり、原作ではどのようなニュアンスなのか、読んでみたいです。

朗読のお二人がはけた後、最後にピアノの橋沼黎さんが下手のピアノの前から上手袖へはける時、舞台上の大きな椅子をちらりと見て通るという、意味深な演出がありました。


続きがあります
posted by スキップ at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする

2023年02月02日

命果てるその刹那も一人舞う 「エリザベート」


elisabeth20231.jpeg


2020年 初演から20周年を迎えた記念公演(東京・大阪・名古屋・福岡の4都市)が全公演中止となって、仕切り直しの2022-2023年シーズン。

花總まりシシィ vs 井上芳雄トートの
バチバチ火花散るように丁々発止ながらエレガントで気品ある
♪私が踊る時 
が歴代エリザイチ好きな不肖スキップといたしましては
今シーズンのエリザは博多座一択

せっかくなので、愛希れいか&古川雄大ペアも博多座で観ることにしてマチソワしました。
東京公演のみだった2019年は観に行きませんでしたので、東宝版を観るのは2016年以来、7年ぶりでした。


ミュージカル 「エリザベート」
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ 
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞:小池修一郎
音楽監督:甲斐正人   美術:二村周作
照明:笠原俊幸   衣裳:生澤美子
振付:小㞍健太  桜木涼介
出演:花總まり  愛希れいか  井上芳雄  古川雄大
田代万里生  佐藤隆紀  甲斐翔真  立石俊樹
未来優希  剣 幸  涼風真世  香寿たつき
黒羽麻璃央  上山竜治  秋園美緒   彩花まり 
原慎一郎  三木治人  井伊巧 ほか

2023年1月26日(木) 12:00pm 博多座 2階H列下手/
5:00pm 1階L列(8列目)上手
(上演時間: 3時間10分/休憩 30分)



elisabeth20234.jpeg elisabeth20235.jpeg

マチソワのプリンシパルキャスト
立石俊樹くんのルドルフと香寿たつきさんのゾフィー(ここ数年のゾフィーでは一番好き)が観られなかったのは残念でしたが、ダブルキャストほぼコンプリートできて満足。
初めて観るキャストも何人かいて、新鮮でした。
キャストが変わると2つの違う世界が立ち上がるの、本当におもしろい。



「エリザベート」は1992年にウィーンで初演され、1996年に宝塚歌劇で日本初演されたミュージカル。
宝塚歌劇では2018年の月組まで、10回の上演を重ねる人気作品です。
宝塚で観た後、東宝や他の舞台で同じ作品を観るとちょっとがっかりすることが少なくありません(「ロミオとジュリエット」しかり「オーシャンズ11」しかり)が、この「エリザベート」と「1789」は宝塚版も東宝版も大好き。

2000年の東宝初演時、演出の小池修一郎先生は、主要キャストの出入りを上手、下手全て逆にしたほど”宝塚版”との違いにこだわったと何かで読んだことがありますが、男役が演じるトートが主人公の宝塚版と違って、東宝版の方がよりオリジナルに近くリアリティを追求した印象があります(宝塚にはスミレコードもありますし(^^;)

宝塚版、東宝版ともに何度も観ている作品ですが、いつ何度観てもその時々に感動し、また新しい発見もある舞台。
♪僕はママの鏡だから とルドルフは歌いますが、この作品は時代を映す鏡でもあるなぁと感じています。
楽曲のすばらしさはもちろん、ハプスブルク家の崩壊という史実をなぞりつつ、現代の世界にも通じる普遍性のある物語、20年以上にわたって新陳代謝を続け、新しいスターを生み出してきた選び抜かれたキャスト、力を結集したスタッフ・・・多くの人の熱い思いが結集してつくり上げた極上の舞台を観ることのできる幸せを、この作品を観るたびに感じます。


続きがあります
posted by スキップ at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする

2023年02月01日

No day, but today 星組 「ディミトリ」新人公演


dymitoryshinko1.jpeg dymitryshinko2.jpeg


星組「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」は新人公演も観劇することができました。
宝塚公演は大劇場でナマで、東京公演は配信で視聴しました。
東京公演が休演となってしまった時はどうなることかと思いましたが、この状況下、東西両公演できて本当によかったです。


宝塚歌劇  星組公演
浪漫楽劇 「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」 新人公演
─並木陽作「斜陽の国のルスダン」より─
脚本・演出:生田大和
新人公演担当:熊倉飛鳥
出演:天飛華音  藍羽ひより  大希 颯  稀惺かずと  鳳真斗愛
水乃ゆり  世晴あさ  御剣 海  碧音斗和  瑠璃花夏  紘希柚葉
紅咲梨乃  奏碧タケル  綾音美蘭  詩 ちづる 美玲ひな ほか

2022年11月29日(火) 6:00pm 宝塚大劇場 2階6列センター/
2023年1月19日(木) 6:30pm 東京宝塚劇場 (配信視聴)
(上演時間: 1時間45分)



本公演の感想はこちら


本公演の完成度がとても高く、原作ものではありますが、一人ひとりの役があて書きかと思うほどハマっていますので、新人公演もハードルが上がったと思いますが、若いチカラ一丸となって熱気あふれる舞台。
大劇場でもすばらしかったですが、特に東京公演は、このまま本公演できるのでは?と思うほどクオリティの高い舞台を見せてくれました。


天飛華音 (ディミトリ/本役・礼真琴)
102期生の天飛さんはこれが最後の新人公演。
今回を含めて3度目の新人公演主演ですが、主演として礼真琴さんの役を2度、礼さん二番手時代の「Another World」でも礼さんの役を勤めています。このあたり、柚希礼音さんトップ時代の礼さんと軌跡が重なります。

すばらしいディミトリでした。
華があり、真ん中に立つ求心力もあって、新公の舞台ではやはり頭一つも二つも抜きん出ている印象。
お得意のダンスはもちろん、歌、芝居、どれをとっても穴がありません。
元々礼さんが歌うためにつくられた楽曲は難易度が高く、宝塚大劇場で観た時は「完コピ」と言われるほど声まで礼さんに寄せていましたが、東京では自分らしさも加えて、余裕すら感じました。
ジョージアンダンスの戦闘場面は多少苦戦している下級生も見当たりましたが、さすが本公演でも同じ場面に出ている天飛さんはキレッキレのダンスで周りを牽引していました。



続きがあります
posted by スキップ at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする