13世紀のジョージア(旧グルジア)の史実を踏まえた並木陽さんの小説「斜陽の国のルスダン」を原作に、実在の女王ルスダンの王配として生きたディミトリを主役に置き換えた作品。
スィクヴァルリ(愛)・シブルズネ(知恵)・ガンベダオバ(勇気)という名の薄紫のリラの精たちが語り継ぐ、切なくも美しい愛の物語。
とても、とても心に響きました。
宝塚歌劇 星組公演
浪漫楽劇 「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」
─並木陽作「斜陽の国のルスダン」より─
脚本・演出:生田大和
作曲・編曲:太田 健 音楽指揮:西野 淳
振付:御織ゆみ乃 桜木涼介 ノグチマサフミ
擬闘:栗原直樹 装置:國包洋子 衣装:加藤真美
出演:礼 真琴 舞空 瞳 瀬央ゆりあ 暁 千星 美稀千種 白妙なつ
大輝真琴 輝咲玲央 ひろ香 祐 紫 りら 音咲いつき 朝水りょう
綺城ひか理 有沙 瞳 天華えま 天希ほまれ 小桜ほのか 遥斗勇帆
蒼舞咲歩 極美 慎 碧海さりお 夕陽真輝 天飛華音 奏碧タケル
水乃ゆり 瑠璃花夏 詩 ちづる 藍羽ひより ほか
2022年11月12日(土) 1:00pm 宝塚大劇場 2階1列センター/
11月13日(日) 11:00am 2階6列下手/11月17日(木) 3:30pm 2階16列上手
11月24日(木) 11:00am 1階8列下手/11月27日(日) 3:30pm 2階16列センター
12月2日(金) 1:00pm 2階13列センター/12月4日(日) 3:30pm 1階25列上手
12月11日(日) 11:00am 1階7列センター/12月13日(火) 1:00pm 1階12列下手
2023年1月14日(土) 11:00am 東京宝塚劇場 2階7列下手/3:30pm 1階1列上手
(上演時間: 1時間35分)
礼真琴生誕祭(12月2日)のレポはこちら


物語も音楽も衣装も、すべて美しく、繊細な脚本と演出、それに応える出演者たちの熱演。
ディミトリとルスダンの愛を縦糸に、国や宗教、それぞれの人物の思いが織りなす重厚な物語。
最初に観た時から泣いて、観るたびに泣くポイントが増えていきました。
★物語
13世紀前半 東ヨーロッパの小国ジョージアが物語の舞台。
ディミトリ(礼真琴)はイスラム教国ルーム・セルジュークの王子ですが、友好の証=人質として隣国ジョージア王国に送られ、国王ギオルギ(綺城ひか理)の妹ルスダン(舞空瞳)と幼いころから心を寄せ合っていました。ところがある日、突如来襲したチンギス・ハーン(輝咲玲央)率いるモンゴル軍との戦闘でギオルギ王が瀕死の重傷を負い、ルスダンを女王に、にディミトリをその王配となるよう遺言を遺してこの世を去ります。ギオルギ王を崇拝していた副宰相アヴァク(暁千星)はこれに反発、ディミトリはその出自ゆえに廷臣たちからも政に関わることを拒否されます。それでも、タマラ(藍羽ひより)という娘も生まれ、平穏に暮らしていた二人ですが、今度はジョージア同様モンゴルに侵略され自国を失ったホラムズの帝王ジャラルッディーン(瀬央ゆりあ)が国土を求めて現れます・・・。
上演が発表された時に原作を読んで、すべての観劇が終わってからもう一度読み直したのですが、ほぼ原作に忠実なストーリー。
台詞や歌詞も原作の語句そのままというところも多く、それらがうまく取り入れられていることにも改めて感心しました。
たとえば、トビリシの市
農夫さえ まるで貴族さ
貴族なら もはや王族
王族とくれば それは王様
豊かなるこの街 トリビシでは~
って、小説の中の一文があんなに陽気で元気な歌詞になって歌い踊るなんて!
ジャラルッディーンとの最初の登場シーンで、ナサウィー(天華えま)が「我が君の御為とあらば、いつなりと名文を書いてみせますとも」と言ってウィンクしますが、ちゃんと原作に「片目をつぶってみせた」と書いてあって、原作通りなんだ!となりました。
ちなみにここのナサウィー、とてもやわらかな物腰なのに、ジャラルッディーンが歌う曲のイントロが流れた途端、パシッとスイッチ入って戦闘的なキリッとした表情になるの、とてもよくて毎回ガン見です。
続きがあります