2023年01月11日

あなたは難しい方を選んでください 雪組 「蒼穹の昴」


sokyunosubaru.JPG


宝塚歌劇での上演が決まってから原作を読んで(こちら)、あまりの面白さにその後、「珍妃の井戸」「中原の虹」「マンチュリアン・リポート」とこのシリーズをずんずん読みました。特に「中原の虹」では、張作霖のカッコよさにとなり、「蒼穹の昴」ラストで日本に亡命した梁文秀が出てきた時には「文秀 生きてた~」と思わず手を叩いたくらい←

それほど思い入れのある作品。
文庫本4冊にもなる長編大作を、1本ものとはいえフィナーレ含めて2時間半の舞台でどのように描くのか、楽しみでもあり不安でもありました。
が、原田諒くんがんばった←どんな上から目線 (≧▽≦)

原田諒くんについては昨年末にとんでも事案が発覚しましたが、それはこの作品のすばらしさや、この作品をよきものにしようと一丸となってがんばった役者さんたち、スタッフさん、舞台関係者の皆さまの努力とは別次元の話なのでこの際スルー。


宝塚歌劇 雪組公演 
グランド・ミュージカル 「蒼穹の昴」
原作:浅田次郎 「蒼穹の昴」
脚本・演出:原田 諒   
作曲・編曲:玉麻尚一  音楽指揮:御﨑 恵
振付:羽山紀代美  麻咲梨乃  AYAKO  百花沙里
京劇指導:張 春祥   所作指導:袁 英明   
装置:松井るみ   衣装:有村 淳
出演:彩風咲奈  朝月希和   朝美 絢  和希そら  縣 千  夢白あや
奏乃はると  真那春人  久城あす  天月 翼  叶ゆうり  諏訪さき
野々花ひまり  眞ノ宮るい  星加梨杏  一禾あお  咲城けい  壮海はるま
音彩 唯  紀城 りや  華世 京
/凪七瑠海  京 三紗  汝鳥 伶  一樹千尋  夏美よう  悠真 倫 ほか

2022年10月6日(木) 3:30pm 宝塚大劇場 1回階12列センター/
10月27日(木) 3:30pm 2階1列センター/
10月30日(日) 11:00am 1階13列上手/
11月3日(木) 3:30pm 2階6列下手/
11月6日(日)11:00am 1階21列センター/
12月6日(火) 6:30pm 東京宝塚劇場 1階17列下手/
12月25日(日) 1:00pm TOHOシネマズなんば(ライブ中継)
(上演時間: 3時間5分/休憩 35分) 



光緒12年(1886年)から光緒25年(1899年)までの清朝末期の物語。
梁家屯の地主の次男・梁文秀(リァン・ウェンシウ/彩風咲奈)は、村に住む老占い師の白太太(京三紗)から「汝は帝を扶翼し奉る重き宿命を負うておる」と予言されたとおり、熾烈な科挙試験に状元(首席)で合格し、ともに合格した順桂(和希そら)、王逸(一禾あお)とともに翰林院で九品官人法の官僚となります。
一方、文秀の夭逝した友人の弟で義兄弟の契りをかわした李春児(リィ・チュンル/朝美絢)もまた、極貧の中、白太太から告げられた「その手にあまねく財宝を手にするだろう」という言葉を信じて自ら浄身(去勢)し、妹・玲玲(リンリン/朝月希和)を故郷に残して宦官となって紫禁城に出仕します。
折しも清朝内部では、政治の実権を握っている西太后(一樹千尋)を戴く栄禄(悠真倫)をはじめとする保守派と、西太后を引退させて清国第十一代皇帝・光緒帝(縣千)の親政を実現しようとする楊喜楨(夏美よう)を筆頭とした変法派とに分かれ、激しく対立していました。
光緒帝を支え、変法派若手官僚の俊英としてその中心となる文秀、西太后の寵を得て、誰よりもその側近く仕える春児。
敵味方に分かれてしまった2人が、滅びゆく清朝の中で自らの宿命を全うして懸命に生きる姿を、滅びゆく清朝と彼らを取り巻く人々とともに壮大に描いています。



sokyunosubaru7 (2).jpeg



キャストが発表された時、主要人物ばかりでなく、ミセス・チャンやトーマス・バートン、岡圭之介、安徳海や黒牡丹なども役名があがっていて「え?その人も出てくるの?」「あのエピソードもあるの?」と驚いたものですが、原作の序盤で長く描かれた文秀の科挙試験のくだりをバッサリカットしたのをはじめ、物語の出来事を取捨選択しつつダイジェスト版にならなかった脚本の手腕が光ります。

西太后が身を引いて紫禁城から頤和園へ移る決意をし、これからは光緒帝の治世、と変法派に希望が見えてきた矢先に楊喜楨が暗殺されるまでが一幕(蠍の毒で殺される原作に対して、銃殺となっていました)。
風雲急を告げる二幕はさすがに急ぎ足の印象で、「これ、原作読んでいない人理解できるのかな?」とも思いましたが、友人に聞いたところプログラムと公式サイトの人物相関図で何とかなったそう。

細部まで考証された衣装や舞台装置は華やか。
専科から特出の6名と雪組総力あげて、スケール感たっぷりに重厚な世界を描き出して、楽曲もすばらしく、見応え聴き応えのある作品となっていました。

物語の冒頭、白太太に促されて昴を見上げる文秀と春児、玲玲。
2階6列下手で観た時、ちょうどその視線の先が私たちの座席で、オペラのぞく目が合うくらい。
幕間に隣席の友人と「私たち昴だったねぇ」と喜んだものでした(^^ゞ


続きがあります
posted by スキップ at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする