2022年09月03日

八月納涼歌舞伎 第一部


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休演を経て代役祭りとなった「八月納涼歌舞伎」。
猿之助さんがインスタグラムストーリーにポストされていた「続ける勇気」という言葉が本当に心に響きました。
歌舞伎役者さんの本気の底力を見せていただいた思い。


八月納涼歌舞伎 第一部
2022年8月25日(木) 11:00am 歌舞伎座 3階2列上手


一、新選組
原作:手塚治虫
脚本:日下部太郎
出演:中村勘九郎  中村七之助  中村橋之助  中村虎之介
中村鶴松  片岡亀蔵  片岡仁三郎  坂東彌十郎  中村扇雀 ほか
(上演時間: 1時間13分)



傷を負った侍を匿ったため、追ってきた庄内半蔵(仁三郎)に父を殺された深草丘十郎(七之助)は、父の仇を討つため新選組に入隊し、鎌切大作(勘九郎)と出会い、正反対の性格ながら気が合う2人は親友となります。そんな中、丘十郎は見事父の仇を討ちますが、討たれた半蔵にも娘の八重(鶴松)がいて、今度は自ら仇として狙われる立場になります。さらには、大作が長州の間者である事が発覚し・・・。


手塚治虫作品初めて歌舞伎化。
新選組好きとしては大いに興味あるところですが、この漫画は読んだことがなく・・・というか手塚治虫さんが「新選組」を書いていらしたことも存じ上げませんでした。

新選組の近藤勇、土方歳三、芹沢鴨、沖田総司、さらには坂本龍馬といった実在の人物に、深草丘十郎と鎌切大作という架空の人物を絡ませ、芹沢鴨の粛清、池田屋事件といった史実も織り交ぜて描きます。


物語の発端として「父親の仇討ち」があるのですが、丘十郎が親の仇を追ううち、自分も仇として追われる身となり、その連鎖の虚しさを知る・・・という”復讐の連鎖”が「新選組」の物語の中で描かれているところが、とても新鮮というか、手塚治虫さんが新選組の形を借りて描きたかったキモはここなのかなと思いました。
さらには、イメージ通りのキャラクターでもある坂本龍馬(中村扇雀)に「新選組を出ろ。国も捨てろ。広く世界を見て勉強して来い。そしてこの国の未来を築け」と言わせて丘十郎を送り出すラストも、この先の新選組の破滅的なイメージとは違って未来への希望が満ちていてすばらしく、原作が少年漫画であることを思えば、未来ある少年少女が読むものはこうでなければと感じた次第。

いやほんと、手塚治虫さんってやっぱりすごい。


続きがあります
posted by スキップ at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする