2022年06月04日
上級者編 「セールスマンの死」
かつて敏腕セールスマンだった63歳のウィリー・ローマンが 、帰宅した月曜日の深夜から自ら命を絶つ火曜日の深夜までの“24時間”を描いた作品。
言わずと知れたアーサー・ミラーの代表的な戯曲で1949年初演。
日本でも数々上演されてきましたが(最近だと長塚圭史さん演出、風間杜夫さん主演版がありました)、ご縁がなくてこれまで未見。
今回は主演の段田安則さんはもちろん、演出が「FORTUNE」(2020年)で鮮烈な印象を残したショーン・ホームズさんというのも楽しみにしていました。
PARCO PRODUCE 2020 「セールスマンの死」
作:アーサー・ミラー
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
美術・衣裳:グレイス・スマート
音楽:かみむら周平 照明:佐藤啓
出演:段田安則 鈴木保奈美 福士誠治 林遣都 前原滉 山岸門人
町田マリー 皆本麻帆 安宅陽子 鶴見辰吾 高橋克実
2022年5月20日(金) 1:00pm 兵庫県立芸術文化センター
阪急中ホール 1階H列センター
(上演時間: 2時間35分/休憩 20分)
物語の舞台は1950年代前後のニューヨーク。
かつて敏腕セールスマンとして鳴らしたウィリー・ローマン(段田安則)も今や63歳。
得意先も次々と引退する中、思うようにセールスの成績も上がらずかつてのような精彩を欠いて、二世の社長(山岸門人)からは厄介者として扱われていますが、それでも地方へのセールスの旅を終え、いつもの通り帰宅します。
妻のリンダ( 鈴木保奈美)は夫のウィリーを尊敬し献身的に支えていますが、30歳を過ぎても自立出来ない2人の息子ビフ(福士誠治)、ハッピー(林遣都)とは過去のいきさつにより微妙な関係となっています。セールスマンこそが夢を叶えるにふさわしい仕事だと信じてきたウィリーですが、ブルックリンの一戸建て、愛しい妻、自分を尊敬する自慢の息子、一度は手にしたと思った夢はもろくも崩れ始め、全てに行き詰まったウィリーは・・・。
オーソドックス版を観たことありませんが、それでも今回の演出がかなり斬新だということはわかります。
舞台の空間に浮かんでいるような2本の電柱と電線。
舞台中央には巨大な冷蔵庫。
電気の振動音のようなノイズ。
可動式で現れては消えていくウィリーの自宅のダイニングルームやオフィス。
その周りを浮遊するように動いたり自転車に乗った人々。
不確かで歪んだような時空。
続きがあります