2022年04月16日
音楽はいつだって僕らのそばに 「夜来香ラプソディ」
キューブ創立25周年記念作品。
第二次世界大戦末期の上海が舞台で、河原雅彦さん演出、本間昭光さんの音楽というところも同じだったキューブの20周年作品「魔都夜曲」(2017年)と連作ということになるでしょうか。
「魔都夜曲」で松下洸平さんは服部良一をモデルにした人物の役でしたし、壮一帆さんはどちらの作品でも同じ川島芳子役で出演されています。
cube 25th presents 音楽劇 「夜来香ラプソディ」
作:入江おろぱ
演出:河原雅彦
音楽:本間昭光
音楽監督・歌唱指導:福井小百合 バンドマスター:立川智也
振付:青木美保 アクション指導:前田悟
美術:松井るみ 衣装:生澤美子
出演:松下洸平 白洲 迅 木下晴香 壮 一帆 上山竜治
夢咲ねね 仙名彩世 前田悟 山内圭哉 山西 惇 ほか
2022年4月10日(日) 12:00pm サンケイホールブリーゼ 1階H列センター
(上演時間: 2時間55分/休憩 20分)
「魔都夜曲」の感想はこちら
物語の舞台は第二次世界大戦末期 1945年の上海。
欧米や日本など列強各国が租界(行政自治権や治外法権を持つ外国人居留地)を設け、外国人が多く住み、「魔都」と呼ばれる゙異国情緒が溢れる華やかな都市となっていたこの街に、陸軍報道班員として渡ってきた日本の人気作曲家・服部良一(松下洸平)は、「夜来香」を作曲した中国人作曲家・黎錦光(白洲迅)や人気女優で歌手の李香蘭(木下晴香)と友情を育みます。ついに、彼らを中心にした大規模な西洋式コンサートの開催計画が持ち上がりますが、実現にいたるには日本軍や中国本土の政治勢力、上海マフィアによる思惑や数々の困難を乗り越えなければなりませんでした・・・。
幕開けはコンサート「夜来香ラプソディ」の始まり。
燕尾服に身を包みタクトを振る服部良一こと松下洸平さん。
「このようなご時世の中、お越しいただき誠にありがとうございます。異様な状況下でも、ここに来ることを選んでくださった皆さんに感謝いたします」という口上で幕を開けます。
1945年 戦時下の上海と、新型コロナウイルス感染症の影響下にある現代社会ーその二つの世界をともに覆う閉塞感が重なります。
ここから時間を遡って、服部良一が上海にやって来た日からコンサート開催に至るまでの物語が、コンサートの場面を間に挟みながら描かれます。
このコンサートは実際に開催されたものだそうで、1945年6月 終戦2ヵ月前の上海でこんなコンサートが開催されたことにまずは驚き。
服部良一さんはじめ、黎錦光さん、李香蘭さん、川島芳子さん、そして山内圭哉さんが演じた山家亨陸軍報道班少佐も実在の人物です。
史実とフィクションを織り交ぜて、「終戦間際にもかかわらず、人種やイデオロギーの壁を乗り越え、コンサートを開催しようとした人々の葛藤や夢を描く物語」ということですが、何となく表層的というか、実際に起こった出来事をなぞることに終始していて、実際はもっと深刻であったであろう戦争の暗い影があまり感じられない印象でした・・・音楽劇だから?(否)
続きがあります