2022年04月30日

日本イチのお人好し! 雪組 「夢介千両みやげ」


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もう次の星組公演も始まって、すでに2回も観たのですが(そしてその印象が強すぎて前の公演の記憶は薄れがちでもあるが)、先に観た雪組公演のレビューを。
まずはお芝居から。


宝塚歌劇 雪組公演
大江戸スクランブル 「夢介千両みやげ」
原作:山手樹一郎
脚本・演出:石田昌也  
作曲・編曲:手島恭子
音楽指揮:御﨑 惠
振付:山村友五郎  若央りさ   殺陣:清家三彦
装置:稲生英介   衣装:加藤真美
出演:彩風咲奈  朝月希和  朝美 絢  奏乃はると  千風カレン  
真那春人  久城あす  杏野このみ  愛すみれ  和希そら  
妃華ゆきの  綾 凰華  諏訪さき  野々花ひまり  希良々うみ  
眞ノ宮るい  星加梨杏  縣 千  夢白あや  華世京/汝鳥 伶 ほか

2022年3月20日(日) 3:30pm 宝塚大劇場 1階9列下手/
4月7日(木) 3:30pm 1階6列センター/
4月17日(日) 11:00am 1階18列センター
(上演時間: 1時間35分)



小田原の庄屋の息子・夢介(彩風咲奈)は、父親から“通人”となるため千両を使って道楽修行をするよう言い渡され、江戸へ向かう道中、“オランダお銀”と呼ばれる女スリ(朝月希和)に懐を狙われますが、夢介の朴訥で底抜けな優しさに触れたお銀は一目惚れ、押しかけ女房となり二人は江戸で奇妙な同棲生活を始めます。根っからのお人好しの夢介は江戸でも数々の事件に巻き込まれますが、持ち前の優しさと金の力で解決、そのたびに女にも惚れられて・・・という物語が、飛脚屋の遊び人の若旦那・伊勢屋総太郎(朝美絢)やお銀の幼馴染でスリの三太(和希そら)たち周りの人々を巻き込んで繰り広げられます。


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屈託のない明るい喜劇。明るいお話を気楽に楽しむというテイストで、平和で誰も死なず、みんな幸せのハッピーエンド。
最後は夢介の「皆さまお手を拝借」という言葉で舞台客席一緒になって三本締めの手拍子という多幸感。
直前に観た作品がスペイン内戦を描いた宙組の「NEVER SAY GOODBYE」でしたので、そのギャップに思わず苦笑い。
でもこのふり幅の大きさもタカラヅカ。

原作は「桃太郎侍」をはじめ数々の名作を生み出した山手樹一郎さんの代表作の一つということですが、「桃太郎侍」は知っていても山手樹一郎さんは知りませんでした(←)。

ということで事前に原作を読みかけたのですが、夢介がトラブルに巻き込まれる→人のよさとお金を出して解決 の繰り返しで飽きてしまって途中でリタイア。結局あの分厚い原作本の半分も読んでいませんが、この舞台に出てきた登場人物、ごくわずかを除いてほとんど知っていましたし、舞台で描かれたエピソードもほぼ知っているものでした・・・あの原作の残り半分にはいったい何が?・・・というのはともかく、夢介とお銀の出会いに始まって、一つ目の御前(真那春人)一味とのいきさつ、五明楼の芸妓・浜次(妃華ゆきの)娘手品師の春駒太夫(愛すみれ)、悪七夫婦(綾凰華・希良々うみ)の企みから、総太郎をめぐるお松(野々花ひまり)お糸(夢白あや)の一件まで、原作に出てくるエピソードを盛沢山に手際よくまとめたなという印象です


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2022年04月28日

読了 「蒼穹の昴」


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映画「ラストエンペラー」が大好きで、落日の清王朝が大好物の不肖スキップ。
紫禁城をこの目で見たくて北京にも行きました(こちら)。
あの時、この小説に何度も出てくる「頤和園」にも行きましたが、今ならもっと興味シンシンで見られるなぁ。

この作品にも興味があって、以前にも読もうとしたことがあったのですが、分厚い上下巻(文庫本だと4冊)にビビって躊躇ったという経緯があります。
今年の10月 宝塚歌劇団雪組で上演されることが発表されまして、それならば、と思い切って読むことにしました。
読み始めると非常におもしろく、4巻一気読みです・・・というか、読み終わってしまうのが寂しいくらいでした。


「蒼穹の昴」
作:浅田次郎
初版:1996年4月 講談社/2004年10月 講談社文庫



光緒12年(1886年)から光緒25年(1899年)までの清朝末期の物語。
梁家屯の地主の次男・梁文秀(リァン・ウェンシウ)は、村に住む老占い師の白太太から「汝は学問を磨き知を広め、帝を扶翼し奉る重き宿命を負うておる」と予言されたとおり、熾烈な科挙試験に状元(首席)で合格し、翰林院で九品官人法の官僚となります。
一方、文秀の夭逝した友人の弟で義兄弟の契りをかわした李春児(リィ・チュンル)もまた、極貧の中、白太太から告げられた「その手にあまねく財宝を手にするだろう」という言葉を信じて自ら浄身(去勢)し、宦官となって紫禁城に出仕します。

折しも清朝内部では、政治の実権を握っている西太后を戴く后党=保守派と、西太后を引退させて清国第十一代皇帝・光緒帝の親政を実現しようとする帝党=変法派とに分かれ、激しく対立していました。
光緒帝を支え、変法派若手官僚の俊英としてその中心となる文秀
西太后の寵を得て、誰よりもその側近く仕える春児。
敵味方に分かれてしまった2人が、滅びゆく清朝の中で自らの宿命を全うして懸命に生きる姿を、滅びゆく清朝と彼らを取り巻く人々とともに壮大に描いています。

西太后や光緒帝はもちろん、李鴻章、袁世凱といった歴史の教科書で名前を知っている人物や、栄禄や李蓮英、康有為などの名前は知らなかったけれど実在の人物と、梁文秀、春児たち架空の人物とが絡み合い、虚実織り交ぜて展開する物語のおもしろさ。
伊藤博文や孫文、幼き日の毛沢東も出てきました。

重厚な物語で、人名の漢字や清朝の官吏制度など難しい部分もありますが、歴史的事実は歪曲せずに、加えられたフィクションでその裏にはこんな事情や心情があったのかと興味はつきません。悪名高い西太后さえ、本当はこんな人だったのかーと思えてしまいます。


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2022年04月27日

普通でなくても 「next to normal」


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2009年ブロードウェイで初演され、トニー賞主演女優賞・楽曲賞・編曲賞を受賞。2010年には「RENT」に次いで、ミュージカルとしては史上2番目にピューリッツアー賞を受賞したミュージカル。
日本初演は2013年。今回は日本オリジナル演出版での再演です。

「だいもん(望海風斗さん)が出るなら観てみようかな」ぐらいの軽い気持ちでチケット取ったのですが、とんでもなく心揺さぶられる作品でした。


next to normal」 (ネクスト・トゥ・ノーマル)
音楽:トム・キット
脚本・歌詞:ブライアン・ヨーキー   訳詞:小林 香
演出:上田一豪
音楽監督:小澤時史
振付:小㞍健太   美術:池宮城直美
照明:吉枝康幸   衣裳:及川千春
出演:望海風斗  甲斐翔真  渡辺大輔  屋比久知奈  大久保祥太郎  藤田玲
  (安蘭けい  海宝直人  岡田浩暉  昆 夏美     橋本良亮    新納慎也)

2022年4月21日(木) 1:00pm 兵庫県立芸術文化センター 
阪急中ホール 1階H列センター
(上演時間: 2時間35分/休憩 25分)



ストーリー: アメリカ郊外の町に暮らす、両親と息子、娘という普通の四人家族のグッドマン家。平穏な生活を送っているように見える一家ですが、実は母親のダイアナ(望海風斗)は長年双極性障害を患い、現実と幻想の間で生きていました。夫のダン (渡辺大輔)はそんな妻を献身的に支えながらも疲れ切っています。ダイアナは息子のゲイブ(甲斐翔真)に愛情を注いでおり、娘のナタリー(屋比久知奈)は母から愛されていないと感じています。ダイアナの症状がますます悪化したある日、ダンは新しい主治医ドクター・マッデン(藤田玲)のもとへ彼女を連れて行きます・・・。


ミュージカルなのですが、今まで観たどんなミュージカルとも違っていました。
何というか、とてもストプレなのだけれど、まるで話すように台詞を歌う、といった感じ。それも膨大な量の台詞を。
キャストが歌えなければ成立しない作品とも感じましたが、その点は主演の望海さんはもちろん、6人とも歌うまさん揃いで耳福。

濃淡のグレーで統一され、鉄骨の骨組みのような2階建てのセットが組まれた舞台。
分割された部屋が回転してダイアナ家のダイニングルームや、ナタリーの学校、ドクター・マッデンの治療室などになって物語は展開します。


続きがあります
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2022年04月26日

フルーツもりもりフレンチトースト @Rosier


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フェニーチェ堺といえば、3月に中村屋さんの「陽春特別公演」を観に行った際に、こちらでランチいただきました。


ネオフルーツパーラー Rosier (ロジエ)
堺市堺区市之町東5丁1-15
tel: 072-248-6033


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フェニーチェ堺から歩いた10分ぐらいのところにあります。
こちらから南海高野線堺東駅までは15分ぐらいだったでしょうか。

古民家を改装した白い壁と優しい色あいの木のインテリアに囲まれたナチュラルな空間。
カウンターのショーケースには産地が書かれたフルーツがズラリと並んでいます。


季節限定メニューのいちごのフルーツサンドプレートお目当てだったのですが、なんとフルーツサンド全種類完売💦
それならば、とわがままをお願いして、フレンチトースト フルーツ増し増しにしていただきました。
フルーツパンケーキというチョイスもあったのですが、パンケーキよりフレンチトースト派なのです。



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持ってきてくださった時に「今日のいちごはとよのか、柑橘類は・・・」というように種類と産地を説明してくださいました(今となっては忘れてしまいましたが)。「ぶどうは2種類とも皮のまま食べられます」なんてことも。

本当に新鮮なことがよくわかる瑞々しくてとてもおいしいフルーツ。
キウイは少し酸っぱかったですが、それもこの果物本来の味と感じられます。

パティシエ手づくりのフレンチトーストはもちろん、一緒にいたただいたホットはちみつレモンジンジャーもおいしかったです。


フルーツサンドはテイクアウトもできるそうですし、パフェもとてもゴージャスでおいしそうだったので、堺に行く機会があればぜひまたリベンジしたいと思います。


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いや、堺に用事がなくてもフルーツサンドのためだけに行ってもいい← のごくらく地獄度 (total 2293 vs 2296 )



posted by スキップ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | グルメ | 更新情報をチェックする

2022年04月25日

音楽は平和の象徴 「さだまさし アコースティック・コンサート2022」


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ずいぶん若いころ、友人の影響でさだまさしさんの曲をよく聴いていました。
「風見鶏」「私花集」「夢供養」といったアルバムのころで、「飛梅」「晩鐘」「つゆのあとさき」「檸檬」「まほろば」・・・今でも歌詞を覚えている好きな曲がたくさんありました。

「さだまさしさんのコンサートが楽しい」とよく聞いていて、かねてより一度行ってみたいなぁと思っていたら堺にいらっしゃるということで初参戦・・・と思っていたのですが、先日別件で古いプログラム類を整理していて、「さだまさしコンサート」のパンフレットを発見👀
「1980年1月17日 フェスティバルホール」のチケットも挟み込んでいました。すっかり記憶から抜け落ちていましたが、アルバム聴いていたころに行ったのね~。


さだまさし アコースティック・コンサート2022
出演: さだまさし (vo, vi, g)
倉田信雄 (key)  木村誠 (ds)  田代耕一郎 (g)  

2022年4月21日(木) 6:00pm フェニーチェ堺 大ホール 1階15列上手
(演奏時間: 2時間20分)



さだまさしさん ソロで4525回目のコンサートだそうです。
通常のコンサートがどういう編成なのかわかりませんが、今回はアコースティック・コンサートということで、さださんが歌いながらヴァイオリンやギターを弾くほかは、ピアノ、ドラム、ギターというシンプルな編成でした。

噂どおり、MCが長い(笑)。
大体2曲歌って長いMC、また2曲歌って長いMC・・・という感じ。


SET LIST
1. 北の国から
2. 案山子
3. 無縁坂
4. 精霊流し
5. 交響楽
6. 殺風景
7. ジャカランダの丘
8. 秋桜
9. 道化師のソネット
10. キーウから遠く離れて(new album「孤悲」より)
11. 残したい花について
12. 主人公
13. ひと粒の麦〜Moment〜
Encore
14. いのちの理由



「最近の曲 知らないしなぁ」と不安に思っていたのですが、「北の国から」に始まって、14曲中10曲は知っている曲でなかなか初心者にやさしいセトリでした。
「無縁坂」「精霊流し」といったグレープ時代の曲も、さださんの生ヴァイオリンで聴くことができてうれしかったです。


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2022年04月21日

嘘にはやさしい嘘もある? 星組 「ザ・ジェントル・ライアー」


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星組 瀬央ゆりあさん初東上作品・・・となるはずが、コロナウイルス感染症の影響で2月1日から13日に予定されていた宝塚バウホール公演が中止。私のチケットもあえなく消えてしまいましたが、2月19日から25日の神奈川KAAT芸術劇場公演は完走できて本当によかった。
何とか私も配信で観ることができました。


宝塚歌劇 星組公演
ミュージカル・コメディ 
「ザ・ジェントル・ライアー ~英国的、紳士と淑女のゲーム~」
原作:オスカー・ワイルド
脚本・演出:田渕大輔  
作曲・編曲:青木朝子  植田浩徳
振付:御織ゆみ乃  桜木涼介 
装置:大橋泰弘   衣装:有村淳
出演:瀬央ゆりあ  美稀千種  紫 りら  大輝真琴  
綺城ひか理  小桜ほのか  咲城けい  水乃ゆり  
詩 ちづる  稀惺かずと ほか

2022年2月23日(水) 3:30pm 配信視聴
(上演時間: 2時間30分/休憩 25分)



物語の舞台は19世紀末のロンドン。
プレイボーイの子爵アーサー・ゴーリング卿(瀬央ゆりあ)は社幾多の女性と浮き名を流す自由気ままな独身貴族。父親のキャヴァシャム卿(美稀千種)からは早く身を固めるよう迫られています。ある日アーサーは、友人である政治家ロバート・チルターン(綺城ひか理)邸で開かれた夜会を訪れると、そこには、かつて密かに想いを寄せ合いながらも今はロバートの貞淑な妻となったガートルード(小桜ほのか)、顔を合わせればいつも喧嘩になるロバートの勝ち気な妹メイベル(詩ちづる)、そして財産目当てでアーサーに近づいたものの、さらに良い条件の相手と結婚するためにアーサーとの婚約を3日で破棄した過去を持つローラ・チーヴリー夫人(紫りら)という、アーサーと関わりの深い3人の女性がいました。今やウィーン社交界の花形となったローラは、政界一高潔な紳士と名高いロバートにある「切り札」をネタに自分の不正な株取引に加担する議会演説を強要していました。苦悩するロバートからすべてを打ち明けられたアーサーは・・・。


オスカー・ワイルドの原作「An ideal husband」(理想の夫)は未読です。
劇中の台詞にも出てきますが、「理想の夫」とはロバートのことで、つまり、本来はタイトルロールであるロバートが主人公の物語を、愛と友情のために時には優しい嘘もつくジェントル・ライアー アーサーを主人公に改変した作品ということになるでしょうか。

とは言うものの、そこまでアーサーを深く掘り下げて描かれてはいなくて、アーサーと彼を取り巻く3人の女性との恋のさや当てがメインのラブコメディといったところかな。


続きがあります
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