
初日直前に伝えられた吉右衛門さんのご訃報に言葉もなくす思いでしたが、今年もこうして南座の顔見世で1年の歌舞伎を締めくくることができるありがたさを噛みしめつつ、観てまいりました。
京の年中行事 當る寅歳
吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 第二部
2021年12月5日(日) 2:30pm 南座 3階2列センター

第一、三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場
作: 河竹黙阿弥
出演: 片岡孝太郎 中村隼人 片岡りき彌(名題昇進) 中村芝翫 ほか
(上演時間: 30分)
お嬢吉三(孝太郎)がおとせ(りき彌)から奪い取った百両を巡ってお坊吉三(隼人)と斬り合いになりますが、そこへ和尚吉三(芝翫)が仲裁に入り、同じ”吉三”の名をもつ三人の盗賊が義兄弟の契りを交わすおなじみ「大川端庚申塚の場」。
これまで幾度となく観ていますが、いかにも「東西合同大歌舞伎」といったこの座組で観るのは初めてで新鮮・・・というか、孝太郎さんのお嬢吉三を観るのが初めてでした。
お嬢吉三の妖しい美しさはさておき(コラッ!)急に男声に変わるところなど台詞はやはり安定、「月も朧に白魚の・・・」の名台詞も聴かせてくれました。
隼人くんは以前浅草歌舞伎でお嬢吉三を初役で演じた時は手に汗握ったものでしたが(調べたら2016年でした→こちら)、役が違うとはいえ見違えるような安定ぶり。11月歌舞伎座の「花競忠臣顔見勢」もよかったし、9月の「盛綱陣屋」、6月「日蓮」でも印象に残っていて、この5年間の精進ぶりが伺えます。
お嬢とお坊の立ち廻り観ながら、「和尚だれ?和尚だれ?」と心の中で考えていたのですが(「三人吉三」で配役把握していないと大体こうなりがち)、現れたのは芝翫さん。
芝翫さんは上背もあってガタイがいいので、二人の争いに割って入って止めるのも説得力あります。
にしても、芝翫さんは次の「身替座禅」で奥方玉の井を演じることは知っていましたので、「何気に中村芝翫奮闘公演じゃん」とびっくり。
おとせに抜擢されたりき彌さんの懸命さも印象的でした。
お師匠さんの秀太郎さん、南座のどこかでご覧になって喜んでいらっしゃったかな。
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