
WOWOWでこの作品がオンエアされているのを番組表で知りまして、「これ、とても好きな舞台だったのに感想書いてなかった」と反省いたしました次第でございます。
PARCO Produce 2021 「首切り王子と愚かな女」
作・演出: 蓬莱竜太
美術: 松井るみ
照明: 吉川ひろ子 音楽: 阿部海太郎 衣装: 西原梨恵
出演: 井上芳雄 伊藤沙莉 高橋努 入山法子 太田緑ロランス
石田佳央 和田琢磨 小磯聡一朗 柴田美波 林大貴 BOW
益田恭平 吉田萌美 若村麻由美
2021年7月11日(日) 1:00pm サンケイホールブリーゼ 1階D列センター
(上演時間: 2時間45分/休憩 20分)
物語の舞台は時代も場所も架空の王国・ルーブ。
リンデンの谷に住むヴィリ(伊藤沙莉)は生きることの意味を見い出せず、死のうとして最果ての崖にやって来て、この国の第二王子トル(井上芳雄)が次々と首を切っていく処刑の場に居合わせます。
英雄で人格者だった先王・バルが亡くなって20年、女王のデン(若村麻由美)が永久女王として統治していましたが、第一王子のナルが病となって以来、デンは国のことを顧みなくなり、民は貧しさに苦しみ、国への不満から反乱の気運が高まっていました。
そんな時、かつて「呪われた王子」として城から追放され北海の離島に閉じ込められていた第二王子トルが、反乱分子たちを鎮圧するため呼び戻され、使命感に燃えたトルは、罪人とした人々の首を次々切り落とし、「首切り王子」と恐れられるようになっていたのでした。
トルに無礼を働いたヴィリは、怒りを買いその場で処刑されそうになりますが、もともと死ぬことを望んでいて怖気づくことなく処刑を受け入れようとするヴィリに興味を持ったトルは、自分の召使いとして仕えることを命令します。
城での生活が始まり、ヴィリはしきたりとは無縁の奔放な言動で度々周りの人たちと衝突しますが、トルとは不思議と馬が合い、徐々に心の距離を縮めていきます・・・。
舞台中央に木で組み立てられた何台かの可動式の台。
それを取り囲むように三方に透明の壁で仕切られた個室が並んでいて、開演時間少し前になると役者さんたちが一人またひとりとその部屋に入って、仄暗い灯りの中、台本を確認したり水を飲んだり顔のストレッチをしたりしていて、「あ、これは楽屋なのか」と気づきました。
やがて上手にヴィリ役の伊藤沙莉さんが現れ、右手をすっとあげて芝居が始まります。
二幕はこの手をあげる役、太田緑ロランスさん(ヴィリの姉で近衛騎士のリーガン)でした。
この「楽屋」はその後もそのまま舞台にあり続け、出番ではない役者さんたちはここで舞台を見守り、簡単な着替えなども舞台端で行われます。可動式の台は役者さん自身が動かして、それが王宮の部屋になったり断崖絶壁になったり。馬は子どもが乗って遊ぶような木馬の少し大きいものでしたが、映像の効果もあって疾走感を感じたりもして、観る側のイマジネーションを刺激する劇構造が印象的でした。
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