2021年12月11日

余が見たこともない世界をお前の目が見る 「首切り王子と愚かな女」


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WOWOWでこの作品がオンエアされているのを番組表で知りまして、「これ、とても好きな舞台だったのに感想書いてなかった」と反省いたしました次第でございます。


PARCO Produce 2021 「首切り王子と愚かな女」
作・演出: 蓬莱竜太
美術: 松井るみ
照明: 吉川ひろ子   音楽: 阿部海太郎   衣装: 西原梨恵
出演: 井上芳雄  伊藤沙莉  高橋努  入山法子  太田緑ロランス  
石田佳央  和田琢磨  小磯聡一朗  柴田美波  林大貴  BOW  
益田恭平  吉田萌美  若村麻由美

2021年7月11日(日) 1:00pm サンケイホールブリーゼ 1階D列センター
(上演時間: 2時間45分/休憩 20分)



物語の舞台は時代も場所も架空の王国・ルーブ。
リンデンの谷に住むヴィリ(伊藤沙莉)は生きることの意味を見い出せず、死のうとして最果ての崖にやって来て、この国の第二王子トル(井上芳雄)が次々と首を切っていく処刑の場に居合わせます。
英雄で人格者だった先王・バルが亡くなって20年、女王のデン(若村麻由美)が永久女王として統治していましたが、第一王子のナルが病となって以来、デンは国のことを顧みなくなり、民は貧しさに苦しみ、国への不満から反乱の気運が高まっていました。
そんな時、かつて「呪われた王子」として城から追放され北海の離島に閉じ込められていた第二王子トルが、反乱分子たちを鎮圧するため呼び戻され、使命感に燃えたトルは、罪人とした人々の首を次々切り落とし、「首切り王子」と恐れられるようになっていたのでした。
トルに無礼を働いたヴィリは、怒りを買いその場で処刑されそうになりますが、もともと死ぬことを望んでいて怖気づくことなく処刑を受け入れようとするヴィリに興味を持ったトルは、自分の召使いとして仕えることを命令します。
城での生活が始まり、ヴィリはしきたりとは無縁の奔放な言動で度々周りの人たちと衝突しますが、トルとは不思議と馬が合い、徐々に心の距離を縮めていきます・・・。


舞台中央に木で組み立てられた何台かの可動式の台。
それを取り囲むように三方に透明の壁で仕切られた個室が並んでいて、開演時間少し前になると役者さんたちが一人またひとりとその部屋に入って、仄暗い灯りの中、台本を確認したり水を飲んだり顔のストレッチをしたりしていて、「あ、これは楽屋なのか」と気づきました。
やがて上手にヴィリ役の伊藤沙莉さんが現れ、右手をすっとあげて芝居が始まります。
二幕はこの手をあげる役、太田緑ロランスさん(ヴィリの姉で近衛騎士のリーガン)でした。

この「楽屋」はその後もそのまま舞台にあり続け、出番ではない役者さんたちはここで舞台を見守り、簡単な着替えなども舞台端で行われます。可動式の台は役者さん自身が動かして、それが王宮の部屋になったり断崖絶壁になったり。馬は子どもが乗って遊ぶような木馬の少し大きいものでしたが、映像の効果もあって疾走感を感じたりもして、観る側のイマジネーションを刺激する劇構造が印象的でした。


続きがあります
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2021年12月09日

スープに浮かんだモンブラン @un weekend à home


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南座顔見世興行観劇の前は以前から興味あったこちらのカフェに。


un weekend à home (アンウィークエンドアホーム)
京都市東山区松原町272-5 3F


八坂神社前から東大路通りを北に少し上がったところにあります。
京阪電車祇園四条駅から歩いて10分少しぐらいでしょうか。



韓国マカロン専門店 noncaron(同じビルにある)をプロデュースされているHanurleeさんが手掛けたカフェで今年2月のオープン時からかなり話題になりました。
Instagramのフォロワーのみ入店可能というシステム。オープン当初は大行列だった模様ですが、web予約できるようになってそれも解消されて落ち着いてきたようです。



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〝お家で過ごす週末〟がコンセプトで、ウッディなアンティークの家具が温かく落ち着いた雰囲気。
たまたま前の予約の時間帯のお客様が次々帰られる時間帯だったので、こんなふうに素敵なインテリアを撮ることができました。またすぐに満席になっちゃったけれど。



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こちらは私が座ったテーブル。
素敵でしょ?



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「ソンカラティラミス」や「クロッフル」が名物ですが、絶対これ!と決めていたのは「スープモンブラン」。
11月23日から登場した新メニューでちょっぴり塩味の効いた栗のスープに浮かぶモンブラン(冒頭の画像)。
愛媛県産の和栗をふんだんに使って、3ヵ月間試行錯誤をして完成したのだとか。
外はクリーミーでしっとり、中はサクサク。甘さ控えめですがスープの塩気とのバランスも絶妙でとてもおいしい。

ドリンクはアインシュペナー。
韓国版ウインナコーヒーみたいな感じ?
ブラックとホワイトがあって、こちらはホワイト。カフェラテ風味です。



あわよくばソンカラティラミスも、と思っていたけれど無理でした~ のごくらく地獄度 (total 2239 vs 2240 )



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2021年12月08日

吉例顔見世興行 第二部


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初日直前に伝えられた吉右衛門さんのご訃報に言葉もなくす思いでしたが、今年もこうして南座の顔見世で1年の歌舞伎を締めくくることができるありがたさを噛みしめつつ、観てまいりました。


京の年中行事 當る寅歳
吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 第二部


2021年12月5日(日) 2:30pm 南座 3階2列センター



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第一、三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場
作: 河竹黙阿弥
出演: 片岡孝太郎  中村隼人  片岡りき彌(名題昇進) 中村芝翫 ほか
(上演時間: 30分)



お嬢吉三(孝太郎)がおとせ(りき彌)から奪い取った百両を巡ってお坊吉三(隼人)と斬り合いになりますが、そこへ和尚吉三(芝翫)が仲裁に入り、同じ”吉三”の名をもつ三人の盗賊が義兄弟の契りを交わすおなじみ「大川端庚申塚の場」。

これまで幾度となく観ていますが、いかにも「東西合同大歌舞伎」といったこの座組で観るのは初めてで新鮮・・・というか、孝太郎さんのお嬢吉三を観るのが初めてでした。
お嬢吉三の妖しい美しさはさておき(コラッ!)急に男声に変わるところなど台詞はやはり安定、「月も朧に白魚の・・・」の名台詞も聴かせてくれました。

隼人くんは以前浅草歌舞伎でお嬢吉三を初役で演じた時は手に汗握ったものでしたが(調べたら2016年でした→こちら)、役が違うとはいえ見違えるような安定ぶり。11月歌舞伎座の「花競忠臣顔見勢」もよかったし、9月の「盛綱陣屋」、6月「日蓮」でも印象に残っていて、この5年間の精進ぶりが伺えます。

お嬢とお坊の立ち廻り観ながら、「和尚だれ?和尚だれ?」と心の中で考えていたのですが(「三人吉三」で配役把握していないと大体こうなりがち)、現れたのは芝翫さん。
芝翫さんは上背もあってガタイがいいので、二人の争いに割って入って止めるのも説得力あります。
にしても、芝翫さんは次の「身替座禅」で奥方玉の井を演じることは知っていましたので、「何気に中村芝翫奮闘公演じゃん」とびっくり。

おとせに抜擢されたりき彌さんの懸命さも印象的でした。
お師匠さんの秀太郎さん、南座のどこかでご覧になって喜んでいらっしゃったかな。


続きがあります
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2021年12月05日

真如堂で名残りの秋を愛でる


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本日は南座にて吉例顔見世興行観劇・・・の前に少し時間があったので、思い立ってこちらまで足をのばして、名残りの秋を愛でてまいりました。


真正極楽寺 真如堂
京都市左京区浄土寺真如町82
tel: 075-771-0915


もちろんピークは過ぎているのですが、息をのむほど鮮やかな紅葉がまだ残っていたり(冒頭の画像)、敷もみじに彩られた、この季節ならではの眺めをゆったり楽しみました。
タクシーの運転手さんは「まだまだ」とおっしゃっていたものの、河原町あたりはかなり人出が戻っているように感じましたが、このあたりはそれほど混み合うでもなく、静かに時が流れているよう。



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総門前の有名な紅葉 


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2021年12月04日

人間である前に医師です 「ザ・ドクター」


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1912年にアルトゥル・シュニッツラーが発表した「Professor Bernhardi」を「1984」「オレステイア」などで知られるロバート・アイクが翻案、脚本、演出して2019年にロンドンで初演された作品。もちろん今回が日本初演です。
原作の戯曲は当時実際に起きた事件を元に書かれたものだそうですが、主人公を男性から女性に置き換え、医療と宗教の対立だけでなく、人種やジェンダー、LGBT、階級格差やSNSなどの問題も盛り込んで、非常に現代的な作品となっていました。


パルコ・プロデュース2021
「ザ・ドクター」 the DOCTOR
作: ロバート・アイク
翻訳: 小田島恒志
演出: 栗山民也
美術: 松井るみ   照明: 服部基
音楽: 国広和毅   衣装: 西原梨絵
出演: 大竹しのぶ  橋本さとし  村川絵梨  橋本 淳  宮崎秋人
那須 凛  天野はな  久保酎吉  明星真由美  床嶋佳子  益岡 徹

2021年12月2日(木) 3:00pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
1階C列センター (上演時間: 2時間50分/休憩 20分)



イギリス最高峰の医療機関 エリザベス研究所。
所長のルース・ウルフ(大竹しのぶ)は、自ら妊娠中絶を行い敗血症で死の危機に瀕した14歳の少女の治療にあたる中、飛行機で移動中の両親からの依頼で臨終の典礼を授けるようとやって来たカトリックの神父 ジェイコブ・ライス(益岡徹)の入室を拒否します。少女が亡くなり、神父はその死に立ち会えず典礼を拒絶されたことを公にすると言って去ります。やがて、出資者や世論は彼女を断罪しようとする方向に高まり、研究所の医師たちも医学上、宗教上の主張により対立します。そんな中、医師としての信念を貫こうとするルースは、テレビのディベート番組へ出演して・・・。


舞台中央に大きなテーブルと数脚の椅子がある、無機質な雰囲気の部屋。
ここが病院のカンファレンスルームになったり、ソファなどのセットを少し加えて照明を変えて、ルースの自宅のリビングルームになったりして、ディベートの場面以外はこのセットで物語は展開します。
病院の場面では椅子に座った人を乗せたままテーブルと椅子がゆっくり回転するのですが、それだけでパワーゲームの変化を表しているようにも見えて、不気味にも感じる雰囲気を醸し出していて、舞台装置の力を見せつけられた思い。

「私は医師です」
というルースの言葉で始まり、この言葉で終わる物語。
カトリックとユダヤ教、白人と黒人、そしてユダヤ人、ジェンダー、性的マイノリティ、医師同士、医師と神父、医師と患者とその家族、研究所内の権力闘争・・・様々な確執が絡み合い、まるで公開処刑のようなSNS社会も反映して、現代の私たちに起こり得る問題がこれでもかと降ってきますが、どれ一つ解決することなく幕が下ります。

何が正解とか誰が正しいとか、ひと口に片付けられる問題ではないことは重々承知していますが、もがき苦しみながらも最初から最後まで医師として立とうとし続けたルースが10年間の医師免許停止という処分を受け、職を失い、「チャーリーに会いたい」と号泣して終わる結末は何とも救いようがなくて痛切。


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2021年12月03日

いくつでも食べられる @餅匠しづく


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とっておきのおやつとして、ちょっと気の張ったおもたせとして、これまで何度か購入するたびに感動していたお店。
先日初めてイートインに伺いました。


餅匠しづく
大阪市西区新町1-17-17
tel: 06-6536-0805

大阪メトロ四つ橋線 四つ橋駅から歩いて5分ぐらい。
オリックス劇場前 新町北公園の裏手にあります。


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お店に入るとずらり並んだ大福にテンションあがります。


いただいたのは(冒頭の画像)

 濃厚和栗モンブラン
 抹茶ソイオーレ
 深蒸し煎茶


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大福はいずれもこの季節限定で、濃厚和栗モンブランは1日限定20個。
残っていてラッキーでした。
抹茶を餡と生地にふんだんに使って、中二豆乳生クリームを包んだ「抹茶ソイオーレ」は初めていただきましたが、ひと口食べて「おいしい!」と声が出そうになりました。


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1週間後ぐらいにまた伺って(←)いただいた、ぎんなん大福とあわせ茶。
何食べてもやっぱりおいしい~。


どれも小ぶりで甘さ控えめで上品なお味。
見た目もかわいくて、何ならいくつでも食べられそうです。



食べるのも買うのもついあれもこれもとなってキケン のごくらく地獄度 (total 2235 vs 2236 )



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