

16世紀 エリザベス朝の時代には女性の役も男性が演じていたシェイクスピア劇を、オール・メールならぬオール・フィメールで演じる作品。
かねてからシェイクスピア作品は虚構性が立った方がおもしろいと思っていた森新太郎さんが、シェイクスピア作品の中でもとりわけ登場人物が男ばかりという政治劇「ジュリアス・シーザー」は女性だけで演じることが一番の強い虚構性になるんじゃないかなと考えたのがこの企画を提案した最初の理由だそうです。
パルコ・プロデュース2021 「ジュリアス・シーザー」
作 : ウィリアム・シェイクスピア
訳 : 福田恆存
演出: 森 新太郎
美術: 伊藤雅子 照明: 佐藤 啓 衣装: 西原梨恵
出 演: 吉田 羊 松井玲奈 松本紀保 シルビア・グラブ/
久保田磨希 智順 中別府 葵 小山萌子 安澤千草
水野あや 鈴木崇乃 西岡未央 清瀬ひかり 岡崎さつき
原口侑季 高丸えみり 藤野涼子/三田和代
2021年11月3日(水) 5:00pm 森ノ宮ピロティホール D列下手
(上演時間: 2時間15分)
物語の舞台は共和制末期 紀元前44年のローマ。
宿敵ポンペイを打ち破ったシーザー(シルビア・グラブ)が凱旋する中、盲目の占い師(高丸えみり)が「気をつけるがよい、3月15日に」と予言しますが、民衆を完全に味方にし、対抗勢力もなく、栄華を極めるシーザーは聞く耳を持ちませんでした。
独裁政治へと向かう危機を予感したキャシアス(松本紀保)は、シーザーの片腕であり国を憂うブルータス (吉田羊)を説得し仲間に引き入れ、シーザーを暗殺します。英雄の暗殺に混乱する民衆を前にブルータスがその理由を述べる演説をすると彼らは納得しますが、その直後、ブルータスの許可を得たと断ってアントニー(松井玲奈)がシーザー追悼の演説をすると・・・。
「ジュリアス・シーザー」はこれまで何作か観ていて(最も印象に残っているのは阿部寛さんがブルータスを演じた蜷川シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」(2014年)。藤原竜也くんのアントニーがとにかく圧巻でした)、だから、物語の流れも結末も知った上での観劇です。
舞台上の鏡が張り巡らされた天井まである高い壁が客席を映し出しているのを見て「まるで蜷川さんの舞台じゃん」とまず思いました。
壁はスライドしたりドアになって開いたり。シーザーの追悼演説の場面で鉄骨で組んだような階段が出てくる以外はすっとこのシンプルなセットで物語は展開します。
続きがあります