2021年10月27日
もうどこへも行くな 月組 「川霧の端」
月組 月城かなとさん・海乃美月さん トッププレお披露目公演。
1990年に剣幸さん、こだま愛さんのさよなら公演として上演された日本物と、2021年 珠城りょうさん、美薗さくらさんさよなら公演のショーという二本立て。
どちらもさよなら公演のリバイスなのねーとは思いましたが、さすが芝居の月組、特に「川霧の橋」は、すぐそばを川が流れる博多座にも、木を多く使われた劇場の雰囲気にも、そして日本物お得意の月城かなとさんの持ち味にもよく合って、すばらしかったです。
宝塚歌劇 月組公演
江戸切絵 「川霧の橋」-山本周五郎作「柳橋物語」「ひとでなし」より
原作: 山本周五郎
脚本: 柴田侑宏
演出: 小柳奈穂子
作曲・編曲: 寺田瀧雄 音楽監督・編曲: 𠮷田優子
振付: 尾上菊之丞 若央りさ
装置: 大橋泰弘 衣装: 加藤真美
出演: 月城かなと 海乃美月 光月るう 夏月 都 鳳月 杏
晴音アキ 春海ゆう 夢奈瑠音 蓮つかさ 暁 千星 麗 泉里
英 かおと 天紫珠李 結愛かれん 蘭世惠翔 柊木絢斗 瑠皇りあ
/京 三紗 梨花ますみ ほか
2021年10月24日(日) 11:00am 博多座 1階F列(5列目)上手/
4:00p 1階B列(最前列)下手
(上演時間: 1時間35分)
物語: 江戸隅田川 茅町の大工 杉田屋は棟梁の巳之吉(夢奈瑠音)、お蝶(夏月都)夫婦に子供がなく、幸次郎(月城かなと)を跡継ぎの若棟梁と定めます。同じく腕のいい半次(鳳月杏)と清吉(暁千星)を後見役としますが、我慢ならない清吉は杉田屋を出て上方に行くことを決め、研ぎ職人源六(光月るう)の孫娘お光(海乃美月)に3年待っていてほしいと言い残して旅立ちます。実は幸次郎もお光のことを思っており、杉田屋夫妻から正式に縁談話を持ち込みますが、源六に断られてしまいます。一方、半次は油問屋 相模屋の箱入り娘 お組に身分違いの叶わぬ思いを抱いていました。そんなある日、江戸の下町を焼き尽くす大火事が起こり・・・。
31年ぶりの再演で「柴田先生の作品の中でも非常に評価の高い作品ながら、そのこだわり故にご存命中は再演のかなわなかった作品」とプログラムの小柳奈穂子先生のご挨拶に書かれていて、柴田先生亡くなったからってすぐ再演するってどーなん?と思いましたが、この仕上がりなら柴田先生もきっと「よし!」とおっしゃってくださるのではないかしら。
江戸情緒たっぷりの中、江戸の市井の人々が舞台に息づき、歯切れよく美しい江戸言葉に彩られて、まるで上質の織物のように丁寧に紡がれた物語。
原作を読んだことがなくて、もちろん初演も観ておらず、全くの初見でしたが、とても楽しく拝見しました。
冒頭、月城かなとさん筆頭に、鳳月杏さん、暁千星さん、蓮つかささん、英かおとさんのいなせな太鼓にまずびっくり。
タカラヅカであんな和太鼓演奏聴けるなんて。
タイトルにもなっている柳橋の橋が何度も出てくる舞台装置も素敵でした。
幸次郎が主役ではありますが、お光、半次、清吉、それぞれに物語があって、その物語の絡み具合が絶妙。さらには周りの人々も江戸情緒たっぷり。さすが柴田先生の筆致と感心することしきり。そして、それを体現する月組の皆さんすばらしい。
続きがあります