2021年10月02日
九 月大歌舞伎 第二部
今年も「秀山祭」という冠のつかない九月大歌舞伎。
第一部は六世中村歌右衛門 二十年祭・七世中村芝翫 十年祭の追善興行、第三部は仁左玉の「四谷怪談」、そして、この第二部が「秀山祭」という位置づけでしょうか。
吉右衛門さんは出演されていませんが、播磨屋ゆかりの役者さんたちによる見応えある舞台が繰り広げられました。
九月大歌舞伎 第二部
2021年9月22日(水) 2:10pm 歌舞伎座 1階3列下手
一、近江源氏先陣館 盛綱陣屋
出演: 松本幸四郎 中村雀右衛門 中村錦之助 中村米吉 中村隼人
尾上丑之助 坂東亀三郎 中村吉之丞 澤村宗之助 大谷廣太郎
松本錦吾 中村歌昇 中村又五郎 中村歌六 ほか
(上演時間: 1時間55分)
頼朝亡き後、源氏一族の争いに巻き込まれた近江国の佐々木家。兄の盛綱(幸四郎)と弟の高綱は敵味方に分かれて戦うこととなります。盛綱の子息小三郎(亀三郎)は幼いながらも初陣を飾り、高綱の子息小四郎(丑之助)を生け捕りにする大功を立てました。琵琶湖にほど近い盛綱の陣屋では、盛綱が母の微妙(歌六)に囚われの身となった小四郎に切腹を勧めて欲しいと頼みます。そこへ高綱討死の報せが届き・・・。
義のため忠のため、幼い子どもの命が犠牲になる物語は苦手感ぬぐえない不肖スキップ。
この「盛綱陣屋」もその一つです。
いかに戦略のためとはいえ、自分の命や家を守るため、わが子に切腹を言い含める高綱どーよ?とこの演目を観るといつも思います。
しかも本人出て来ないし。
・・・という物語への思いはさておき、見応えたっぷりの義太夫狂言となっていました。
口跡よい役者さんが揃っていることもあって、「盛綱陣屋」でこんなにくまなく台詞聴いたの初めてかも(←)というくらい聴き入りました。
結果として、戦乱の世の中で、心ならずも敵味方に分かれてしまった兄弟の哀しみと非情・・・盛綱は盛綱なりの、高綱には高綱の葛藤や苦悩があることを感じ取ることができたように思います。
続きがあります