2021年10月31日

お芝居もショーも古きよき時代 雪組 「ヴェネチアの紋章/ル・ポァゾン 愛の媚薬」


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先日観た博多座月組公演は新トップコンビのプレお披露目公演でしたが、ただ今東京宝塚劇場で絶賛お披露目公演中の雪組新トップコンビのプレお披露目公演も観ました。
6月に←


宝塚歌劇 雪組公演 
ミュージカル・ロマン 「ヴェネチアの紋章」
原作: 塩野七生「小説イタリア・ルネサンス1 ヴェネツィア」
脚本: 柴田侑宏
演出・振付: 謝 珠栄
作曲・編曲: 玉麻尚一
装置: 國包洋子   衣装: 加藤真美

ロマンチック・レビュー 「ル・ポァゾン 愛の媚薬 -Again-」
作・演出: 岡田敬二  
作曲・編曲: 𠮷﨑憲治  高橋 誠  甲斐正人
振付: 高橋 恵   植田浩徳  羽山紀代美  
御織ゆみ乃  謝 珠栄  若央りさ  百花沙里

出演: 彩風咲奈  朝月希和  奏乃はると  沙月愛奈  真那春人  
叶ゆうり  綾 凰華  星南のぞみ  諏訪さき  眞ノ宮るい  
彩海せら  一禾あお  有栖妃華  夢白あや  音彩唯 ほか

2021年6月13日(日) 3:30pm 愛知県芸術劇場大ホール 1階E列上手
(上演時間: 3時間5分/休憩 35分)


 

「ヴェネチアの紋章」

物語の舞台は16世紀前半のイタリア。
アルヴィーゼ・グリッティ(彩風咲奈)はヴェネチア元首アンドレア・グリッティ (真那春人)の息子ですが、嫡子でないためヴェネチアの法律で貴族の身分も”紋章”も与えら「ヴェネチアの紋章」を手に入れるという野望に燃えていました。帰国して姪のラウドミア(音彩唯)の結婚披露宴に出席したアルヴィーゼは、元首に対抗する勢力を持つプリウリ(奏乃はると)の夫人リヴィア(朝月希和)を情熱的な踊り「モレッカ」に誘います。名門コルネール家の血筋のリヴィアこそ、アルヴィーゼと10年にわたり密かに愛し合う仲の恋人でした・・・。


1991年に花組トップコンビ大浦みずき、ひびき美都のサヨナラ公演として上演された作品。
トップコンビのサヨナラ公演、約30年ぶりの再演、初演の脚本は柴田侑宏先生と、月組の「川霧の橋」とかぶりますが、月組には月城かなとさんに、雪組には彩風咲奈さんに合う作品をきちんと選んでいるのね。


古きよき時代のメロドラマといった印象。
ヴェネチアではただの庶子で平民で、政治家になれず出世もできないけれど、トルコでがんばってハンガリア遠征の総督になり、戦いに勝てばハンガリアの王となってリヴィアを王妃として迎えられると意気込むアルヴィーゼ。
人妻だったけれどわりとあっさり離婚できて、コンスタンチノープルで二人で穏やかに暮らせれば十分と考えるリヴィア。

そうそう、そうよねーと女のワタクシはリヴィアに全く同感ですが、愛に満ち足りていても誇りと名誉は別物なのがオトコ。
勝算顧みずに突き進んでしまうアルヴィーゼと、彼を敬愛してともに戦う道を選ぶはぐれ組の3人(諏訪さき・眞ノ宮るい・彩海せら)やカシム(一禾あお)。
そうして散って行ったアルヴィーゼに殉じて、白い蝶のように海へと舞ったリヴィア。

アルヴィーゼが自分の出自の象徴でもある「紋章」への執着が強すぎたために起こった悲劇。
リヴィアの必死の言葉に耳を貸さず、慕ってついてきてくれる仲間までも道連れにして自滅の道を歩んだアルヴィーゼが何とも切ない。


続きがあります
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2021年10月29日

博多前鮨 @たつみ寿司総本店



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博多にはおいしいものがたくさんあって、水炊きも食べたいし、とんこつラーメンもごぼ天うどんも、鉄鍋餃子だって・・・と食べたいものはつきませんが(もつ鍋は苦手なのでNG)、時間もないし、宣言解除されたとはいえまだあちこちで歩くのもよろしくないということで、博多座マチソワの間に一番近いお寿司屋さんでサクッといただきました。


たつみ寿司 総本店
福岡市博多区下川端町8-5
tel: 092-263-1661


博多座から歩いて2分位のところにあります。

いただいたのはランチコース
にぎり9貫にサラダ・茶碗蒸し・汁物・デザートがついています。
同じ9貫で竹コースと梅コースがあったのですが、せっかくだからと奮発して竹コースにしました。

お寿司は、柚子味噌やにんにく醤油が乗っていたり、1貫ずつ味がついていて何もつけないでいただくスタイル。
江戸前鮨ならぬ博多前鮨ですね。
個人的には鯛やトロは余計な味をオンせずにネタそのものを味わいたい派ではありますが、いろんな味が楽しめておいしかったです。
しゃりが小ぶりなのもgood!


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カウンターでいただいたのでこんな感じで出てきます。



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こちらは最初にいただいたサラダと茶碗蒸し



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2時すぎというランチには中途半端な時間にもかかわらず満席。
目の前の板さんによると、これは宝塚の公演中ならではのことだとか。
「皆さん2回ご覧になって・・・。この前のお客さんは土日昼夜昼夜観るって・・・」と半ばあきれ気味に感心されていたの、おもしろかったな。
はいはい。私ももちろん昼夜2回観ますが何か?




おなかいっぱいで夜になってもおなかが空かず、夕食は帰りの新幹線で食べた通りもん1個 のごくらく地獄度 (total 2321 vs 2322 )

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2021年10月28日

心一つに 月組 「Dream Chaser -新たな夢へ-」


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マチソワともかなり前方でスクリーンがカメラに収まりきれなかった図


「Dream Chaser」は本年8月に宝塚歌劇団を退団した珠城りょうさんのさよなら公演のショーでまだ記憶に新しく、しかも”珠城りょうのためのショー”というイメージが強い作品ですが、今回は -新たな夢へ- というサブタイトルがついて、新生月組のスタートに合わせての上演ということです。


宝塚歌劇 月組公演
スーパー・ファンタジー 「Dream Chaser -新たな夢へ-」
作・演出: 中村 暁
作曲・編曲: 手島恭子  青木朝子   編曲: 多田里紗
振付: 羽山紀代美  御織ゆみ乃  若央りさ  平澤 智  ANJU  百花沙里
衣装監修: 任田幾英   衣装: 薄井香菜
出演: 月城かなと  海乃美月  鳳月杏  暁千星 ほか


その他の出演者(専科の2名除く)、観劇日時は「川霧の橋」と同じ(こちら


基本的にショーの構成は同じで、珠城りょうさん、美薗さくらさんのパートに月城かなとさん、海乃美月さんが入るという形ですが、出演者数が少ないこともあって、いくつかイレギュラーな変更がありました。

・プロローグ:月城・海乃のデュエダンコーラス(階段上) 鳳月・暁そのままで
 月城、風間柚乃の代わりに夢奈瑠音・蓮つかさ
・スパニッシュ:美園さくらがやったアレグリアは天紫珠李
・ミロンガ:オープニングの暁千星と踊る女Aは、結愛かれんステイで
 蘭世惠翔→晴音アキ
 ミロンガの女Sは本公演同様、海乃美月
・I'll be back:センターは月城かなと→暁千星 メンバーも5人に減員
・Dawn:オープニング板付き 珠城・鳳月・暁 → 月城・鳳月・海乃
・Hymn of life:ライフの歌手 月城→鳳月杏
・フィナーレの歌手:風間柚乃→夢奈瑠音

といったところでしょうか。

フィナーレ デュエットダンスの後、珠城りょうさんが一人舞台に残り、”The Way We Were”の曲が流れ(カゲソロ:晴音アキ・麗泉里)、そこへ出て来た月城かなと・光月るう・紫門ゆりや・千海華蘭・鳳月杏・輝月ゆうま・暁千星と一人ずつ絡んで踊るシーンが大好きでしたが、ここは、月城さんが海乃さんの手をひっぱって引き留め、海乃さんが男役5人(鳳月・暁・光月・夢奈・蓮)と絡みながら最後にまた月城さんのところにたどり着く、という振りに変更されていました。黒燕尾の中をひらひらと蝶のように軽やかに舞っていく青いドレスの海乃さんかわいい。曲も”Stand by Me"に変わって明るい雰囲気に(カゲソロ:蘭世惠翔・瑠皇りあ)。


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2021年10月27日

もうどこへも行くな 月組 「川霧の端」


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月組 月城かなとさん・海乃美月さん トッププレお披露目公演。
1990年に剣幸さん、こだま愛さんのさよなら公演として上演された日本物と、2021年 珠城りょうさん、美薗さくらさんさよなら公演のショーという二本立て。
どちらもさよなら公演のリバイスなのねーとは思いましたが、さすが芝居の月組、特に「川霧の橋」は、すぐそばを川が流れる博多座にも、木を多く使われた劇場の雰囲気にも、そして日本物お得意の月城かなとさんの持ち味にもよく合って、すばらしかったです。


宝塚歌劇 月組公演
江戸切絵 「川霧の橋」-山本周五郎作「柳橋物語」「ひとでなし」より
原作: 山本周五郎
脚本: 柴田侑宏
演出: 小柳奈穂子
作曲・編曲: 寺田瀧雄  音楽監督・編曲: 𠮷田優子
振付: 尾上菊之丞  若央りさ
装置: 大橋泰弘   衣装: 加藤真美
出演: 月城かなと  海乃美月  光月るう  夏月 都  鳳月 杏  
晴音アキ  春海ゆう  夢奈瑠音  蓮つかさ  暁 千星  麗 泉里  
英 かおと  天紫珠李  結愛かれん  蘭世惠翔  柊木絢斗  瑠皇りあ
/京 三紗  梨花ますみ ほか

2021年10月24日(日) 11:00am 博多座 1階F列(5列目)上手/
4:00p 1階B列(最前列)下手
(上演時間: 1時間35分)



物語: 江戸隅田川 茅町の大工 杉田屋は棟梁の巳之吉(夢奈瑠音)、お蝶(夏月都)夫婦に子供がなく、幸次郎(月城かなと)を跡継ぎの若棟梁と定めます。同じく腕のいい半次(鳳月杏)と清吉(暁千星)を後見役としますが、我慢ならない清吉は杉田屋を出て上方に行くことを決め、研ぎ職人源六(光月るう)の孫娘お光(海乃美月)に3年待っていてほしいと言い残して旅立ちます。実は幸次郎もお光のことを思っており、杉田屋夫妻から正式に縁談話を持ち込みますが、源六に断られてしまいます。一方、半次は油問屋 相模屋の箱入り娘 お組に身分違いの叶わぬ思いを抱いていました。そんなある日、江戸の下町を焼き尽くす大火事が起こり・・・。


31年ぶりの再演で「柴田先生の作品の中でも非常に評価の高い作品ながら、そのこだわり故にご存命中は再演のかなわなかった作品」とプログラムの小柳奈穂子先生のご挨拶に書かれていて、柴田先生亡くなったからってすぐ再演するってどーなん?と思いましたが、この仕上がりなら柴田先生もきっと「よし!」とおっしゃってくださるのではないかしら。

江戸情緒たっぷりの中、江戸の市井の人々が舞台に息づき、歯切れよく美しい江戸言葉に彩られて、まるで上質の織物のように丁寧に紡がれた物語。
原作を読んだことがなくて、もちろん初演も観ておらず、全くの初見でしたが、とても楽しく拝見しました。
冒頭、月城かなとさん筆頭に、鳳月杏さん、暁千星さん、蓮つかささん、英かおとさんのいなせな太鼓にまずびっくり。
タカラヅカであんな和太鼓演奏聴けるなんて。
タイトルにもなっている柳橋の橋が何度も出てくる舞台装置も素敵でした。

幸次郎が主役ではありますが、お光、半次、清吉、それぞれに物語があって、その物語の絡み具合が絶妙。さらには周りの人々も江戸情緒たっぷり。さすが柴田先生の筆致と感心することしきり。そして、それを体現する月組の皆さんすばらしい。


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2021年10月25日

みずほで博多へ


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昨日は博多へ行ってきました・・・というか正しくは博多座へ、です。
博多座に行くのは2018年6月の高麗屋さん襲名披露興行以来3年4か月ぶりでした。

新大阪駅 7:51 発の新幹線で博多に着いて博多座直行、宝塚歌劇 月組公演「川霧の橋/Dream Chaser」をマチソワで観て、その間には劇場そばのお寿司屋さんでランチ、終演後、20:01 博多駅発の新幹線で帰阪と、中洲川端から一歩も出ず(^^ゞ


今回往路の新幹線はみずほ号でした。
冒頭の画像は、博多駅降りた直後に撮ったもの。
行先が鹿児島で次に停まる駅が熊本って、何だか遠くに来た感満載。

福岡へは飛行機で行くことが多く、西へ向かう新幹線に乗ること自体久しぶりで何だか新鮮だったのですが、その中でもみずほに乗るなんて、本当に何年ぶりでしょうという感じでした。


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2列-2列並びの座席はゆったりしていて、座り心地もよく、空いていて静かな車内。


久しぶりに車窓の光景を楽しむ間もなく爆睡している間に博多に到着いたしました のごくらく地獄度 (total 2319 vs 2321 )


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2021年10月23日

小さな奇跡の物語 「東京ゴッドファーザーズ」


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もう1本 6月に観た舞台でまだ感想が書けていなかったこちら。
2003年に公開されたアニメーション映画の初舞台化です。
観たことがないばかりか、そんな映画があったことさえ知りませんでした。


「東京ゴッドファーザーズ」
原作: 今 敏
上演台本: 土屋理敬
演出: 藤田俊太郎
美術: 乘峯雅寛   照明:日下靖順
衣装: 前田文子   映像: 横山 翼   振付: 新海絵理子
出演: 松岡昌宏  マキタスポーツ  夏子  春海四方  大石継太  新川將人
池田有希子  杉村誠子  周本絵梨香  阿岐之将一  玲央バルトナー

2021年6月12日(土) 12:30pm 兵庫県立芸術文化センター 
阪急中ホール 1階E列(3列目)センター
(上演時間: 1時間55分)



物語: クリスマスの夜、ホームレスのハナちゃん(松岡昌宏)とギンちゃん(マキタスポーツ)、家出少女のミユキ(夏子)は、新宿のゴミ溜でひとりの赤ん坊を拾います。生みの親の顔も知らないハナちゃんはその赤ん坊を清子と名付け、自分の手で育てたがりますが、何せホームレスの身。清子の幸せを思い、一緒に捨てられていたコインロッカーの鍵を手がかりに捨てた親を探すために奔走します。その中で様々な事件に遭遇、そしてそれぞれ大切な人との奇跡の再会を果たして・・・。


清子の親を探して、新宿から東京タワー、港区の結婚式場や品川の病院と、あたかもロードムービーのように歩き続ける3人。
舞台化にあたって、時代設定を2003年から2020年へと更新され、コロナ禍を思わせる状況や渋谷のホームレス撲殺事件など、”今”のリアルな現実を盛り込みつつ、路上生活者の救いのない現実とその再生を描いています。

にもかかわらず、どこか寓話的でファンタジー味も感じるのは、この舞台の始まりがクリスマスの聖誕劇で、ハナちゃん・ギンちゃん・ミユキの3人は”東方の三賢者”、そして清子(きよこ)という名前にキリスト・・・というか神様のくだされもののような印象を受けたからかもしれません。
ラストのハナちゃんはマリア様の概念のようにも思えて、キリスト教色の強い物語だなぁと感じました。


続きがあります
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