2021年06月19日

駆け抜けた23年 「終わりよければすべてよし」


owariyokereba.jpg

1998年に始まった、シェイクスピア全戯曲 37作品を上演するという彩の国シェイクスピア・シリーズ最終作。
フライヤーには「23年の時を駆け抜け、走破する瞬間をお見逃しなく」とありました。

舞台上には一面に真っ赤な花。
よく見るとそれは彼岸花で、「洋物のお芝居に彼岸花って珍しくない?」と思っていたのですが、カーテンコールで役者さんたちの頭上に蜷川幸雄さんの大きな写真パネルが現れて、そうか、と。
彼岸花は、このシェイクスピア・シリーズの完遂を目指して叶わなかった蜷川さんへのオマージュだったのでしょう。
聞けば、この舞台の初日は蜷川さんのご命日だったとか。
きっと蜷川さんも一緒に、37作目の上演をお祝していらっしゃったに違いありません。


彩の国シェイクスピア・シリーズ第37弾
「終わりよければすべてよし」
作: W.シェイクスピア 
翻訳: 松岡和子
演出: 吉田鋼太郎
美術: 秋山光洋   照明: 原田保   衣裳: 西原梨恵 
出演: 藤原竜也  石原さとみ  溝端淳平  正名僕蔵  山谷花純  
河内大和  宮本裕子  横田栄司  橋本好弘  吉田鋼太郎 ほか

2021年6月10日(木) 5:30pm シアター・ドラマシティ 6列上手
(上演時間: 2時間45分/休憩 20分)



物語の舞台は南フランス ルシヨン。
若き伯爵バートラム(藤原竜也)と家臣のパローレス(横田栄司)は病床にあるフランス国王(吉田鋼太郎)に仕えるためパリに向かいます。貧乏医者の娘で孤児のヘレン(石原さとみ)はバートラムの母 ルシヨン伯爵夫人(宮本裕子)の侍女としてこの屋敷で暮らしていますが、バートラムに身分違いの恋心を抱き、彼を追ってパリへ行きます。
父から受け継いだ秘伝の処方箋で瀕死の国王を治療し、褒美として夫を選ぶ権利を与えられたヘレンはバートラムを指名します。バートラムは貧乏医者の娘とは結婚しないと断固拒否したものの、国王に𠮟責され、しぶしぶ承諾して結婚。初夜を迎えることなく、「私の身につけている指輪を手に入れ、私の子を宿す時が来たら妻と認めてやってもいい。でもその日は来ない」という手紙でを残してイタリア・フィレンツェの戦役へと赴きます。巡礼の旅という口実のもと、彼を追ってフィレンツェへ向かったヘレンは、バートラムがこの地で戦功をあげ、貴族の娘ダイアナ(山谷花純)に求愛していることを知り、ダイアナとその母に協力してもらい一計を案じて・・・。


上演回数の少ない“問題作”ということですが、さもありなんな展開。
バートラムのヘレンとの結婚の拒み方が尋常ではなくて、熱演型の藤原竜也くんの本領発揮なのですが、口角泡飛ばし、鼻水たらし、涙まで浮かべんばかりに激しく拒絶するバートラムに、「バートラム、何があったん?」と思いました。
にもかかわらず、策略が奏功して、「バートラムの指輪を手にして子を宿した」ヘレンにあっさり改心して、「いつまでも彼女を愛します」と言うに至っては「バートラム、ええのん?」と。

あんなにかわいくて聡明でいじらしいヘレンとの結婚を拒否する理由が“身分違い”だけというのも何だかなぁですし、ヘレンがバートラムを子を宿した一夜にしたって、バートラムは相手をダイアナと思っていたわけだし・・・あのリベラルで慈悲深いお母様からどうしてこんな子が育ったのだろうと思います。


続きがあります
posted by スキップ at 15:19| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする