
勘九郎さんが初役で団七を勤めたのはまだ勘太郎時代の2011年3月。
勘三郎さん休演のための急な代役で、東日本大震災が起こった月の公演で、千穐楽でさえ空席の目立つ博多座でした。
あれから10年。
役者として一回りも二回りも大きくなって、勘三郎さんの魂を受け継ぎ、中村屋を背負い、力漲る団七がそこに立っていました。
渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾 「夏祭浪花鑑」
演出・美術: 串田和美
補綴: 竹柴徳太朗 照明: 齋藤茂男
作調: 田中傳左衛門 上田秀一郎
映像: 栗山聡之 立師: 中村いてう
出演: 中村勘九郎 中村七之助 尾上松也 中村虎之介
中村長三郎 中村鶴松 中村歌女之丞 笹野高史 片岡亀蔵 ほか
2021年5月16日(日) 5:00pm シアターコクーン 1階C列(5列目)上手
(上演時間: 2時間15分)
覚悟の団七 「夏祭浪花鑑」(2011年)
覚悟の団七 再び
勘九郎さんが10年ぶりの団七なら、コクーン歌舞伎としても「夏祭浪花鑑」は13年ぶり。
そんなに?と時の流れに驚くばかりです。
当初5月6日初日の予定だったものが緊急事態宣言のもと、5月11日までの公演が中止、5月12日開幕となりました。
「LUXE」とともに5月16日のチケットを取っていて、宣言が発出されていない神奈川県の横浜アリーナはともかく、こちらはダメかも・・と一旦は覚悟していましたので、無事開幕して観られるとなった時は本当にうれしかったです。
とはいえ、コロナ禍の状況下という数々の制約を乗り越えて工夫をこらしての上演です。
脚本を削り、演出を変更し、幕間もなくして2時間15分の上演。
平場席もなければ役者さんたちが客席通路を行き交う演出も一切ありません。
それでも、この演目のおもしろさ、すばらしさが全く損なわれておらず、上演時間が短くなったせいばかりとは言い切れない疾走感があって、演出の串田さんはじめスタッフ、役者さんたちの熱い思いが迸るような舞台でした。

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