2021年04月17日

もう二度と知らなかったことにして見過ごしたくない 「帰還不能点」


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タイトルの「帰還不能点」は燃料の残量から計算して、離陸した空港に戻れなくなる限界点のことを指す航空用語。
そんな「引き返すことができない」地点、超えてしまったらもう前に進むしかない限界点は私たちの人生の中にもきっとあったはず。そしてそれがあるのは組織にとっても同じ。たとえば会社。たとえば国家。

物語のラスト。
もう一度「模擬内閣」を再現する9人。
この舞台の冒頭にやった時とは打って変わって活き活きとした表情で。
そのやり取りを観ていて、これが昭和16年(1941)の現実だったらどんなによかっただろうと思ったらぶわっと涙でました。


劇団チョコレートケーキ 第33回公演 「帰還不能点」
作: 古川健
演出: 日澤雄介
舞台美術: 長田佳代子   照明: 松本大介
出演: 岡本篤  今里真  東谷英人  粟野史浩  青木柳葉魚  
西尾友樹  浅井伸治  緒方晋  村上誠基  黒沢あすか
声: 近藤フク

2021年3月13日(土) 1:30pm AI・HALL B列(最前列)センター
(上演時間: 2時間5分)



物語の舞台は1950年の東京。
小料理屋に集まる9人の男たち・・・彼らは1940年に陸海軍や中央省庁、日銀など官民の若手エリートたちを集めて首相直属機関として設立された「総力戦研究所」の一期生でした。同期生であった山崎の三回忌に、その妻が営む店に集まって旧交を温める中、「アメリカと戦争して勝てるわけがなかった」と一人が発言したことから・・・。


冒頭に演じられた「模擬内閣」だけがリアルにその時代のもので、後は終戦して何年か経って、居酒屋に集まった9人が、いわば酒席の余興といった感じで和気あいあいと当時を懐かしみながら振り返る、という趣向だったのが、雰囲気も彼らの表情も一変し、その即興劇が大きく転換する瞬間がとても興味深かったです。
それまで「戦争は止められなかった」「自分たちにはどうしようもなかった」といった諦念に支配されていたのに、「開戦を防ぐために自分たちにできたことは本当になかったのか」と自問し始める彼ら。


続きがあります
posted by スキップ at 23:02| Comment(2) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする