

鈍獣(2004年)、印獣(2009年)、「万獣こわい」(2014年)と続いてきた生瀬勝久、池田成志、古田新太によるユニット“ねずみの三銃士”シリーズ第4弾。
ホラーコメディといったテイストで毎回グロテスクな殺人や後味悪~い結末を提供してくれるこのシリーズ。
今回のモチーフは10年ほど前に世間を騒がせた首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗がモチーフです。
パルコ・プロデュース
《ねずみの三銃士》第4回企画公演 「獣道一直線!!!」
作: 宮藤官九郎
演出: 河原雅彦
音楽: 和田俊輔 美術: BOKETA 映像: 上田大樹
出演: 生瀬勝久 池田成志 古田新太 山本美月 池谷のぶえ 宮藤官九郎
2020年11月22日(日) 1:00pm ロームシアター京都 メインホール 1階6列センター
(上演時間: 2時間35分/休憩 20分)
物語: 複数の殺人事件に関わったとされる苗田松子(池谷のぶえ)が働く福島の練り物工場に、それぞれ問題を抱え更生のために3人の役者 生汗勝々(生瀬勝久)、池手成芯(池田成志)、古新田太(古田新太)が送られてきます。松子の語る過去とそれを再現ドラマとして演じる役者たち、松子を取材するドキュメンタリー作家 関(宮藤官九郎)、その妻で出産を控えながら夫の取材に協力して苗田松子について調べるうち彼女にのめり込んでいくかなえ(山本美月)の物語が時空を交錯して展開します。
ねずみの三銃士といえばスプラッタ、というイメージがありますが、その風味は今回わりと薄め。
ラストの三人の男たちと関のくだりで一気に来る感じですが、それだって、後味は確かに悪いですが、「あぁ、あの中に突き落とされるんだなぁ」と予測できてしまうので衝撃は少なかったです。
むしろ、松子がお金を手に入れるために見せる冷徹さの方が怖ろしさ滲ませていますし、かなえが松子に傾倒していく姿にもゾワゾワしたものを感じて、そういうメンタル面の怖さが強調されている印象でした。
木嶋佳苗がモチーフとはいうものの、「男たちがなぜあれほど易々と、(普通のおばさんのように見える)木嶋佳苗に騙されるのか」という事件の真相に迫るあたりは、 “媚薬”を飲まされたことによって男たちの目には松子が若くて綺麗な女性に見える、というタッチで描かれていて、そこは池谷のぶえさんと山本美月さんが入れ替わる演出でした。
が、これはいささか安易ではないかなと思いました。客席結構ウケて笑い声も起きていましたし、ルッキズムがどうとか深く考えずに観ればいいのかもしれませんが、それにしてもそういう「入れ替わり」は同じ宮藤官九郎さん脚本の「メタルマクベス」冒頭の魔女のシーンでも使われていて、2006年初演だったことを思うと、いかにも使い古された手法という印象です。
続きがあります