2020年11月24日

未来への希望と沈みゆく世界 「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」


billyelliot2020.jpg当初開幕が予定されていた7月8月の公演が中止になった時、自分が観劇できないかもしれないということよりも、4人のビリー(とマイケル)たちのことを思って心が痛みました。
初演(2017年)の千秋楽カーテンコールでのお父さん役 吉田鋼太郎さんの言葉が心に刻まれていたから。
「晴翔(この日のビリー役 前田晴翔くん)はもうビリーはできません。声変わりして背も高くなって・・・。」

そう、今ビリーをやる子たちに「次」はない。
1511名の中から約1年間にわたる厳しいオーディションを経て、ずっとレッスンを積んできた2代目ビリーの4人。
どうか彼らを舞台に立たせてと祈らずにはいられませんでした。
9月11日に東京でオープニング公演が始まり、11月14日に大阪で大千秋楽を迎えることができたこと、本当によかったと心から思いました。


ミュージカル 「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」
脚本・歌詞: リー・ホール 
演出: スティーヴン・ダルドリー
音楽: エルトン・ジョン 
振付: ピーター・ダーリング
美術: イアン・マックニール
翻訳: 常田景子  訳詞:高橋亜子 
出演: 川口調  利田太一  中村海流  渡部出日寿
益岡徹  橋本さとし  安蘭けい  柚希礼音  根岸季衣  
阿知波悟美  中河内雅貴  中井智彦  大貫勇輔  永野亮比己 ほか

2020年11月1日(日) 12:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階9列(6列目)センター/
11月6日(金) 1:30pm 3階2列センター/11月13日(金) 5:30pm 1階14列下手/
11月14日(土) 12:00pm 1階24列センター
(上演時間 3時間/休憩 25分)



「ウィルキンソントーク ディスタンスVer.」のレポはこちら
2017年初演の感想はこちらこちら


物語の舞台は1984年、イングランド北部の炭鉱町イージントン。
サッチャー政権による炭鉱の閉山計画に反対する労働者たちがストライキを続けるこの町で暮らす12歳の少年ビリーは幼い頃に母を亡くし、炭鉱労働者の父ジャッキー、兄のトニーと祖母の4人暮らし。
父に言われて通っているボクシングジムで偶然、バレエと出会ったビリーは踊る喜びに目覚め、彼の才能を見出したウィルキンソン先生の勧めでロイヤルバレエスクールを目指します。父のジャッキーはこれを知って激怒し・・・。


スティーヴン・ダルドリーが2000年に監督した映画「Billy Elliot」(邦題 リトル・ダンサー)の舞台版で映画と同じくリー・ホールが脚本、ダルドリー自身が演出するミュージカル。曲はエルトン・ジョン。
2005年にロンドンで開幕したミュージカル。2017年の日本初演から3年ぶりの再演です。


ビリーの成長物語であり未来へとつながる成功の物語なのですが、それと同時に、深い地の底で働く炭鉱労働者たちの闘いを描いていて、バレエダンサーを夢見て前へ進み出す少年と、終焉を迎えようとしている炭鉱の町の人々を鮮やかに対比する脚本、演出が本当にすばらしい。

それを象徴するシーンがラスト。

続きがあります
posted by スキップ at 23:40| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする