
毎年楽しみにしている南座の三月花形歌舞伎。
諸般の事情でスケジュール厳しく💦、今年は桜プログラムだけの観劇となりましたが、若い人たちが挑む古典歌舞伎、楽しく拝見しました。
松竹創業百三十周年
三月花形歌舞伎 桜プログラム
2025年3月9日(日) 3:30pm 南座 2階1列上手
乍憚手引き口上(はばかりながらてびきこうじょう)
出演:中村福之助
(上演時間: 10分)回替りの口上、この日は中村福之助くん。
すぐ次の演目に出るからと口上する4人の中でただ1人拵えをしての登場です。
襟周りから肩に大きな紋を染め抜いた“首抜き”という着物をお召しで、この衣裳についてのその豆知識も。
この紋は着ている役者さんの家の紋で、だから人によって違うこと。
また、たとえば「お祭り」などの演目では地の白色は真ん中に立つ主役の人だけが真っ白で、まわりの人たちは少しずつねずみ色がかってくるのだとか。知らなかったわぁ。
この後上演される演目の解説の後、みなみーなが登場しての撮影タイム。
最後に「はい!この瞬間に皆さん電源を切ってください」とおっしゃって、「電源切ってくださいねっ。上演中になったら口上やった僕が怒られますから」と繰り返しながら花道を去って行かれました。
伊勢音頭恋寝刃
油屋店先
同 奥庭
監修:片岡仁左衛門
出演:中村虎之介 中村米吉 中村福之助 上村吉太朗 片岡千太郎
市川青虎 中村寿治郎 市川猿弥 中村壱太郎 ほか
(上演時間: 1時間20分)伊勢 古市の遊郭・油屋で実際に起きた事件を題材にした物語。
伊勢神宮の神職である御師の福岡貢(虎之介)は、かつての主筋にあたる今田万次郎(吉太朗)のためにお家の重宝である名刀「青江下坂」を取り返し、万次郎に渡すため古市の遊女屋油屋を訪れますが、万次郎と行き違いとなり、家来筋で料理人の喜助(福之助)に刀を預けます。一方、貢と恋仲の油屋遊女お紺(米吉)は、貢のために折紙(鑑定書)を手に入れようと、敵方を油断させるためわざと貢に偽りの愛想尽かしをします。さらに意地悪な仲居の万野(壱太郎)にまで罵倒された貢は、怒りのあまり次々と人を斬り・・・。
何度観てもあまり後味のよい演目とは言えません。
貢ってば本当にワキが甘いし、いろいろと気づかなさすぎだし、万野はともかく(←)お鹿ちゃんまで殺されるの本当に不憫で理不尽。
しかもあんなに人を殺しておいて、最後「めでたしめでたし」みたいな感じになるのもいかがなものか、と思います。
この日は親子観劇デイ?だったのか、小学生くらいのお子達と保護者の方というペアが客席に多数いらして、開演前にはお父様がお嬢さんにイヤホンガイドのつけ方教えていらしたり微笑ましかったのだけど、貢のあの血の惨劇をちびっこたちに見せていいのかと心配になりました。
片岡仁左衛門さんの監修で虎之介くん貢は教えられたことをしっかりきっちりやっていて好感。
お顔立ちもあってかなり若い造形という印象でしたが、万野の嫌味をぎりぎりまで耐えた後のあのキレッぷりを思うとこれもアリかなと。
声もよく出ていて立役、女形どちらもできるし、これからも楽しみな花形役者さんです。
米吉くんのお紺はとにかく綺麗。
出てくるだけで場がパッと華やかになって目が惹きつけられます。
所作も綺麗で、虎之介くん貢が若いので少しお姉さんに見えましたが、ひたすら貢の助けになりたいと願ういじらしさが切ない。
お紺もできそうですが今回は万野にまわった壱太郎くん。
ご本人はニンではないと思っていらっしゃるようですが、いえいえどうして、さすがの安定感。
意地悪でイヤな女だけど為所のある役で私は好きです(元々悪役フェチでもあり)。
かつての秀太郎さんのように持ち役にしていただきたいところです。
福之助くんの喜助がしっかり”喜助”で感心。
所作にも口調にも忠義の気概が感じられてよき。
これまで観た福之助が演じた役の中で一番好きかもしれません。
そして
猿弥さんお鹿ちゃん出てきた瞬間爆笑してしまいました(これが一番楽しみだったので)。
が、愛嬌はあってもお化粧含めてわざとらしく笑いを取ることなく、存外おとなしめで真面目なお鹿ちゃんで、それがまた哀れを誘います。

幕間に所作板設置したりスッポン確認されていました
於染久松色讀販 お染の五役
出演:中村壱太郎 中村虎之介 中村米吉 ほか
(上演時間: 45分)お染・久松の恋模様を舞踊仕立てで描く演目。
松プロ、桜プロともに中村壱太郎くんが五役を早替りで演じますが、演出が少し違っていて、桜プログラムは、お染・久松・お光・雷・
土手のお六の五役。松プロは雷がなくて鬼門の喜兵衛がIN。
早替りについては「ああ、ここで入れ替わったんだな」とわかりつつも、その早さ鮮やかさに驚いたり。
客席からは時折どよめきが起こっていました。
2階席の後ろの方には外国人の方がたくさんご覧になっていたのですが「さっき出てた人と同じ人ですよ」と教えたくなりました。
雷はあまりにつくり込み過ぎて、顔はお面?だし、違う人がやっていてもわからないなぁと思ったり

いずれにしても45分ほぼ出ずっぱりの壱太郎くん お疲れさまでした。
間狂言的な猿回し夫婦 虎之介くんと米吉くんがとてもやわらかな雰囲気でよいアクセントでした。

ランダムプレゼントの栞は壱太郎くんでした

4人と一緒に撮れるフォトスポットあったり


夜見る南座はいつも華やか
やっぱり松プロも観たかったな のごくらく地獄度

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