2020年11月18日

大阪に文楽が帰ってきた その② 錦秋文楽公演 第2部


kinshubunrakunozakimura.jpg第1部終演後、近くでランチした後再び文楽劇場に戻って第2部。
おなかいっぱいになって寝てしまうかもキケンと思いましたが、とてもおもしろかったので大丈夫でした。


令和2年度(第75回)文化庁芸術祭主催
錦秋文楽公演 第2部 
「新版歌祭文 野崎村の段」
「釣女」

2020年11月16日(月) 2:00pm 国立文楽劇場 3列下手


取れた席がたまたま1部と同じ3列12番。
床から遠いしどうかな~と思っていましたが、下手ブロックの一番センター寄り通路側の席でとても見晴らしのよいお席でした。
文楽はとにかくお人形が観たい派なのでかぶりつきを取りがちなのですが、これくらいの方が字幕も楽々見えていいかな。


「新版歌祭文 野崎村の段」
義太夫
中 豊竹睦太夫・野澤勝平
前 豊竹呂勢太夫・鶴澤清治
切 豊竹咲太夫・鶴澤燕三 ツレ 鶴澤燕二郎
人形配役
娘おみつ 豊松清十郎  親久作 吉田和生  久三の小助 吉田簑紫郎  
丁稚久松 吉田文昇  娘お染 吉田一輔  下女およし 吉田蓑之  
おみつの母 桐竹勘壽  油屋お勝 吉田簑助  船頭 吉田玉翔 ほか
(上演時間: 1時間36分)



物語: 油屋の丁稚 久松が商いの金に手をつけたというあらぬ疑いをかけられて野崎村の義父 久作の元へ戻され、久作は女房の連れ子 おみつと久松を結婚させることにして、元々久松に気のあるおみつが大喜びする中、久松と恋仲の油屋の娘 お染が久松を訪ねてきて・・・。


文楽でも歌舞伎でもよく上演される演目ですが、今回はおみつの母が登場するパターンで、平成21年(2009)以来なのだとか。
この形は初めて観るなと思ったのですが、おみっちゃんがなますつくるために大根切るところで、「そうそう、ここ七之助くん 包丁使うの下手だったよね~」と思い出しましたので、「野崎村」自体が歌舞伎で観たことはあっても文楽で観るのは初めてだった模様です。


「おみつの母が登場することでおみつの悲劇がさらに劇的に描かれます」とチラシのあらすじに書かれていたのですが、まさにその通り。
おみつのお母さんは病のため明日をも知れぬ命で目も見えないという設定。おみつが久松と結婚して幸せになることだけを願っています。
上手の部屋にお母さんは臥せっていて、障子が開くと紫鉢巻をしていかにも死が間近に迫った病人という風情の登場。何だかそこだけ色のない世界のように感じられます。

ここの語りは咲太夫さんですが、お母さんは力なくささやくような声しか出ないことを弱々しい語りで表現。客席もいつにも増してしんと静まり返って聴いている雰囲気でした。
おみつが髪を切って出家したことを知らず、久松と結婚するとばかり思い込んでいるのも切なければ、お染が死のうとしたのをおみつと取り違えて部屋から這うように出てきておみつの髪と袈裟をさわって初めて気づくのも哀しい。
お染と久松のために身を引いて尼になったおみつも可哀そうなら、娘 おみつの幸せだけを楽しみにして残り少ない日々を生きている母の願いが踏みにじられるのも痛ましい。人の気持ち、恋心はたとえ誰かを犠牲にしても歯止めがきくものではないとわかってはいても。

そんな殊勝なおみっちゃんですが、お染さんが最初にやって来た時の悋気ぶりは激しかった(笑)。
「妹背山」の橘姫に対するお三輪ちゃんもそうですが、悋気の表現は人間が演じる歌舞伎より文楽のお人形の方が断然直情的で激しい。いつもちょっと笑ってしまいます。


おみつは清十郎さん。
ポスターにもなっている、おみっちゃんが鏡つかっておめかしするところ、可愛かったな。前半の明るいお転婆娘ぶりと、髪を落としてからの後半の悲劇性の落差もくっきり。

和生さんの久作もよかったです。
野崎村という田舎のおじいさん(おじさん?)にしては何となくあか抜けた雰囲気なのは和生さんならではかしら。

そして、お染の母 油屋お勝の簑助さんが出てきた途端、目が釘づけ。
ま、簑助さん見たさに2部取ったようなものなのですが。
簑助さんが遣う人形が本当に好き。
簑助さんご自身は動きが少なくて、どうやって遣っているのかなといつも思うのですが、人形が自然に一人で動いているように見えます。
その後の船の場面ではお勝のそばにはもういらっしゃらないようでしたが、これからも少ない場面、時間でもよいのでずっと簑助さんの人形を見せていただきたいと願うばかりです。

床はやはり切の咲太夫さん、燕三さんが聴き応えありました。三味線の巧拙を語るほどにはわからないのですが、燕三さんの三味線は耳に心地いいばかりでなくドラマチックで、パッと場面が切り替わるのも感じられて いつもながらすごいなぁとと思いました。



「釣女」
振付: 楳茂都陸平
義太夫
太郎冠者 豊竹藤太夫  大名 豊竹靖太夫  美女 豊竹希太夫  醜女 竹本三輪太夫
三味線 竹澤團七  鶴澤友之助  鶴澤清公  鶴澤清允
人形配役
大名 吉田玉勢  太郎冠者 吉田玉佳  美女 桐竹紋臣  醜女 吉田勘彌
(上演時間: 40分)



独身の大名が妻を授かりたいと西宮えびす神社へ参詣し、お告げにより釣竿を垂らして絶世の美女を釣り上げたのを見た太郎冠者が同じように釣竿を垂れて釣れた女性は・・・というお話。
こちらも歌舞伎では何度も観ていますが、文楽で観るのは初めてでした。


醜女がそれほど醜女じゃなかったというのが第一印象。
そりゃ美女という訳ではないけれど、色白の下ぶくれにピンクのほっぺで普通にカワイイじゃんと思いました。歌舞伎で激しい醜女メイク見慣れているせいかもしれません・・・去年の南座顔見世の鴈治郎さんとか(笑)。
最後、美女とともに去った太郎冠者に怒り狂うところは迫力でしたが。

太郎冠者の玉佳さんが、何だかとっても玉佳さんで、すっとぼけた雰囲気ありつつ楽しそうでした。
「あの山の名は?」と聞かれて、やや間があって「山でござる」と答える時の所作や表情、吹き出してしまいましたワ。
美女を連れて引っ込む時、美女に扇で頭バンバン叩かれていましたね(笑)。

4人揃って踊るところが、4人並ぶと華やかで、それぞれ役の違いというか人形遣いさんの個性が表れていて楽しかったです。
宝塚の日本物なら多分扇を持つ角度も高さもビシッと揃うところだと思いますが、微妙にバラバラなところも。ま、そこはお人形だから ←←

床は一人遅れて入る醜女の三輪太夫さんが人形に合わせて声の表情豊かでよかったです。




bunrakugekijosd2.jpeg

1階ロビーにはマスクつけたかしらがどど~ん



本当は第3部「奥庭狐火」も観たかったけれど日程取れなかったのよ の地獄度 (total 2177 vs 2179 )


posted by スキップ at 22:19
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