2020年05月09日

3月歌舞伎公演 「義経千本桜」 @国立劇場公式YouTubeチャンネル


kokuritsu202003.JPG歌舞伎の三大狂言のひとつ「義経千本桜」を通し上演、しかも、佐藤忠信(源九郎狐)、平知盛、いがみの権太という3人の主人公を尾上菊之助さんが一人で“三役完演”、さらにはご子息 丑之助くんもご出演で親子共演という話題の公演。

「観たいけど、3月は歌舞伎座あるし、南座『オグリ』も役替わりだから2回行かなあかんし、その他も予定パツパツで無理~💦」とチケット取っていなかったのですが(結局全部中止になったけれど)、こうして映像で観ることができるのはうれしくもあり複雑な思いでもあります。


国立劇場 令和2年3月歌舞伎公演(小劇場)
通し狂言「義経千本桜」
Aプロ: 伏見稲荷鳥居前の場/渡海屋の場/大物浦の場
Bプロ: 下市村椎の木の場/下市村竹藪小金吾討死の場/下市村釣瓶鮓屋の場
Cプロ: 道行初音旅/河連法眼館の場
出演: 尾上菊之助  中村鴈治郎  坂東亀蔵  中村梅枝  
中村萬太郎  中村米吉  尾上丑之助  中村寿治郎  市村橘太郎  
上村吉弥  河原崎権十郎  市村萬次郎  市川團蔵  中村時蔵 ほか



歌舞伎で「義経千本桜」の通しを観たのは、2016年6月の歌舞伎座以来です。
あの時も三部制で、一部に「鳥居前」がなくて「所作事 時鳥花有里」がついていた以外は今回のA~Cプロとほぼ同じ構成。
知盛:市川染五郎(現 松本幸四郎)権太:松本幸四郎(現 松本白鸚)源九郎狐:市川猿之助 と3人が演じ分けた主人公を、A・B・Cプロを1日で通す日がなかったとはいえ、今回の菊之助さんが「三役完演」することがどれほど大変なことだったか想像に難くありません。
菊之助さんも万全の準備をして臨まれたと拝察いたしますので、公演中止はご本人にとっても本当に残念なことだったでしょう。


まずは「菊之助さんすごーい」というのが率直な感想。
本当に「三役完演」だ。


■ 源九郎狐
勇壮な隈取も美しい「鳥居前」の佐藤忠信実ハ源九郎狐。
声がいつもの菊之助さんとは違って聞こえるのは映像のせいかなと思ったのですが、次の知盛でそうではないことがわかりました。

■ 平知盛
5年前の国立劇場 歌舞伎鑑賞教室で吉右衛門さんご指導のもと、知盛を勤められた時は「菊ちゃんが知盛?」ととても驚いた記憶があります。とても好評だったと聞いていますが、今回拝見して、何だか声までいつもの菊之助さんの声とは違って聞こえました。
特に満身創痍となってからの悲壮感はすばらしかったです。
大詰、渾身の力を振り絞って持ち上げた碇を海に投じ、自身も仰向けで足の裏まで見えるほどジャンプして海中に身を投げる場面は映像で観ても迫力満点でした。

■ いがみの権太
Bプロのいがみの権太だけが初役ということでしたが、キャラクター的にもこれが一番苦戦していた印象です。
菊之助さんらしいお行儀のよい楷書の演技や台詞回しがこの役には少し邪魔したでしょうか。心根を顕す後半はともかく、下市村椎の木の場の権太はもう少し無法者で遊び人っぽい風情があってもよいのでは。

■ 源九郎狐
通しで観ると、「鳥居前」から「道行」、そして「四の切」へと、源九郎狐がずっと静御前に寄り添ってきたのが本当によくわかります。
ケレンたっぷりで華やかな澤瀉屋さんの「四の切」もいいですが、宙乗りのない音羽屋型の「四の切」も私は好きです。鼓をもらって喜びいさんで花道を駆けていく狐の可愛さ。
早替りで出てくる場所や欄干渡りも少し違っていて、おもしろいなぁと思いました。
菊之助さんは少し憂いを帯びた綺麗な狐で狐言葉も自然。鼓をもらって喜びいさんで花道を駆けていく狐の可愛さ。
早替りで出てくる場所や欄干渡りも少し違っていて、おもしろいなぁと思いました。


“三役完演”した菊之助さんがお見事なのはもちろんですが、梅枝くんの三役もとても観応えありました。
Aプロで銀平女房お柳実ハ典侍の局、Bプロで弥助実ハ三位中将維盛、そしてCプロでは 河連法眼館の静御前。
全く違った三役をくっきり演じて、しかもどの役も台詞はいいし上手い。
小金吾を熱演した萬太郎くん、可憐で美しい静御前(鳥居前)とおきゃんなお里ちゃんを演じ分けた米吉くん、そして弁慶は亀蔵さんと若い座組の中で、梅枝くんが出てくると「あれ?ベテランさんがいるよ?」という感じでした。
維盛のなよっとした立役は最初時蔵さんがやっているのかと思ったくらい似ていたのも新しい発見でした。いや、親子だから似ていて当然ですが、これまでそれほど似ていると感じたことがありませんでしたので。

丑之助くんの安徳帝は台詞もしっかり教わったことをきっちりやっている感じ。そのあたりお父様に似ているのね。


映像的にはかなり編集が入っていて、場面が結構飛ぶのが残念だったなー。
本来の上演予定時間は、Aプロ: 3時間30分、Bプロ: 3時間30分、Cプロ: 2時間45分で、映像はそれぞれ2時間以内でしたのでかなりカットされていたことになります。
今回観られなかった分、いつか必ず舞台で「完全版:三役完演」を観られることを願っています。



それにつけても映り込む誰もいない客席が切ない の地獄度 (total 2095 vs 2104 )



posted by スキップ at 22:38
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