2015年10月12日

いのうえひでのりさんに聞く 「演劇はオモシロイッ! ~劇団☆新感線 35年の軌跡~」

inoue.jpg今年劇団創立35周年を迎えた劇団☆新感線主宰のいのうえひでのりさんによる、劇団旗揚げの地 ピッコロシアターでのセミナー。
とても楽しみにしていて、先着順だから気合い入れて申し込んだよねー(その割には受付開始時間1時間間違えててアセりましたが)。

定刻どおりにひょいという感じで現れたいのうえさん。
MAD MAXのImmortan Joeの黒Tシャツに黒のキャップ・・・
いつも劇場でお見かけするいでたちです(笑)。
テーブルを挟んで亀岡典子さんの質問に答える形で90分みっちり、いろんなお話を聞かせてくださいました。


ピッコロシアター文化セミナー <87>
いのうえひでのりさんに聞く
「演劇はオモシロイッ! ~劇団☆新感線 35年の軌跡~」

聞き手: 亀岡典子 (産経新聞文化部編集委員)

2015年10月9日(金) 7:00pm ピッコロシアター大ホール D列センター(自由席)



以下は当日twitterでつぶやいた内容に加えて、記憶を振り絞って思い出す限り(笑)。
長文ですあせあせ(飛び散る汗)


■ 阿弖流為

まずは現在松竹座で上演中の歌舞伎NEXT「阿弖流為」について

「歌舞伎役者さんたちの肉体を使って、いのうえ歌舞伎を歌舞伎的にブラッシュアップする」という感じ。
歌舞伎役者さんは型をつくる訓練はすでにできているので、演出は難しくなかった。
歌舞伎の型とか見得は僕はわからないので、役者さんたちが「こんなのもあるよ」とアイデアを出してくれて、「それカッコいいね」となったり。
阿弖流為が戦神となってからの飛び六方の引っ込みは染五郎くんの提案。

稽古は3週間。新感線の稽古は普通1カ月半やるのでとても短い。
歌舞伎は古典だと5日位の稽古なので、これは松竹時間(笑)。
男ばかりの稽古場は味気ないような、新鮮なような。
みんなが着物(浴衣)着ている稽古場に憧れていたのに、普通にジャージ着てた。歌舞伎を演出することについて

猿翁さんが「アテルイ」をご覧になって、「これは今すぐにでも歌舞伎でやれる。ギャグを除けば」とおっしゃった。
以前から勘三郎さんが「いのうえくんは歌舞伎やらないの?やったらいいじゃない」「歌舞伎役者がやれば何でも歌舞伎なんだよ」と言ってくれていた。
そんな言葉も後押ししてくれたかな。


歌舞伎NEXT 第二弾、第三弾について
「僕はやりたい」ときっぱりおっしゃっていました。

次に歌舞伎化するなら「朧の森に棲む鬼」。
阿修羅城や髑髏城という声も聞くけど、この2作はいのうえ歌舞伎でやった方がおもしろいと思っていらっしゃるそうです。

あの3人(染五郎・勘九郎・七之助)がこういう形でやるのは向こう3-4年はないから、ぜひ「阿弖流為」観て下さい。


■ 新感線旗揚げ

今でも学園祭をすっとやっているような気持ち。
劇場が開く前にスタッフがいろいろやっている時が一番好き。あと、バラシ。

高校は男子校で学園祭で演劇をやったらウケて気をよくしたりしていた。
地元(福岡)で観た文学座の「ハムレット」(江守徹主演)が芝居として印象に残った最初。
「ハムレットはやっぱりあんな白タイツなんだ」と思った。

大学に入って、つかこうへいさんの「戦争で死ねなかったお父さんのために」を観て衝撃を受けた。
「新感線」をつくって、つかさんの作品ばかりをやっていた。

旗揚げ公演は1980年11月20日 ピッコロシアター中ホール
劇団新感線 超特急公演 「熱海殺人事件'81 野獣死すべし」

ここでこの公演のチラシ映像がスクリーンに登場。
前売 500円 当日700円
もちろんモノクロで、手づくり感ありあり。
演出は「枯暮修」となっていました。こぐれさんですね。

この1作で解散のつもりだったのが、オレンジルーム(現 HEP HALL)のプロデューサーが観ていて、「おもしろかったからぜひオレンジルームで再演を」と誘われた。

これには劇団内でも「1回限りだからいいじゃないかよ」といろいろあったけど、結局やった。
この時の公演チケットは手売り。
プレイガイドにチケットを持って行っておいてもらって、週何回か梅田に出るたびに「何枚売れましたか?」と聞きに行っていた。
結局12枚売れて、「12人も知らない人が観に来てくれるのか」と(笑)。

オレンジルームの公演で800人集客して一気に勘違いした。
でもこれはつかさんの作品をやったからで、つかさんの作品を最後にやった公演は2,700人、その後のオリジナルは600人。
そこから入った古田は「騙された」と言っていた。

その後、扇町ミュージアムスクエアの津村卓さんにもお世話になった。
あそこに稽古場がずっとあったのが大きい。

若い頃の懐かしい写真もスクリーンで紹介。
いのうえさんも古田さんもほっそり。役者時代の竹田団吾さんとのスリーショットも。

南河内万歳一座座長の内藤裕敬さんとのツーショットもありました。
「内藤なんて、見る影もない」といのうえさん笑っていらっしゃいましたが、
亀岡さんは「ライバル」という方向に持って行きたそうでしたが、「好きですよ」とあっさり。
大学の同級生で同じように劇団を主宰して、進む道は違っていても、わかりあっているのね。


■ 影響を受けたもの・人

トムとジェリー
「トムとジェリー」が大好きで、台詞はなく音だけで進行するところなど演出にもよく採り入れている。
たとえば、「GVG」で池田成志の紅のXでは、52歳の男がヘドバン延々やるんだけど(笑)、あれは「トムとジェリー」の「アカデミーピアノコンチェルト」の回を参考にしている。

あとは時代劇かな。同世代の人ならわかると思うけど近衛十四郎さんがやった「月影兵庫」とか。
そして、「ルパン三世」


蜷川幸雄さん
先日「NINAGAWAマクベス」を観て、自分でもびっくりするくらい影響を受けていると思った。
役者の立たせ方、絵のつくり方など基本テキスト見せられているよう。今見ても綺麗。
「すごく影響受けました」と終演後蜷川さんに言ったら、ニコニコしていた。嬉しかったんだと思う。


秋浜悟史先生
芸大時代の恩師。
「役者として嘘をつくな」と教わった。演劇なので嘘ではあるのだけど。
「下手な役者を上手く見せる方法」も演出助手として学んだ。これは蜷川さんが若い子に対してよく使っています。
僕は下手な人は基本的に使わない。出てもらう時は下手な人って役にするから(笑)。


■ 市川染五郎さんとの出会い

97年 中座で「髑髏城の七人」やった時、三津五郎さん(当時 八十助さん)が観てくださって、「こういう芝居をすると小屋が喜ぶね」とおっしゃった。
その東京公演を染五郎くんが観て「これは現代の歌舞伎だ」と大興奮して、それが「阿修羅城の瞳」につながって、今につながっている。

「阿修羅城」の演舞場の千穐楽は勘三郎さん(当時 勘九郎さん)はじめ、大竹しのぶさん、真田広之さん、渡辺えり子さんなどが観に来てっくださった。

勘三郎さんがおもしろいと悔しがって、打ち上げにも乱入して加納幸和さんに「あの役(鶴屋南北)は俺がやった方が上手い」と言い放った・・・大人げない(笑)。
勘三郎さんはその後の平成中村座旗揚げの記者会見でも全く関係ない「阿修羅城」の話をしていた。

幸四郎さんは染五郎くんに「30年前だったら俺がやってた」と。
歌舞伎役者さんてそんな人たち。みんなおもしろくて悔しがり、と。

染五郎さんのことは「染五郎くん」と言ったり「染ちゃん」と呼んだりされていました。


■ 新感線35周年

新感線には3つの柱があって

・いのうえ歌舞伎
・Rシリーズ
・ネタもの

ネタものは大声勝負のところがあって、体力は一番消耗します。楽屋は死体安置所みたい(笑)。
5年前の「鋼鉄番長」の時、「壊れてもいい!やり続けるんだ!!」と言ってたけど、壊れたら続けられないことを学んだ。
だから今回の「GVG」では、ちゃんとリレーして、「このシーンがんばれば次休める」みたいにしてある。


-劇団を持っている意味は?
脇をやっている人たちに安心して任せられる。

-いのうえさんにとって古田さんと橋本さんはどういう存在?
劇団員(笑)。
親戚のうるさい人(橋本)と酒癖悪いけどまとめてくれる人(古田)。


■ 印象に残る客演

客演を選ぶ基準は
①性格のよさそうな人・・・これは事前にリサーチします。いい芝居するけど大変、という人はちょっと・・。
②価値観が近い人・・・これ、カッコいいよね、と思う感性が同じでないと。


天海祐希さん
ゲストだけど劇団のことも気遣ってくれる。
「蒼の乱」では実質座長で、本人も復帰後最初の舞台でかなりプレッシャーがあったみたい。
古田が楽屋に来て「ゆりちゃん 大丈夫?」と声をかけたら泣いていた。
自分では「ZIPANG PUNK」に映像出演したのもカウントして「新感線に5回出た」と言っている。

内野聖陽くん
自分が大好きでおもしろい。
「メタルマクベス」の松本公演で蕎麦屋にみんなで行った時、蕎麦屋のおねえちゃんたちがみんな未來(森山未來くん)にたかって怒ってた(笑)。

松たか子さん
すごい。
「メタルマクベス」を観た彼女の友だちが「レディマクベスは女優なら誰もが憧れる役だけど、もうやらなくていいんじゃない?」と言ったくらい。
とにかくすばらしかった。

「メタルマクベス」は、長いので少し短くして再演したいと思っています。

松雪泰子さん
綺麗だけどおもしろい人。


■ プライベートの過ごし方

時間があれば映画を観てる。
「映画評論」?に載るような偏った映画ばかり。

客席から「いのうえさん監督でマッドマックスみたいな映画を」という質問には
映画はお金集めが大変。金を出す人は口も出すでしょ?ゲキシネがあるし、映画はいいかな とあまり乗り気でなさそうでした。舞台の人なのですよね。

バレエもよく観に行きます。
おもしろくて好きなのと、パクリに(笑)。
先日観た木ノ下歌舞伎「心中天の網島」もおもしろかった。


-観る舞台はどんなふうに選んでいるのですか?

自分の興味もだけど、スタッフから薦められたり、深沢敦に飲み屋で薦められたり。
「絶対観た方がいいわよ。明日までよ」とか(笑)


■ これからの新感線

これまでの作品の中で再演したいと思っているのは

「髑髏城」「朧」「メタルマクベス」「SHIROH 」

でもSHIROHは自分の中では中途半端なところで終わったというか、自分の中では未完成の作品という思いがあるので、やるならきちんと書き直さなければならず難しい面も。

再演しようと思うのは、本的にしっかりしていて、役者さんをあてはめることができる作品。
この前の「髑髏城」では極楽太夫が惚れていたのは本当は蘭兵衛だったのか、ということがわかった。
栄ちゃん(小池栄子さん)がそういう芝居をつくってくれた。


「宝塚を演出することに興味は?」という会場からの質問には
「シミュレーションしたことあるけど怖いなぁ」と(笑)。
宝塚歌劇で観るのは、中井美穂さんに薦められたものの「エリザベート」。

「ワンピース」ができるなら「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」も歌舞伎でできるんじゃないかな。最初から白塗りだし(笑)。ディズニーが許可出さないだろうけど。



新感線人気の理由を
「わかりやすさを求める今の時代に自分の芝居がマッチしているんだと思う」
といのうえさん。

最後に
「観た後に元気が出る芝居を体の続く限りやっていきたいと思います」

と力強くおっしゃって、笑顔で客席に手を振ってご機嫌さんでした。
楽しかったムード


yukisnowtreeさんが当日のツイートをtogetterにまとめてくださっているのでこちらもどうぞ。



こんなトークなら何時間だった聴ける のごくらく度 1450 わーい(嬉しい顔) vs 1452 ふらふら)
posted by スキップ at 12:31
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