2015年07月23日

ライムライトは魔法の光 「ライムライト」

limelight.jpg映画少女だった十代の頃に観たチャップリンの名画。
テーマ曲「エターナリー」とともに、切ないストーリーが心に残っています。
今回音楽劇として、世界初の舞台化だそうです。


音楽劇 「ライムライト」
原作: チャールズ・チャップリン (映画 「ライムライト」)
上演台本: 大野裕之   音楽・編曲: 荻野清子  
演出: 荻田浩一
出演: 石丸幹ニ  野々すみ花  良知真次  吉野圭吾  植本潤  佐藤洋介  舞城のどか  保坂知寿
演奏: 岸倫仔 (ヴァイオリン)・坂川諄 (リード)・
佐藤史朗 (アコーディオン)・荻野清子 (ピアノ)

2015年7月19日(日) 1:00pm シアター・ドラマシティ  13列センター



若者は輝き
年老いた影消え
ライムライトは魔法の光
愛する君のため輝く光

というナレーションから始まる舞台。
生演奏のバンドがあのメロディを奏でると、一気に「ライムライト」の世界へ引きこまれました。


1914年 ロンドン。
かつての人気者で今や落ちぶれた老芸人のカルヴェロ(石丸幹二)は、ある日自殺を図ったテリー(野々すみ花)を助けて自分の部屋に住まわせます。
心に傷を負って脚が動かなくなっていたバレリーナのテリーでしたが、カルヴェロに献身的に支えられ、ついに立ち上がり、舞台に復帰して将来を嘱望されるスターバレリーナとなります。
テリーはカルヴェロを愛する自分の心に気づいて求婚しますが、年老いて落ちぶれた自分の身を顧みたカルヴェロは、その申し出を拒み、テリーの前から姿を消します・・・。


舞台化に際して、チャップリン原作による日本未発表の小説 「フットライト」に収められたエピソードも新たに追加されたということですが、映画を観たのがン十年前のしかも1回きりですので、細かいことはほとんど忘れています。
今回改めて感じたことが二つ。一つはこの物語の背景に第一次世界大戦が色濃くあったこと。
冒頭、サラエボ事件から始まり、結構詳しく語られていたり、あの反戦のんきソング?はさておくとしても、作曲家のネヴィルが徴兵されたり。
反戦への思いが強いチャップリンらしいな、と今ならわかります。

もう一つ、時を経て自分の見方、感じ方が変わったと思ったのは、カルヴェロの心情に寄り添えたこと。
テリーのことを愛していたとしても、わが身を振り返るととてもその愛に応えることなんてできないという気持ち、痛いほどよくわかります。
テリーを思いやる気持ちとは別に、自分の手の中からするりと消えてしまった“若さ”への羨望や負い目、嫉妬、意地やプライド。
そういったものが混ざり合った感情、自分も年を重ねた今だから自分のものとして理解できるのだと思います。

「薔薇は美しく咲くのではない。一生懸命咲いているから美しいのだ」
「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」

・・・テリーを励まし、勇気づけようとしてカルヴェロが口にする言葉は、そのまま自分へ言い聞かせているようにも聞こえました。


二幕で、成功をつかんだテリーを少し寂しげに見つめてカルヴェロが歌うエターナリー。
ここで涙がぶわっとあふれて、あのチャップリンのはにかんだような、少し物哀しい笑顔が目に浮かびました。音楽のチカラってすごい。


石丸幹二さんはカルヴェロにはいささか若すぎてカッコ良すぎるように思っていましたが、作り込んだメイクや体の動きで老境に入ったカルヴェロを体現。
コメディアンらしからぬ静かな佇まいが、哲学的な言葉を吐くカルヴェロに合っていました。
テリーが大舞台の出番直前の舞台袖で緊張と不安でまた脚が動かなくなってしまった時に、「大丈夫だ」とぎゅっと抱きしめてあげるところ、ステキだったな。
のびやかなヴォーカルも相変わらず。

透明感のあるテリーは野々すみ花さん。
バレエが踊れて歌えてお芝居もできる、ってこの役ができる女優さんはかなり限られそうですが、すみ花ちゃんはとてもよかったです。
絶望して心を閉ざしていた前半と、勇気と自信を取り戻し、「私がカルヴェロを幸せにする」と言い切る後半のメリハリも効いていましたし、テリーは芯の強い女性だということが現れていました。
宝塚時代はダンサーというイメージはありませんでしたが、この役のために10年ぶりにトゥシューズを履いてレッスンしたのだとか。白いチュチュも似合って、ピルエット(若干スピードは遅めだったけど)もターンもリフトも綺麗でした。


口は悪いけれど気のいい世話好きの大家さんだったり、カルヴェロのことを思いやるプロデューサーだったり、テリーの初恋の相手の作曲家だったり、二人を取り巻く人たちは善人ばかり。
他のキャストが何役もこなしていましたが、みんな達者。とても贅沢な配役だと思いました。

上演台本を書かれた大野裕之さんのお名前に見覚えがある・・と思って自分のブログ検索したら、2007年3月 京都の立誠小学校で開催された「チャップリン国際シンポジウム」の市川染五郎さん対談のコーディネーターでした。
そうそう、日本チャップリン協会の会長さんだったわね、と。

いや~、それにしてもこの対談、懐かしい。
とても印象に残る対談で、8年も前なのに今もよく覚えています。
チャップリンのお陰で思いがけず染充できたし、ブログのありがたさもまたちょっと感じたりも。



「ライムライト」は舞台を照らす光。そして名声の代名詞。

復帰の舞台。
そのライムライトの下で観客の“サクラ”ではない心からの拍手に讃えられ、
今またライムライトのもとで踊るテリーの姿を見ながら最期の時を迎えるカルヴェロ。
その心は穏やかだったでしょうか。



「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そしてほんの少しのお金だ」 のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1405 わーい(嬉しい顔) vs 1410 ふらふら)
posted by スキップ at 23:45
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