2015年06月02日

11年目の新たな一歩 「中村勘九郎 中村七之助 新緑特別公演 2015」

shinryoku2015.jpg中村勘九郎・七之助ご兄弟の特別公演も今年で11年目。
昨年の10周年は錦秋公演でしたが、今年はこの季節にということで全国12箇所をまわる「新緑公演」です。


中村勘九郎 中村七之助 新緑特別公演2015
2015年5月30日(土) 12:00pm NHK大阪ホール 1階F4列上手



一、ごあいさつ(芸談)    
出演: 中村勘九郎  中村七之助  坂東新悟


◆新悟くん加入

緞帳が上がると、スーツ姿の勘九郎さん、七之助さんと、進行役の関西TV 山本悠美子アナウンサーが立っていて、いきなり勘九郎さんが話し始める・・・これ、今までにないパターンでした。
勘九郎さん、七之助さんがご挨拶して、「今年で11年目を迎えて、新たな仲間を」ということで、今回から加わった坂東新悟さんが入場。
ここからは皆さん座ってのトーク。


◆はじめて歌舞伎を観る人

七之助さんが、この公演を始めたきっかけは「女子高生から『歌舞伎が好きだけど新幹線代も、泊まるとなればホテル代もかかるしチケット代もいるからなかなか観に行けない』という手紙をもらって、『じゃあこっちから行こうじゃないか』と」
実際今回も地方へ行くと初めてご覧になる人の比率が高かったそう。
「ファンレターもらって、初めて観て歌舞伎を好きになった、という人もちょっとだけいる」と七之助さん。ちょっとだけなんだ(笑)。
「今日 初めて歌舞伎を観る人」と勘九郎さんが挙手を促して、大阪はさすがに多くはありませんでしたが、それでも1割くらいは手が挙がっていたでしょうか。◆結び合う縁

大阪へは前日(5/29)入り。
「昨日 北新地で飲んでて、会っちゃいけない人に会ってしまいました。古田新太に」(笑)
「向こうから成田屋のかまわぬTシャツ着て歩いて来たんだけど、こっちがかまうよね」と
七之助さんと顔を見合わせる勘九郎さん。

その日は梅芸出演中の駿河太郎さん(「TAKE FIVE」に出てたのね)と飲んでたら、
そこへ偶然お父さんの鶴瓶さんから電話が入ったそう。
鶴瓶さんは普段めったに太郎さんに電話なんかかけないのに、と。
鶴瓶さんは福岡にいらして、ホテルのバーで偶然 鴈治郎さんに遭遇して、
一緒に勘三郎さんの還暦を祝ってらしたそうです。

古田さんにしても鶴瓶さんにしても、まるで空の上の勘三郎さんが結びつけているよう、
と思いました。


◆大阪平成中村座

「前回の大阪中村座の時は、父の体調が悪くなりかけてた時だったから・・」
と少ししんみりした面持ちの勘九郎さん。
「特に僕は毎日タクシーで父と(劇場へ)行ってたから・・・」と遠くを見るような目で語る七之助さんの横顔が大人びた翳を帯びているように見えてちょっと胸がつまりそうでした。
「そうそう、あの道とか、よく覚えてるよね」と勘九郎さん。

明るい話題も。
大阪平成中村座の話から、「その前に10月は『阿弖流為』ありますからね、松竹座。よろしくお願いします」と 勘九郎さん明言されました。


◆質問コーナー

会場からの質問は3人で
・1週間お休みがあれば何をしたいか
・週刊朝日の表紙写真を再現してほしい
・姫路にぜひいらしてください←質問じゃなかったしあせあせ(飛び散る汗)

1週間のお休みについては、
勘九郎さん: 弟がこの前行ったボリビアのウユニ塩湖の写真見せてもらったらすごくよかったので行ってみたいですね。
七之助さん: 僕は姫路城に行きたい。まだ白いうちに。
新悟さん: 1週間のお休みをもらったことがないから、どうやったらいいのがわからないです。

週刊朝日の表紙写真は、「やらされたんですよ」と。
「何枚も撮って、まさかあれが表紙になるとは」
「わかりましたよ。やれってことでしょ」
と再現してくださいました。


二、女車引 
出演: 中村仲之助  中村仲四郎  中村鶴松


「菅原伝授手習鑑」 車引のパロディ。
松王丸、梅王丸、桜丸のお嫁さん千代(仲之助)、春(仲四郎)、八重(鶴松) 三人の舞踊です。
それぞれの旦那さまにちなんだ、松、梅、桜の柄の着物が艶やかな女方の舞。
千代の仲之助さんが踊り的にも、貫禄的にも一枚上という印象ですが、鶴松くんの初々しい中にしっかり基礎ができた踊りも見ものでした。


三、仇ゆめ 
 一場 島原の廓大門のほとり/二場 揚屋の座敷/三場 壬生野の田圃道/
  四場 遊女屋の座敷/五場 庭
出演: 中村勘九郎  中村七之助  坂東新悟  中村鶴松  中村小三郎 
澤村國久  中村いてう  坂東彌風  中村仲助  中村仲弥  土橋慶一  山岡弘征


物語: 島原の深雪太夫(七之助)に恋した狸(勘九郎)が舞の師匠に化けて太夫のもとへ出向き愛を告白すると、元々師匠に想いを寄せていた太夫は大喜びします。
嫁入りの支度をするために一旦帰った師匠(狸)と入れ替わりに本物の師匠(新悟)がやって来て・・・。



これまで舞踊ばかりの演目でしたが、今回が初めて台詞の入った舞踊劇に挑戦。
勘三郎さんが幾度となく演じた中村屋ゆかりの演目です。


とてもよかった。
かわいくて愛おしくて、切ない。

勘九郎さんの狸は愛嬌たっぷり。
深雪太夫を心から好きという純粋な気持ちが表情や所作の端々にあふれていて。
現代風な踊りを採り入れたり、義太夫さんをいじったり、ユーモアをまじえた踊りも、
元になる型がしっかりしているので品を失わず、勘九郎さんの身体能力の高さや
お父様譲りの茶目っ気や、すべてがこの役にぴったりハマっていました。
勘九郎さん狸と鶴松くん禿が脚を揃えてお座敷へ行くところなんて思わず声出して笑ったな。

相変わらず声や所作が勘三郎さんに生き写しの時があってはっとするのですが、
師匠に化けた勘九郎さん狸が新悟くん師匠に踊りの指南するところなんて、
勘三郎さんの姿が重なって見えて、泣き笑いでした。

そんなかわいい狸だからこそ、結末の切なさも一層際立ちます。


七之助さんの深雪太夫は登場した瞬間、色香が立ち昇るような美しさはもちろん、
最初は戸惑って、ドキドキして、喜んで、今度は拗ねてみせたり、表情がとても細やか。
思う師匠が狸と知って怖がったり気味悪がったりしていた深雪太夫が、
「お前の気持ちはわかっているが、江戸には妻が待っているからその気持ちには応えることができない」
と師匠に言われて、人の心の痛みや切なさを知る、というアナザストーリーもよかったな。

千両箱を引きずってやってきいた瀕死の狸に、千両箱を持ってきたからには立派なお客さま」と
「こちの人」と呼んでやったり、連れ舞を踊るやさしさを見せる深雪太夫。
太夫の膝に倒れこんで息絶えた狸は、最期に幸せだったかな。


新悟さんは珍しい立役で舞の師匠。
キリッとしていていかにも芸道一筋という硬派な雰囲気で、狸と愛嬌との対比が際立っていました。
深雪太夫のことなんて意に介していない風情だった師匠が、最後に見せる苦しく切ない表情もステキでした。


そして鶴松くん禿が「こったいさん、こったいさん」と言うたびに鳰照太夫のキラリ~ンが目に浮かびました。 「大當たり伏見の富くじ」また観たいなぁ のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1380 わーい(嬉しい顔) vs 1381 ふらふら)
posted by スキップ at 23:11
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