2015年04月27日

まさに狂言フェスティバル 「祝祭大狂言会 2015」

shukusai2015.jpg2013年4月 フェスティバルホールが新装オープンした際、オープニングシリーズのひとつとして上演された「祝祭大狂言会」。

あの折は気づいた時にはチケット完売していて残念な思いをしましたので、このたび2年ぶりに開催、しかも野村万作さん・萬斎さんの和泉流ご一門ばかりでなく、大好きな京都の茂山家(大蔵流)の皆さんも共演と知って、張り切ってチケット取ったのでした。


祝祭大狂言会 2015
2015年4月25日(土) 3:00pm フェスティバルホール 
1階1列センター


会場に入るとステージ中央に松羽目。
その左右に橋掛かりが斜めに延びた能舞台が設置してあって、フェスティバルホールにこんな舞台が、と思うだけで気持ちが高揚します。


解説
野村萬斎


開演アナウンスもベルもなく下手から静かに野村萬斎さん登場。
紋付き袴の装いです。

いきなり「こんにちはー」とおっしゃって、会場からの「こんにちはー」の返しを待つという・・・(笑)。
私の中で当代市川猿之助さんと並んで「才気煥発」というイメージがある萬斎さんですが、トークの時はいつも茶目っ気たっぷり。
これから上演される3曲をわかりやすく説明してくださいました。
どの曲も初めて拝見するものばかりだったのですが、萬斎さんの解説があったのでとても理解しやすかったです。
「歌仙」のご説明の時に、「夜が明けたら『くるみ割り人形』のように・・・」とおっしゃったのが印象的でした。

能舞台は萬斎さんが芸術監督をお務めの世田谷パブリックシアターのものをそのまま持って来られたのだそうです。「スタッフも精鋭を連れて来ました」と。あら、ずい分髪を短くしてらっしゃるのね、と思ったら「川上」の説明の時に、「私もこの前まで座頭の役をやっていて頭を丸めてましたので、こんな髪型で」ですって。
部活引退したばかりの高校球児みたい(笑)。

「しゃべり過ぎて」15分の予定が20分に。
時々時間を気にして取り出して見る時計が懐中時計なのも何だからしかったです。
最後は「私の笑いを皆さんで」と萬斎さんがお手本を示して会場みんなで笑って締めくくり。
私たちの笑いはグダグダでしたが、マイクはずして一人で大ホールに響き渡る萬斎さんの笑い声に感嘆。
萬斎さんの声とともに、フェスティバルホールの音響のよさも改めて実感しました。


「靭猿」  
出演: 茂山千五郎  茂山七五三  茂山逸平  茂山鳳仁 ほか


大名(七五三)が狩りの道中に出会った猿曳(千五郎)に、自分の靱に用いたいからその猿の皮をよこせと言います。一旦は断った猿曳ですが、差し出さないとお前も殺すと言われて泣く泣く猿を殺すために猿引が杖を振り上げると、猿(鳳仁)は芸の合図かと思って一生懸命に「舟の艪を漕ぐ」仕草をします。その姿を見た猿曳は・・・。

萬斎さん曰く「三世代の狂言師がそろわないとなかなか見られない」曲なのだそう。
猿を演じたのは茂山正邦さんの三男で千五郎さんのお孫さんにあたる鳳仁くん 7歳。
可愛い声と動きで、観客の視線を一人占めです。

まわりの人たちがお芝居をしている時も、お猿さんは脚を掻いたりごろりと転がったりと全然じっとしていないのですが、
ちょうどそれが私の座席の目の前の位置で、転がる時に時々「うっ」と小さな声が出てたりしていたので大変そうだなぁ、と(笑)。

逸平くん太郎冠者の朗々と響くよい声と、後見を勤めた茂さんのいつになく(笑)真剣な表情と、千五郎さんの面差しがお父さまの千作さんに似て来られたのが印象的でした。

その千五郎さんも大名の七五三さんも、健気な猿の姿を見て、「えーん、えーん、えーん」って目に手を当てて泣くって、何てかわいいおじさま達なんだ。



「川上」
出演: 野村万作  野村萬斎


吉野の里に住む盲目の男(万作)が、川上の霊験あらたかなお地蔵さまに参詣し、目が開くように願って目が見えるようになります。大喜びで杖も捨てて帰った男でしたが、目をあけてもらうには条件があり、「悪縁の妻と別れろ」と言うものでした。それを聞いた妻(萬斎)は怒り・・・。

二人だけの曲をこの大ホールに持ってくるのはある意味「挑戦」だったと萬斎さんがおっしゃっていました。
静寂の中に響く杖の音を感じていただいて、皆さんも寝息をたてないように(笑)ですって。
いや、おもしろくて全然眠くなんてなりませんでしたから。

松羽目が上に飛ぶと、正面にホリゾントへ向かう橋掛かりがもう1本現れて、放射線状に三方向に。
「絶対に別れない」という妻の言うことを聞き入れた夫が再び目が見えなくなり、嘆きながらも「これも前世の因縁」と二人手を取り合って帰るラストにこの真ん中の橋掛かりが使われ、奥行きのある舞台を肩を寄せ合ってゆっくり去っていく・・・だんだん小さくなる後ろ姿、そこに徐々に照明も落ちて、二人の姿が闇の中に吸い込まれて行くようで、とりわけ心に残りました。

切ない幕切れの狂言ですが、また目が見えなくなった男が、「こんなことならあの杖を捨てなかればよかった」と悔しがったのには笑っちゃいました。(いや、悔しいのはそこじゃないでしょうというカンジ?)



能楽囃子
出演: 谷口正壽  上田敦史  前川光範  赤井啓三


休憩の後、まずは
能楽囃子方の演奏から。
大鼓、小鼓、太鼓、笛。
囃子方の演奏だけをこうして聴くこと自体珍しくとても楽しかったです。
しっかしあの大鼓、いい音でした。



「歌仙」
出演:  野村万作  野村萬斎  野村又三郎  井上松次郎  佐藤融  鹿島俊裕  ほか


和歌を嗜む都の果報者(井上松次郎)が和歌の神である玉津島明神に参詣し、歌仙を描いた絵馬を奉納すると、絵馬から、柿本人丸・僧正遍照・小野小町・在原業平・猿丸太夫・清原元輔という歌仙たちが抜け出て来て、月見の宴を張るうち・・・。

萬斎さん曰く「歌詠みサークル内のマドンナをめぐる争い」(笑)。
紅一点かつ絶世の美女と謳われた小野小町をめぐる恋のさや当て。
主に柿本人丸(万作) vs 僧正遍照(萬斎)な訳ですが、最後には、遍照・小町連合 vs その他4人の立ち回りにまで発展。

ホリゾントに大きな絵馬が浮かび上がり、その中に思い思いの扮装とポーズで立つ6人のシルエットが見えた時はゾクッとしました。
やがて段々明るくなり、一人ひとりの着物の色や表情が認識できるようになって、静止画の絵姿が動き出す・・・お能のような優美さと狂言のおかしみもたっぷり詰まった豪華絵巻のような和歌の世界が広がります。

綺麗な照明も、絵柄も、とても心浮き立つステキな演出でした。
僧正遍照の紫の僧衣はじめ、それぞれの衣装も細部まで美しく品よく、衣装を見ているだけでも飽きないくらい。

配役を知らなかったのですが、シルエットの段階で一番左の人が萬斎さんだ、と気づいた自分、エラい(笑)。

散々争った後、夜が明けるとなるとまたみんな絵馬の中に戻りシルエットになる・・・萬斎さんが「くるみ割り人形」とおっしゃって意味がわかりました。
ファンタジーの世界のようでありながら幽玄でもあり、しかもとびきり楽しい曲でした。


こんなにいろいろたっぷり楽しめて、萬斎さんが「辞書代わりに」とおっしゃった語句解説も載ったプログラムもいただけて、かぶりつきで観て7,500円。
ほんと、狂言ってやつは、やってくれます。
フェスティバルホール3階までびっしり満員の2,700名 大いに楽しませていただきました。



せっかくの機会なので、和泉流、大蔵流合同キャストによる異種格闘技みたいな狂言も観てみたかったのですが、それは難しいのかな のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1363 わーい(嬉しい顔) vs 1365 ふらふら)
posted by スキップ at 23:41
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