2015年02月09日

舞い散る桜も蜘蛛の糸も 歌舞伎座 「壽初春大歌舞伎」 昼の部


私が伺った日はもう1月も終わりに近かったのですが、歌舞伎座はどこも華やいでお正月気分たっぷりでした。
日を改めて昼の部は、1階花道七三のそばで美しい方々をガン見。


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松竹創業120周年   壽初春大歌舞伎 昼の部
2015年1月25日(日) 11:00am 歌舞伎座 1階3列下手



一、祇園祭礼信仰記  金閣寺
出演: 市川染五郎  中村七之助  市川男女蔵  大谷廣太郎  市川笑也  市川門之助  中村勘九郎 ほか


物語: 室町幕府執権・松永大膳(染五郎)は天下を狙い、将軍足利義輝の母を金閣寺に幽閉。さらに、絵師・雪舟の孫で大膳が横恋慕している雪姫(七之助)も閉じ込め、夫の狩野之介直信(笑也)に代わり金閣の天井に龍を描くか、自らの意に従うかを迫ります。その両方を断られ怒った大膳は雪姫を桜の幹に縛り付け、直信の処刑を命じます。一方、敵方から降参して来た此下東吉(勘九郎)が現れ、大膳の家臣になる事を願い出ます・・・。

まるで花形歌舞伎のような配役。
この座組で歌舞伎座の大きな舞台を勤めていることだけで胸熱です。
前日、さらに若い浅草歌舞伎観た後だからなおさら。いつか彼らにもこんな日が来ることを願う・・・というかそうなっていただかないと。

満開の桜の木と大きな滝。
舞台正面には極彩色の金閣寺。
衣装もきらびやかで華やか。
さらには主要三役(染・勘・七)が見栄えも美しくて、ほんっと、眼福な舞台でした。


染五郎さんは一月歌舞伎座の三役はいずれも初役ということですが、松永大膳は大きさも必要な悪役。
多分染五郎さんのニンとは違うタイプの役ですし、ちょっとカッコよすぎという感はありますが、昨年の弁慶の経験が活きて声も低く太くつくって押し出しも立派。
それに色っぽい。

大膳の台詞で雪姫のことを、「意のままになるまでは布団の上で極楽責め」というのを聴いていて、「え?そんなこと言っていいの?エロエロじゃん!」と思ったのですが、それはそういう意味ではなく、「下にも置かずに優遇して、却って居心地を悪くさせること」ということだということを後でTwitterのフォロワーさんに教えていただいたきました。あ、そうなのねあせあせ(飛び散る汗)
「意のままになるまでは」っておかしいなとは思ったのよ。

ですが、そういうあらぬ誤解を招くくらい(笑)、染五郎さんの大膳は色悪の匂いプンプンで、悪役フェチの私にどストライクなのでした。

七之助さんは三姫のひとつ 雪姫という大役。
美しさは申し分なく、紅い打ち掛けも華やかに、まるで錦絵から抜け出して来たような、溜息が出る美しさ。桜の木に縄で縛られる姿もこれまた色っぽいし、降りしきる桜の花びらの中で舞う姿は夢のようでした。
クールな美貌の持ち主ですが、声にも顔にも表情が少なめで、爪先鼠の奇跡を起こすようなパッションは幾分あっさり目だったかな。

勘九郎さんは知恵者の東吉。
若者らしく凛としていて、いかにも賢明そうな武将で持ち味にもよく合っていました。
雪姫の夫・狩野之介直信が二枚目のやさ男で「誰?」と思ったら、立役は珍しい笑也さんでした。

大幹部が演じる場合に比べたらきっと足りないところはたくさんあるのでしょうけれど、若々しく颯爽としていて将来歌舞伎座を背負って立つ人たちなのだと期待を感じさせる幕でした。


二、蜘蛛の拍子舞  花山院空御所の場
出演: 坂東玉三郎  中村勘九郎  中村七之助  市川染五郎 ほか


舞踊苦手な私ですが、これは大好きな演目。
しかも玉三郎さん女郎蜘蛛の精を囲むのが、またまた勘・七・染だなんてムード

夜の部の「女暫」が「暫」の女性版なら、こちらは「土蜘蛛」の女性版といったところでしょうか。
美しく、どこか妖しげな白拍子妻菊と、おどろおどろしい女郎蜘蛛の精。
玉三郎さんの存在感際立つ二態のお楽しみ。

勘九郎さん渡辺綱、七之助さん源頼光を左右に、玉三郎さん妻菊と三人で踊る拍子舞の楽しさ。ちょっとタップダンスやラインダンスにも思えたりして。
華麗な立ち回りや、流麗な弧を描いて投げ込まれる幾筋もの蜘蛛の糸。
いつまでも観ていたいほどの美しく妖しい異形の世界。

キリリと気品ある七之助さんの源頼光、力強い若武者ぶりが頼もしい勘九郎さんの渡辺綱もキマっていました。

そして、染五郎さんの押し戻しが観られるなんて、何てご馳走なの、な坂田金時。
赤がいっぱい入った華やかな隈取が端正なお顔にとてもよく映え、豪快な押し戻しでした。
そういえば染五郎さん、玉三郎さん蜘蛛の精に「大和屋のアニキに似た化け物」とおっしゃっていましたが、前日観た夜の部「女暫」では七之助さん若菜 「大和屋のおねえさん」と呼んでいました。
性別不詳の玉三郎さん。 ますます 「人外のもの」感が(笑)。

途中で出てくる巨大な蜘蛛がとてもリアルで毛むくじゃらで、花横だったのですごく近くで観て本当に不気味でした。
玉三郎さんの後見のお一人が坂東功一さんで、あの端正なお顔が無表情のまま、蜘蛛の精が巻いた糸をササササツと巻き取ったり、時には背後に回って自ら投げ放ったりするクールな姿にヤラレました。


三、一本刀土俵入
出演: 松本幸四郎  中村歌六  中村錦之助  大谷友右衛門  中村魁春 ほか


幸四郎さん駒形茂兵衛ってすごく意外な気がしたのですが(特に前半は観る前想像つかなくて)、これはこれで(笑)そんなに違和感なかったです。
前半は力が抜けていて飄々とした観があって、後半との落差が際立っていました。何だか育ちのよさそうな取的さんだったけど。
後半のキリリとした渡世人はいつもの幸四郎さんという趣き。
幸四郎さん何をやっても理性的で頭のいい人のように感じることが多いのですが、そんな人だからこそ、お蔦さん見送りながら、「駒形の、しがねえ姿の横綱の土俵入りでござんす」と絞り出す言葉が胸に迫りました。

幕間に合ったお知り合いに開演直前に「魁春さんの歌が・・・」みたいなことを聞いてしまったのですが、本当にどうしたことだ、という感じだったお蔦さんの歌(笑)。
しかしながら、本来心根のやさしい姐さんが、薄幸でやけっぱちにもなっているというやさぐれた感じはよく出ていて、まぁ歌も、酌婦がなぐさみに口ずさんでいるとすれば却ってこれくらいの方が、と思わなくもありません。
「(自分のことを聞かれたら)二十四(歳)の女だとお言い」という台詞には客席からちょっとしたどよめきと笑いが起こっていましたが。

鹿六さんの波一里儀十がいかにも侠客の親分という佇まいでカッコよかったな。
酌婦お松で小山三さんが出演されていたのですが、私は観た日は体調不良で休演されていて残念でした。でもくれぐれもご無理はなさらないでいただきたいです


歌舞伎座昼夜 堪能いたしました のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1323 わーい(嬉しい顔) vs 1328 ふらふら)
posted by スキップ at 23:30
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