2015年01月06日

松竹座 「壽初春大歌舞伎」 夜の部

201501shochikuza.jpg今年の松竹座は一月二月連続で四代目中村鴈治郎襲名披露興行。
役者さんの奥様方も勢揃いされて、華やいだロビーも客席も、お祝いムード満載です。

松竹創業120周年
中村翫雀改め
四代目中村鴈治郎襲名披露 「壽初春大歌舞伎」 夜の部


2015年1月3日(土) 4:00pm 松竹座 3階2列センター



一、将軍江戸を去る
作:   真山青果
出演: 中村梅玉  坂東彌十郎  中村亀鶴  中村橋之助  ほか


江戸城無血開城が決まり、翌朝には江戸を発つ予定の十五代将軍徳川慶喜(梅玉)と勤皇思想を説き、庶民のために江戸城を明け渡すように諫言する山岡鉄太郎(橋之助)との丁々発止のやり取りを描いた台詞劇。

徳川慶喜役が梅玉さんしか思い浮かびません(笑)。
他の役者さんでも観たことあるはずなのですが。
それくらいハマっているということでしょうか。
逆に山岡鉄太郎はいろんな役者さんの顔が浮かびますが、橋之助さんで観るのは初めてでした。

橋之助さんの鉄太郎は、やはりアツい男でした。
第二場 上野大慈院の場 の慶喜と面会するまでの鉄太郎と、その後の2人のやり取りがこの物語のキモだと思いますが、動きが少ない上に場面も暗いので、3階から観るのは結構キツく、意識が遠のくこともしばしばという苦手な演目ではあります。
が、今回はじっくり聴くことができました(自分比)。

「今まで薩長の横暴に耐えてきたが 大政奉還し将軍職も退いた今は薩長と戦う」という慶喜に、「官軍と争い江戸を戦火に巻き込むべきでない」と面と向かって言い放つ意気には感ずるものがあります。
坂本龍馬は有名ですが、幕末から明治にかけて、こんなふうに先を見通し、信念に従って行動することができた人たちが次々と現れて時代が動き、今の日本があるのだろうなぁと改めて思いました。二、四代目中村鴈治郎襲名披露 口上

藤十郎さんに、「あんたやってぇな」と言われたからと片岡仁左衛門さんの仕切りで。
中央の鴈治郎さんをはさんで左右6人ずつ。13人の口上でした。
下手から順に(敬称略)
秀太郎・亀鶴・虎之介・壱太郎・扇雀・藤十郎・鴈治郎・仁左衛門・橋之助・愛之助・竹三郎・彌十郎・梅玉 
という並び。

襲名披露口上はいつ聴いても明るく前向きな気持ちになれます。
上方歌舞伎の大名跡ということもあってか、竹三郎さんが列座されているのがうれしかったですが、ここに我當さんがいらしたら、と残念でなりませんでした。
ただ一人、女方の拵えをした片岡秀太郎さんが、鴈治郎さんのことはもとより、「ご子息の壱太郎くんも進境著しく、虎之介くんも・・」と成駒屋さん全体について語っていらっしゃったのが印象的でした。
これまで数々聴いてきましたが、秀太郎さんの口上はいつもご自分のお言葉で話され、とても気持ちがこもっていて温かい。

鴈治郎さんは、「鴈治郎の名跡を縁が深い大阪で披露でき、このようにうれしいことはございません。先祖の名に恥じぬよう生涯芸道に精進します」と力強くおっしゃっていました。


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雁治郎さんのお名前にちなんだ祝幕


三、恋飛脚大和往来
   玩辞楼十二曲の内 「封印切」  新町井筒屋の場
出演: 中村鴈治郎  中村扇雀  中村橋之助  片岡秀太郎  片岡仁左衛門 ほか


襲名披露演目。
鴈治郎さんの亀屋忠兵衛に扇雀さんの梅川、片岡秀太郎さんのおえん、仁左衛門さんの八右衛門。
我當さんの代役で槌屋治右衛門 を演じた橋之助さんを除いて、ネイティブ(笑)で固めた上方歌舞伎はとても耳に心地よかったです。

とりわけこの演目を引っ張ったのは、秀太郎さんのおえんと仁左衛門さんの八右衛門。

秀太郎さんは梅川役もとても素敵ですが、今このおえんをやらせたら右に出る者はいないのではないかしら。
おえんさんはいかにも井筒屋のおかみさんといった如才ない風情とじゃらじゃらした感じはありつつ、お人好しで気が優しく、忠兵衛・梅川のことをよく理解して何とか力になろうとしていて、観ている方もつい感情移入してしまいます。
着物の着こなしとか所作も、オンナの目から見てもお手本にしたいくらいです。

仁左衛門さんの八右衛門を観るのは多分三度目かな。
もう、憎ったらしいのにどこか可愛気もあり、悪の華といった色気もあり、でこんな八右衛門観せられたら他の人では満足できなくなる恐れが(笑)。
緩急自在の煽りと嫌味を連発して忠兵衛を後戻りできない淵への追い込んで行く容赦なさ。
根性は捻じ曲がっているのに、愛嬌があって憎めない。何だかこの悪役を楽しんで演じていらっしゃるようにも思えます。

そして私は仁左衛門さんの浪花ことばが大好き。
もともと声も口跡のよさも好きですが、非の打ちどころのないイントネーションね。
正統な「じゃかっしゃいっ!」を聴かせていただきました。
仁左衛門さん八右衛門 無双。

鴈治郎さんで忠兵衛を拝見するのは初めてでしたが、とてもよかったです。
郭中の女たちが「忠さん Love揺れるハート」みたいになる色男っぷりはもうひとがんばりというところながら、八右衛門に追い込まれて、「いけない」と思いながら激高していく人間の弱さがヒシと感じられました。

ただ
たとえば勘九郎さんを観ていて「勘三郎さんそっくりだ」と思うほどには、鴈治郎さんは藤十郎さんに似ているとは感じないのですが、不思議なことに観ていて藤十郎さんの忠さんばかりが頭に浮かんできました。
まだまだこれから何十回と演じることになるであろう忠兵衛。
鴈治郎さんが、鴈治郎さんの忠さんを観せてくださって、私たちを藤十郎さんの呪縛から解いていただけるのを楽しみにしています。


IMG_3056.jpgこちらはロビーに飾られたご祝儀。
四代にわたる雁治郎さんそれぞれのご紹介と舞台写真も展示されていました。











四、棒しばり
出演: 片岡 愛之助  中村壱太郎  中村亀鶴


狂言ベースの松羽目もの。
酒癖の悪い家来を持った主が出かけるにあたり、留守番の家来が酒を飲まないように一人は料亭を棒に、もう一人を後ろ手に縛って出かけますが、二人は手が使えない中、知恵を絞って酒を飲む・・・という物語。

次郎冠者の愛之助さんと太郎冠者の壱太郎くんは共演も多いだけに息もぴったりで楽しい掛け合い。
女方で観ることの多い壱太郎くんのとぼけた美少年っぷりも可愛いかったです。

日本舞踊は手や腕を使って表現する振りが多いということを改めて感じ、両手を棒に縛られるという負荷のかかった状態での踊りはなかなか力量が出るなとも感じました。

愛之助さんはとても確実にこなしているものの、少し動きが重いように感じました。
顔中汗いっぱいかいて、いかにも大変そう。
壱太郎くんの踊りが軽やかなので尚さら。

扇投げも成功してやんやの拍手を浴びていましたが、何て言うんでしょ。
フィギュアスケートで大技のジャンプする前、「これから跳ぶぞ、跳ぶぞ」みたいな準備段階の動きがあって跳ぶ人と、それまでのスケーティングの流れの中でひょいと軽々跳んで見せる人(羽生選手のように)の違いのような感じ。
これからの進化に期待といったところでしょうか。

それでも、打ち出しにふさわしい楽しい演目で、今年の初観劇、気もちよく打ち出されたのでした。



昼の部は観に行けそうになくて雁治郎さんごめんなさい のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 1306 わーい(嬉しい顔) vs 1314 ふらふら)
posted by スキップ at 23:24
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