2013年09月11日

今さらですが 「盲導犬」

dog.jpg今月は私にしては珍しく観劇予定が少なくて(とは言うものの、わりと月末に集中していて7本)、この機会に今年観たけどまだ感想書いていない舞台3本のレポ強化月間といたします。
まずはこちら。

シアターコクーン・オンレパートリー2013
「盲導犬―澁澤龍彦「犬狼都市」より―」
作 : 唐十郎
演出 : 蜷川幸雄
出演: 古田新太  宮沢りえ  小出恵介  小久保寿人  大林素子  金守珍  木場勝己 ほか

2013年8月3日(土) 3:00pm シアターBRAVA! 
C列センター


舞台のレポをアップしない理由は、観たものが集中していて書き切れない、というのが最大ですが、それ以外にも筆が進まない(筆ではないが)理由はいろいろあって、この作品については、「書きにくい」(笑)。

昨年、「下谷万年町物語」を観た時に、ちょっと私の理解の範疇を超越していて、「やっぱ唐さんの作品は手ゴワイ」をひしひしと感じて、今回も観ようかどうしようか迷ったのですが、この豪華キャストの魅力には抗えず。

唐十郎さんが1973年に蜷川幸雄さんが旗揚げした劇団「櫻社」のために書き下ろした作品。
初演の出演者は、石橋蓮司・蟹江敬三・桃井かおり・緑魔子という、私が演劇を観始めた頃、超好きだった役者さん揃い(もちろん今でも大好き)なのですが、残念ながら観る機会がなく、1989年の再演(この時のフーテン少年役はキムタク!)も観ていなくて今回初見でした。

物語の舞台は1970年代初期。
学生運動が下火になりつつも、まだまだ世の中が危うさに満ちていた時代。
新宿地下街にあるコインロッカーの前で、不服従の犬 ファキイルを探す盲人の影破里夫(古田新太)は、シンナーを吸うフーテン少年(小出恵介)やロッカーの鍵穴に詰まった爪を燃やす女・銀杏(宮沢りえ)と出会います。そこに盲導犬学校の先生(木場勝己)、学校の研修生で銀杏の初恋の人(小久保寿人)などが絡み・・・。というあらすじを書いてもあまり意味がない感じ。
人間に服従するよう「厳しく躾けられた」盲導犬と「不服従の犬」ファキイル。
その対照が描くのは、服従と不服従・・・学生運動の時代という背景を考えると、それはつまり、支配(権力)と自由ということなのでしょうか。
「犬」はもちろん、象徴ですが、「盲人」というのもメタファーなのかな。本当に目が見えない訳ではなくて、自分の歩く道を盲導犬に頼るということで、自由を奪われた人間の。そして、犬に対しては自分が主人であるという自負によって自分が自由を奪われていることに「目をつぶっている」人間の。
人は自由を求め「不服従」を貫くけれど、自由であること=孤独でもあることに耐え切れず、無意識のうちに「服従」を求めていく生き物だと言っているのかなぁ、とぼんやり考える・・・難解あせあせ(飛び散る汗)

唐さんの主旨をきちんと理解できたとは言い難い。
けれど、解釈の正解はないのかもしれません。
唐さんのリリカルな台詞に聴き惚れ、海を映したコインロッカーが二つに分かれて道ができるといった蜷川さんの演出に目を見張り、役者さんたちの言葉が心に響けば、それで。

混沌と狂気と痛々しさ・・・この作品のイメージを象徴するのはやはり宮沢りえさん。
赤いドレスをまとって凛と立ち、強い目ヂカラがいかにも意志的な女性といった感じで、汗を飛び散らして、まさに全身全霊で演じているという印象でした。
盲人の破里夫は、怪しげでいかがわしそうな中に軽さというか、ちょっととぼけた雰囲気が加わるのが古田さんならでは。歌はやっぱりいい声で上手いなぁ。
小出恵介くんはフーテンにしてはお育ちが良さそうに見えましたが、アクがそんなに強くないところがこの二人の間でよいアクセントになっていた感じ。
盲導犬養成学校の教師とバンコクでホステスに殺された夫の二役を演じた木場勝己さんがさすがの存在感でした。


舞台にとても近い席だったので、開演前に「ケモノの臭いがする」と思っていたら本物のシェパードが5頭出てきてびっくり。みんな眼光鋭かったけど、おとなしくていい子で感心。



「滝の白糸」が思いやられる・・・ の地獄度 ふらふら (total 1157 わーい(嬉しい顔) vs 1164 ふらふら)
posted by スキップ at 23:32
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