2019年10月16日

《亞》という名がつくいのうえ歌舞伎 「けむりの軍団」


kemurinogundan.jpg2019年劇団☆新感線39興行・夏秋公演。
7月15日に赤坂ACTシアターで初日を迎えた「けむりの軍団」。

東京のチケット2回分取っていましたが諸般の事情で観に行けず、博多を経て大阪でやーっと my 初日。
新感線の舞台で初日開いてから観るまでこんなに長くかかったのは自分史上最遅。

劇団員メインでやるのはキツくなってきた”王道”いのうえ歌舞伎は若手の客演を中心に据えて、古田新太さん中心に劇団員や同世代の役者メインでやる場合はこちらで(by いのうえひでのりさん)といういのうえ歌舞伎《亞》alternative 第一弾です。

alternative つまり not 王道ということになりましょうか。


2019年劇団☆新感線39興行・夏秋公演
いのうえ歌舞伎《亞》alternative 「けむりの軍団」
脚本: 倉持裕 
演出: いのうえひでのり
美術: 池田ともゆき   照明: 原田保  
衣装: 前田文子   音楽: 岡崎司  
振付: 川崎悦子   映像: 上田大樹  
殺陣指導: 田尻茂一  川原正嗣
出演: 古田新太  早乙女太一  清野菜名  須賀健太  高田聖子  
粟根まこと  右近健一  河野まさと  逆木圭一郎  村木よし子  
インディ高橋  礒野慎吾  吉田メタル  中谷さとみ  保坂エマ  
宮下今日子  村木仁  川原正嗣  武田浩二  池田成志 ほか

2019年10月10日(木) 1:00pm フェスティバルホール 1階9列センター
(上演時間: 3時間5分/休憩 20分)



本能寺の変以後、秀吉の小田原征伐より前のいつか、という時代。
目良家、厚見家、夭願寺の三勢力が争うとある国の物語。
かつては軍配士として力を発揮してきた真中十兵衛(古田新太)は今は浪々の身となり、賭場で騒ぎを起こした美山輝親(池田成志)の賭場泥棒騒動に巻き込まれ、子分たちを人質に取られて五日の間に輝親を捕まえて戻らないと子分の命はないと脅されて輝親探しに出ます。途中、政略結婚で目良家に嫁いだものの同盟を反故にされたことで城を出た厚見家の紗々姫(清野菜名)と家臣の源七(須賀健太)を成り行きで厚見城まで送り届けることになりますが、紗々姫には、姑である目良家の権力者 嵐蔵院(高田聖子)や目良家の侍大将 飛沢莉左衛門(早乙女太一)という追手が迫っていました・・・。


2016年の「乱鶯」以来、3年ぶりの新感線登板となった倉持裕さんが脚本執筆にあたっていのうえひでのりさんからのリクエストは、黒澤明監督の映画「隠し砦の三悪人」と太宰治の「走れメロス」の要素を取り入れて欲しいということだったとか。
ナルホド、言われてみればそんなお話だったかな。
・・・と語気が弱めなのは、自分が今イチこの物語の世界に入り込むことができなかったからです。
おもしろくない訳では決してなかったのですが、何だろ、この感じ。
これまでのいのうえ歌舞伎で感じてきた高揚感とか、切なさに胸が苦しくなるといったところが薄めだからでしょうか(自分比)


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2019年10月15日

NORA IS BACK! 「人形の家 Part2」


dollhaouse.JPG「人形の家」といえば1879年に発表されたノルウェイの作家 イプセンの代表作。
140年も前の作品ですが、演劇史上に燦然と輝く戯曲で、新たな時代の女性の姿を世に示した物語として今なお上演され続けています。

最近ではデヴィッド・ルヴォー演出で宮沢りえさんがノラを演じた舞台(トルヴェルは堤真一さん)が印象的だったなと調べてみたら2008年・・・全然最近じゃないじゃん💦
昨期の朝ドラ「なつぞら」でも雪次郎くん(山田裕貴)が感銘を受けて演劇を志す場面に使われていましたね。


「人形の家」のラストは夫も子どもを捨てて家を出て行くノラ。
そのノラが15年後に帰って来て・・・という物語。
アメリカの気鋭の新進劇作家ルーカス・ナスが2017年に発表しブロードウェイで初演された作品です。


パルコ・プロデュース2019
「人形の家 Part2」
作: ルーカス・ナス
翻訳: 常田景子
演出: 栗山民也
美術: 伊藤雅子   照明: 服部基   衣裳: 前田文子
出演: 永作博美  山崎 一  那須凜  梅沢昌代

2019年9月14日(土) 6:00pm ロームシアター京都 サウスホール 1階6列センター
(上演時間: 1時間45分)



ドアがノックされ、ノラ(永作博美)が15年前に出て行った家に入って来るところから始まります。迎えるのは乳母のアンヌ・マリー(梅沢昌代)。

自伝的な小説を書いて多くの女性たちの共感を得、女流作家として成功したノラですが、ある読者の家族からノラが「未婚」というのは偽りで、それを世間に公表すると脅されています。夫のトルヴェル(山崎一)が離婚届を出しておらず、離婚が成立していなかったことを初めて知ったノラは窮地に立たされ、何としても離婚してもらおうと15年ぶりに家に帰ってきたのでした・・・。


ノラとアンヌ・マリー(乳母)
ノラとトルヴェル(夫)
ノラとエミー(娘)

すべての場面がノラと3人のいずれかの二人芝居で、その会話の中でノラの今の状況や15年間の家族の感情などが明らかになっていく、濃密な会話劇です。


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2019年10月12日

スペアなんかじゃない 「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」


sherlock2019.JPG1881年のロンドン。
シャーロック・ホームズが「緋色の研究」で一躍世に出る直前の物語。
「第一の事件」から「第四の事件」まで、四つの“事件”から構成されていますが、推理劇というより人間ドラマの様相が濃い。

副題は「THE SPARE」
兄マイクロフトに「お前は俺のスペアだ」と言われるシャーロック
主役は絶対にまわってこないスペア女優のヴァイオレット
夫でありながら妻にとってはスペアだったワトソン
・・・この物語にはいろいろなスペアが出てきますが、三谷さんがラストシーンに込めたメッセージは、シャーロックにとってワトソンは、またワトソンにとってシャーロックは、唯一無二。代わり(=スペア)なんていない、ということじゃないかな。


「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」
作・演出: 三谷幸喜
美術: 松井るみ
照明: 服部基
映像: ムーチョ村松
出演: 柿澤勇人  佐藤二朗  広瀬アリス  八木亜希子  
横田栄司  はいだしょうこ  迫田孝也
音楽・演奏: 荻野清子

2019年10月5日(土) 6:00pm 森ノ宮ピロティホール F列下手
(上演時間: 2時間25分/休憩 15分)



19世紀のロンドンを連想させるようなレンガ模様の緞帳に、まるでサイレント映画のように字幕と静止画が浮かび上がります。
下手にはアップライトピアノが一台。上手にはぽつんと小さなテーブルと籐の椅子。
荻野清子さんがピアノの前に座って演奏を始めて幕があがると、そこはベイカー街221b
あのテーブルと籐の椅子がそのまま部屋に溶け込んで、シャーロックのお気に入りの居場所になってるの、素敵な演出だったな。

物語から浮かび上がるのは、シャーロック(柿澤勇人)と二人の男たちとの関係。
一人は兄 マイクロフト(横田栄司)。
そしてもう一人はちろん ワトソン(佐藤二朗)です。
 

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2019年09月25日

すべてはプロセニアムの中 「お気に召すまま」


asyoulikeit2019.jpg熊林弘高さんの演出で満島ひかりさん、坂口健太郎さんの出演といえば「かもめ」(2016年)が思い出されます。
そういえば、山路和弘さん、小林勝也さん、中嶋朋子さんと、今回のメンバーたくさん出ていましたね。

あの時も「斬新な演出だなぁ」と思ったのですが、シェイクスピアのこの戯曲も、演出はかなり独創的でした。


「お気に召すまま」
作: ウィリアム・シェイクスピア
翻訳: 早船歌江子
演出: 熊林弘高
ドラマターグ: 田丸一宏
出演: 満島ひかり  坂口健太郎  満島真之介  温水洋一  Yuqi(UQiYO)  
広岡由里子  久保酎吉  山路和弘  小林勝也  中村蒼  中嶋朋子 ほか

2019年9月5日(木) 12:00pm 兵庫県立芸術文化センター 
阪急中ホール 1階K列センター
(上演時間: 2時間40分/休憩 20分)



物語:オーランドー(坂口健太郎)は追放された前侯爵の娘・ロザリンド(満島ひかり)と恋に落ちますが、父の遺産を継いだ実の兄オリヴァ―(満島真之介)に命を狙われていると知り、アーデンの森に逃げます。同じころ、伯父である新公爵(山路和弘)に追放されたロザリンドは、彼の娘で従妹のシーリア(中嶋朋子)、道化のタッチストーン(温水洋一)とともに森に向かいます。ロザリンドは女道中は危険と男装してギャニミードと名乗り、そのままオーランドーの前に現れて恋の手ほどきをします・・・。


プロセニアム・アーチで囲まれた舞台。
アーデンの森では、さらにその中に二重にプロセニアムが設けられ、森の木々はカラフルな衣類。
この物語がすべて「額縁」の中で繰り広げられる紙芝居のようなお話だと強調するかのよう。

開演前、2列目が全部空席になっていて、「?」と思っていたのですが、始まるとすぐその理由がわかりました。
そこを役者さんたちが通路のように使って行き来したり、座席の上に立ちあがったり寝そべったり。
休憩中に見に行ったら、真ん中の数席には横板が渡してありました。この2列目と最前列A列17番は最初から演出のための席だったようです。

客席通路を頻繁に行き来する演出で、そればかりか客席に話しかけたりいじったり、かなりオープンな雰囲気でした。
そもそもシェイクスピアの時代は野外劇場(オープン・エア・シアター)が主で客席も多用したことを考えると、最初に「独創的」と書きましたが、がちゃがちゃと猥雑な部分も含めて、むしろシェイクスピアのオリジナルに近づけようとした演出なのかなとも思います。
それをふまえてのプロセニアムだったのでしょうか。


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2019年09月21日

ホラーの顔をした人間ドラマ 「ブラッケン・ムーア」


brackenmoore.jpg「私たちの失ったものが帰ってきた。息子の姿をして-」
このコピーや「亡霊」という言葉が入ったサブタイトル、フライヤーの雰囲気から、ゴシックホラーか、もしくは岡田将生くんが息子になりすます犯罪劇かと思っていました。

が、そこに浮かび上がるのは、止まっていた過去から立ち上がって前へ進もうとする者と、まるで時代に取り残されたように動くことができない者が織りなす再生と喪失の、濃密な人間ドラマでした。


「ブラッケン・ムーア ~荒地の亡霊~」
作: アレクシ・ケイ・キャンベル
翻訳: 広田敦郎
演出: 上村聡史
出演: 岡田将生  木村多江  峯村リエ  相島一之  
立川三貴  前田亜季  宏田力  益岡徹

2019年8月31日(土) 6:15pm シアター・ドラマシティ 10列センター
(上演時間: 2時間35分/休憩 20分)



物語の舞台は1937年のイギリス ヨークシャー州の重厚な屋敷の居間。
この家の主 ハロルド・プリチャード(益岡徹)は裕福な炭鉱主ですが、10年前に一人息子・エドガー(当時12才)がブラッケン・ムーアという荒野の廃坑に落ちて亡くなって以来、妻エリザベス(木村多江)はふさぎこんで家に引きこもっていますが、そんな彼女を励まそうと旧友のエイブリー夫妻(相島一之、峯村リエ)が息子とともに訪ねてきます。夫妻の息子 テレンス(岡田将生)は亡きエドガーの親友でしたが、彼にエドガーの霊が憑依して・・・。


冒頭はハロルドと炭鉱閉鎖によって失職に追い込まれたジョン・ベイリー(立川三貴)の議論が続きます。
相容れない二人の会話に、当時のイギリスやヨーロッパの経済・社会情勢、迫り来る石炭産業の行き詰まりと凋落、古い価値観の崩壊といった時代の転換期が透けて見え、それらを肌では感じながらも、保守的で傲慢な態度を崩さないハロルドの閉塞感がこの邸宅を覆っているように感じられます。

この後、この屋敷に現れるテレンスは若く聡明で、左派の思想を持つ芸術家。
二人の会話も相容れることはありません。

やがてエドガーがテレンスに憑依。
その言動がエドガーの魂だと信じて疑わない母 エリザベス。
テレンスが芝居をしていると決めつける合理主義の父 ハロルド。
ここでも夫婦でありながら相容れない二人が垣間見えます。


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2019年09月03日

癒える傷と癒えない傷 「フローズン・ビーチ」


frozenbeach.jpg「ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの戯曲の中から選りすぐりの名作を、才気溢れる演出家たちが異なる味わいに創り上げる」というシアタークリエ企画の連続上演シリーズ 「KERA CROSS」。

ラインアップは

第一弾 鈴木裕美
第二弾 生瀬勝久
第三弾 河原雅彦
第四弾 三浦直之
第五弾 ケラリーノ・サンドロヴィッチ

一番手は鈴木裕美さんで「フローズン・ビーチ」。
1998年にナイロン100℃で初演され、第43回岸田國士戯曲賞受賞した作品です。
市子を犬山イヌコさん、千津を峯村リエさんというナイロンの看板女優が演じた初演は観ていなくて、今回初見でした。


KERA CROSS 第一弾
「フローズン・ビーチ」
作: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出: 鈴木裕美
美術: 二村周作
出演: 鈴木杏  ブルゾンちえみ  花乃まりあ  シルビア・グラブ

2019年8月17日(土) 5:00pm サンケイホールブリーゼ A列センター
(上演時間: 2時間15分)



海に向かって出窓バルコニーが広がる白亜のリビングルーム。
大西洋とカリブ海の間に浮かぶ小さな島の別荘がこの物語の舞台です。

裕福な実業家の娘 愛(花乃まりあ)と双子の姉 萌(花乃まりあ二役)、愛の幼馴染の千津(鈴木杏)とその友人・市子(ブルゾンちえみ)、そして愛・萌姉妹の父の後妻で盲目の咲恵(シルビア・グラブ)・・・5人の女性たちが繰り広げる数奇な運命の16年間を、1987年から8年ごとに描いた物語です。


1987年
愛が住む別荘に遊びに来ている千津と市子。
愛が継母の咲恵を憎悪する一方、千津は少女時代の恨みから愛に殺意を抱いており、無邪気な中に狂気を秘める市子とともに愛をバルコニーから突き落として殺害します・・・が、 愛は生きていて、心臓マヒで急死した萌のふりをして、萌を殺してしまったと思い込む咲恵を仰天させます・・・。

1995年
愛と咲恵が誤解やわだかまりも解け仲良く暮らす別荘を千津と市子が再び訪れます。千津は自分をだました愛に復讐するため、お土産に毒を仕込んで殺そうとしますが、反対に愛に刺されてしまいます・・・。

2003年
水没しつつある島で荒れ果てた別荘に愛・咲恵・千津・市子の4人が揃い、この別荘にずっと住む怪虫 カニバビロンに説教され、別荘のバルコニーから海に飛び込んで楽しそうにはしゃぎます。


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