2017年10月18日

夢をかなえるということ 「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」


billy2.jpgスティーヴン・ダルドリーが2000年に監督した映画「Billy Elliot」(邦題 リトル・ダンサー)の舞台版。
映画と同じくリー・ホールが脚本、ダルドリー自身が演出するミュージカル。曲はエルトン・ジョン。
2005年にロンドンで開幕し10年以上のロングランを記録して、2008年に始まったブロードウェイ公演も大成功し、世界各地で上演されているミュージカルの日本初演です。


ミュージカル 「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」
脚本・歌詞: リー・ホール 
演出: スティーヴン・ダルドリー
音楽: エルトン・ジョン 
振付: ピーター・ダーリング
翻訳: 常田景子  訳詞:高橋亜子 
出演: 山城力  吉田鋼太郎  柚希礼音  久野綾希子  
藤岡正明  小林正寛  大貫勇輔  古賀瑠 ほか

2017年10月18日(水) 5:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階18列センター
(上演時間 2時間55分/休憩 20分)



物語の舞台は1984年。イングランド北部・ダーラムの炭鉱町エヴァリントン。
サッチャー政権による炭鉱の閉山計画に反対する労働者たちがストライキを続けるこの町で暮らすビリーは、母を幼い頃に亡くし、父、兄、祖母の3人暮らし。
父に言われて通っているボクシングジムで偶然、バレエと出会ったビリーは踊る喜びに目覚め、彼の才能を見出したウィルキンソン先生の勧めでロイヤルバレエスクールを目指します。父のジャッキーはじめ周囲は大反対ですが・・・。


映画も、もちろんオリジナルのミュージカルも未見。
7月19日から始まった東京公演の劇評や感想もほとんど目をそらして来ましたのでほぼ白紙の状態で観ました。

辛い現実の中、夢を追い続けたいともがく少年 ビリーに開かれる未来。
その彼の背中を押す周囲の大人たちにとっては、決して現実はバラ色ではありません。
ビリーの父も兄もストライキの失敗でおそらく失業することになり、ビリーをバレエの道に導いたウィルキンソン先生自身はバレエダンサーとして生きることができなかった挫折を引きずっています。

未来がないとわかっていながら闘っている人々の閉塞感。
望んでいた姿に手が届かなかった人々の諦念。
そんな彼らにとってビリーは「希望」であり「未来」そのもの。

ビリーの成長物語でありながら、ただのサクセスストーリーに終始せず、閉塞感や苦さにも満ちていて、だけど後味爽やか。

薄煙りの暗闇の中に、光るビリーのヘルメットのライト。
その光はまるで絶望の町に射し込む一筋の希望のよう。
それに呼応するように炭鉱夫たちののヘルメットのライトが輝き、「さぁ、行け!」とビリーの行く先を照らし出し、そして彼らは地下へ降りて行きます。

ビリーの姿を通して、子どもの頃の「夢をかなえたい」という気持ちを思い出させてくれるようでもあり。
トランク一つ抱えて夢をかなえるための未来へと旅立つビリーに心から拍手を贈り応援したいと思えるラスト。
すばらしかったです。


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2017年10月17日

15年を経て変わらぬものは 「業音」


goon.jpg「悲劇」をテーマに、松尾スズキが作・演出を手掛けるプロデュース公演「日本総合悲劇協会」の16作目。
2002年にシリーズ第3作目として上演された作品の15年ぶりの再演ですが、私は今回初見でした。

初演で話題を呼んだ荻野目慶子さんに代わって主役を務めるのは平岩紙さん。意外なことに大人計画作品での主演はこれが初めてなのだそうです。


日本総合悲劇協会vol.6 「業音」
作・演出: 松尾スズキ 
振付: 康本雅子   映像: 上田大樹   音楽: 伊藤ヨタロウ
出演:  平岩紙  松尾スズキ  伊勢志摩  宍戸美和公  
宮崎吐夢  皆川猿時  杉村蝉之介  康本雅子 (エリザベス・マリー)とダブルキャスト

2017年9月23日(土) 1:00pm 松下IMPホール BB列(2列目)センター
(上演時間 2時間)



車のボンネットの上女性が倒れているところから物語は始まります。
運転していたのは元アイドルで今は落ちぶれている土屋みどり(平岩紙)。母親の介護をネタにした演歌歌手になって再起をはかろうとしているところでした。車にはねられた女性 杏子(伊勢志摩)は脳を損傷し、植物状態となってしまいます。彼女の夫 堂本こういち(松尾スズキ)は償いのためみどりを拉致し、結婚を迫ります・・・。


「わかっちゃいるけどやめられない」というキャッチコピー。
私欲にまみれた人々の「業」を描いているます。

加害者でありながら「物事には理由がある」と自分の落ち度とは限らないと主張するみどり。
恐妻家で自殺願望のあるこういち。
屈折したゲイで自分のコピーを量産したい丈太郎。
有名になりたいと田舎から出てきた堕落兄妹。

皆それぞれに事情はありつつ、己の欲をさらけ出して生きています。
そこに描かれるのは、母親が死んでいるのに介護していることにして年金を手に入れようとしたり、アイドルを夢見て上京した若者を騙したり、売春の果てにエイズに感染したり・・・貧困、介護、認知症、エイズ、そして宗教観。
現代における様々な問題が盛り込まれていますが、驚くのはこれが15年も前に書かれた物語であること、そしてここに描かれた事象は今もなお、いやむしろより深刻を増した社会問題としてより色濃く私たちの身に降りかかっているということです。


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2017年10月15日

きっと ずっと 忘れない 「髑髏城の七人」 Season 鳥 


dokurotori2.jpg


「風」ではなく「鳥」です(^^ゞ

ライブビューイング含め4回観た「髑髏城の七人」 Season 鳥ですが、その折々に感想はアップしたものの、個々のキャストについては「また改めて・・」と「書く書く詐欺」みたいになってしまっていましたので、「風」の感想を書いた勢いで、この際書いてしまおう、と。


ONWARD presents
劇団☆新感線 「髑髏城の七人」 Season 鳥 Produced by TBS 
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
出演: 阿部サダヲ  森山未来  早乙女太一  松雪泰子  粟根まこと  福田転球  
少路勇介  清水葉月  梶原善  池田成志  右近健一  山本カナコ  村木仁 ほか



これまでのレポ:
7月3日 1回目
7月31日 ライブビューイング
8月20日 天魔王バースデイ
9月1日 千穐楽


「『髑髏城の七人』を花鳥風月の4パターンで。それぞれ脚本もキャストも変えて上演」と最初に聞いた時、たとえば「捨之介編」「天魔王編」「蘭兵衛編」というように、視点も主役も変わるのかと思っていました。
でも基本的なプロットはそのままということで、まず「花」は2011年版「ワカドクロ」を踏襲する形で(主演も同じだし)、正統派な印象。
では次の「鳥」は・・・こう来たか、という感じでした。

捨之介のキャラクターも設定も大胆に変更。
これがまんまとハマって、それまで観る側の私たちが(もしかしたら演じる役者さんたちも)捉えられていた「捨之介はこうあるべき」というイメージを一気に払拭。
多分あて書きしたであろう脚本も演出もズバリとハマっていましたが、何よりも阿部サダヲという役者の力量あってこそです。


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2017年10月14日

一人二役復活! 「髑髏城の七人」 Season 風


dokurojokaze.jpg3月30日に上演が始まった「髑髏城の七人」も3シーズン目に突入。

鳥のキャストが発表された時点で中島かずきさんが「残る風か月かではオリジナル通り捨之介と天魔王を一人二役にする」とおっしゃっていて、とても楽しみにしていました。
その二役をやるのが松山ケンイチくんというのは予想のナナメ上を行くキャスティングでしたが。

9月22日に舞台を観て、感想書けないでいるうちにライブビューイングも観ちゃったので、合わせての感想を。


ONWARD presents 劇団☆新感線 「髑髏城の七人」 Season 風 
Produced by TBS 
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
美術: 堀尾幸男   照明: 原田保 
衣装: 前田文子  竹田団吾   音楽: 岡崎司 
殺陣指導: 田尻茂一  川原正嗣 
アクション監督:  川原正嗣 
映像: 上田大樹 
出演: 松山ケンイチ  向井理  田中麗奈  橋本じゅん  山内圭哉  
     岸井ゆきの  生瀬勝久  河野まさと  逆木圭一郎  
     村木よし子  礒野慎吾  保坂エマ ほか

2017年9月8日(土) 2:00pm IHIステージアラウンド東京 2列センター/
ライブビューイング: 10月5日(木) 12:30pm なんばパークスシネマ シアター5
(上演時間 3時間40分/休憩 20分)



一人二役、すなわち、捨之介と天魔王がともに織田信長の影武者だった設定も復活。
「影武者でありながら生き残った者(捨之介)と影武者を犠牲にして生き残った者(沙霧)の対比が鮮明。
「捨之介は絶対女を斬ったりなんかしない」の場面と台詞も復活。

・・・と、「あぁ、やっぱり一人二役好きだぁ~」と思う場面が多々あって、「髑髏城は断然一人二役」派のワタシとしてはうれしい限り。
その一方で、捨天を別の役者さんが演じるのに慣れてしまっている自分を発見して少しとまどいも感じました。
それは、もしかしたら、中島かずきさんにもいのうえひでのりさんにもあったのではないかと思ったり(おこがましい)。


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2017年09月17日

天国の光・地獄の炎 「ノートルダムの鐘」


notredame.jpg「劇団四季を観るのなんて何年ぶりかしら?」とブログ検索してみたら、2010年1月に「ウィキッド」観ていました。いただいたチケットで。

それもすっかり忘れていたくらい劇団四季とはご縁の薄い不肖スキップですが、この作品を観たいと思ったのは、2016年5月の井上芳雄くんのコンサート 「YOSHIO INOUE sings Disney ~Dream Goes On!」で、彼の歌う「地獄の炎」(Hellfire)を聴いた時から。
悪役フロローのナンバーですが、井上くんの迫力の歌唱に惹き込まれ、「この曲、物語の中で聴いてみたい!」と思ったのでした。

当時「ノートルダムの鐘」は劇団四季の次回作と発表されていましたが、まだ上演前で、やがて始まった東京公演はチケット発売即完売。
京都に来るのを待って、やっと観ることができました。


劇団四季ミュージカル 「ノートルダムの鐘」
原作: ヴィクトル・ユーゴー 「ノートルダム・ド・パリ」
演出: スコット・シュワルツ
脚本: ピーター・パーネル
音楽: アラン・メンケン
作詞: スティーブン・シュワルツ
日本語台本・訳詞: 高橋知伽江
演出スーパーバイザー: 味方隆司  北澤裕輔
音楽監督: 鎮守めぐみ
出演: 田中彰孝  芝清道  岡村美南  清水大星  阿部よしつぐ ほか

2017年8月18日(金) 1:30pm 京都劇場 1階P列(13列目)センター
(上演時間 2時間35分/休憩20分)



劇団四季の役者さんは全く知りませんので日程のみで選びました。
しいていえば海宝直人さんのカジモドが観てみたかったけれど、1週間前に発表されてもなぁ・・・。
という訳で、この日のキャストはこちら。

image1.jpg



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2017年09月11日

思ったよりちゃんとミュージカル 「ヤングフランケンシュタイン」


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小栗旬くんミュージカル初挑戦。

メル・ブルックス監督、ジーン・ワイルダー主演で1974年に公開された映画「ヤングフランケンシュタイン」がオリジナルで、同じくメル・ブルックスの作詞・作曲・脚本で、2007年にブロードウェイ・ミュージカル化された作品の日本初演。
日本版の演出を手掛ける福田雄一さんには苦手感漂いますが、小栗旬くんの「歌」に興味があって参戦となりました。


ミュージカル 「ヤングフランケンシュタイン」
作詞・作曲: メル・ブルックス
脚本: メル・ブルックス  トーマス・ミーハン
演出・上演台本: 福田雄一
振付: 上島雪夫
音楽監督・指揮: 上垣聡
美術: 二村周作
出演: 小栗旬  瀧本美織  ムロツヨシ  賀来賢人  
保坂知寿  吉田メタル  宮川浩  瀬奈じゅん ほか

2017年9月10日(日) 1:00pm オリックス劇場 1階16列センター
(上演時間 3時間5分/休憩20分)・・・だけど実際は3時間45分



物語の舞台はトランシルバニア。
マッドサイエンティストのヴィクター・フォン・フランケンシュタイン博士(宮川浩)が亡くなり、彼が生み出したモンスターに襲われた過去を持つケンプ警部(ムロツヨシ)はじめ村人は皆喜んでいましたが、博士には孫息子がいました。
その孫 フレデリック(小栗旬)は、自らをフロンコンスティーンと名乗り、フランケンシュタイン家の末裔であることを隠してニューヨークの大学病院で高名な脳外科医として活躍していました。その彼のもとへ、祖父の遺産を継ぐためにトランシルバニアに来るよう連絡が入ります。婚約者のエリザベス(瀬奈じゅん)にしばしの別れを告げ、訪れたトランシルバニアでは少し変わった風貌のアイゴール(賀来賢人)とセクシーな地元の女の子インガ(瀧本美織)が助手として出迎え、屋敷では古くから勤める家政婦のフラウ・ブリュッハー(保坂知寿)が待っていました。祖父の遺した実験記録を読むうち、自分も同じように実験をしたいという欲望にかられて生み出したモンスター(吉田メタル)は・・・。


映画もブロードウェイ版も観ていませんのでどれくらい原作に忠実なのかどこまでが脚色なのかわかりませんが、「思ったよりちゃんとミュージカル」というのが第一印象。
オープニングで、フランケンシュタイン博士の棺を運ぶ黒衣の人々がパッと外套を脱ぐと色とりどりのカラフルな衣装を着ていて明るく歌い踊るなんて、「ミュージカルじゃん」と思いました。
歌詞はともかく、曲は全てオリジナルが使ってあるのかな。アンサンブルのハーモニーもよく、耳に心地よかったです。


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