2019年09月07日

八月納涼歌舞伎 「新版 雪之丞変化」


2019noryo yukinojyohennge.jpg八月納涼歌舞伎 第三部は、坂東玉三郎さん演出による「新版 雪之丞変化」。
玉三郎さんが勘三郎さんといつか一緒に舞台にしたいと話していた演目なのだそうです。

主な出演者は3人だけ(中車さんは5役!)。
映像を多用した斬新な演出にオドロキ。
こんなことを歌舞伎座でできるなんて、改めて玉三郎さんの凄さを感じました。。


八月納涼歌舞伎 第三部
「新版 雪之丞変化」

原作: 三上於菟吉
脚本・演出補: 日下部太郎
演出・補綴: 坂東玉三郎
出演: 坂東玉三郎  市川中車  中村七之助 ほか

2019年8月18日(日) 6:30pm 歌舞伎座 3階3列センター
(上演時間: 2時間18分/幕間 20分)



物語: 師である中村菊之丞(中車)、同じ一座の役者である秋空星三郎(七之助)のもとで芸を磨く女方役者 中村雪之丞(玉三郎)は、幼い頃、長崎奉行たちに陥れられた父親が眼前で処刑されるという過去を持ち、その復讐を心に秘めていました。江戸の中村座にからお呼びがかかり出演することになったその初日、客席にはなんと父の仇 土部三斎(中車)の姿がありました・・・。


スクリーンに映し出される映像が、たとえば背景を映し出すといったレベルではなく、物語の人物がその中で演技していて、まるで映画のよう。
後で調べたら、大正時代には演劇と映画とを連結して見せる「連鎖劇」という手法が流行したこともあったそうです。
装置も至ってシンプルで歌舞伎座の舞台奥のコンクリート壁がそのまま見えたり。
役者さんの話なのでもちろん劇中劇もあり、バックステージものにもなっていたり。


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2019年09月06日

これが本当に最後!? 八月納涼歌舞伎 「東海道中膝栗毛」


2019noryo yajikita.jpg「またお会いする日まで」と終わった昨年で大団円だったはずの「弥次喜多」がまさかの4回目の登場。
今度こそ本当に(笑)最後ということで、第二部全部つかって初めての一本立て上演です。


八月納涼歌舞伎 第二部
「東海道中膝栗毛」
松本幸四郎 市川猿之助 宙乗り相勤め申し候
原作: 十返舎一九
構成: 杉原邦生
脚本: 戸部和久
脚本・演出: 石川耕士/市川猿之助
出演: 市川猿之助  中村七之助  市川中車  
坂東巳之助  坂東新悟  中村隼人  中村児太郎  
中村虎之介  中村鷹之資  片岡千之助  市川染五郎  市川團子  中村鶴松  
市川寿猿  市川笑三郎  市川笑也  市川猿弥  市川門之助  松本幸四郎 ほか

2019年8月18日(日) 3:00pm 歌舞伎座 1階4列センター
(上演時間: 2時間40分/幕間 20分)



東海道中膝栗毛 アーカイブス
2016年2017年2018年


楽しかった!
こう言っては失礼ながら、すごく「ちゃんとした」つくりになっていました。
ラスベガスに行ったりしないし、歌舞伎座で探偵まがいに犯人探ししたりもしない。
原点回帰とでも言いますか、「弥次さん喜多さんがお伊勢参りの旅をする」がベースにあって、その上でこれでもか、とたくさんのお遊びを盛り込む趣向。

弥次さん喜多さんとそっくりの大盗賊の獅子戸乱武(トランプ)と黒船風珍(プーチン)を登場させて二人の早替りを見せるのをはじめ、いつもながらベテランから若手までたくさんの役者さんに場を与え、名作歌舞伎の演目を随所に盛り込み、楽屋落ちネタありドリフみ満載のお笑いあり、本水の立ち廻りあり宙乗りありと、本当に盛りだくさんで楽しい演目に仕上がっていました。

歌舞伎演目のパロディは私が気づいただけでも、「鈴ヶ森」「切られ与三」「女殺油地獄」「一本刀土俵入」「瞼の母」「滝の白糸」「一谷嫩軍記」・・・とありましたが、台詞だけならもっとかも?
そうそう、喜多さんがキスしようとした弥次さんに「ロシア式の挨拶はやめてくれよ」と三谷かぶき「月光露針路日本」の台詞を言っていました。
「女殺油地獄」の場面なんて、舞台装置出てきた時からそれとわかるもんね(中身は油じゃなくてとろろだけど)。
隼人くん与三郎と新悟くんお富の二人同時の転び方がまんま幸四郎さんと猿之助さんの「女殺油地獄」で、習ったんだなぁと思ったり。
それにあのすべり台・・・あれ絶対幸四郎さんがやりかったヤツ(笑)。


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2019年09月04日

八月納涼歌舞伎 第一部


2019noryo.jpg「納涼歌舞伎の意義とは・・・」なんてことも取り沙汰された今年の八月納涼歌舞伎。
古典あり新作あり、若手花形が大役に挑む義太夫狂言や夏らしく肩のこらない演目、そして気鋭の新演出まで、バラエティに富んだ内容で三部までたっぷり楽しみました。


八月納涼歌舞伎 第一部
2019年8月18日(日) 11:00am 歌舞伎座 1階5列下手


一、 伽羅先代萩
   御殿/床下
監修: 坂東玉三郎
出演: 中村七之助  松本幸四郎  中村児太郎  中村勘太郎  中村長三郎  
中村歌女之丞  坂東巳之助  中村扇雀 ほか
(上演時間 1時間40分)



七之助さんが初役で女形の大役 政岡に挑む「先代萩」。
ご自身は元より、勘太郎くん、長三郎くんまで玉三郎さんに教えていただいたのだとか。
「竹の間」はなくて、「飯炊き」がついた「御殿」と「床下」での上演です。

「政岡ってやっぱり難しい役だなぁ」というのが最初の印象。
七之助さんは初役とは思えないほどよく演じていらして、強い忠義心を持ち、わが子が殺されても表情一つ変えない凛とした「乳人」と、一人になって否応なく情が全身から漏れ出る愛情深い「母」との対比も鮮やか。

茶道のお点前に則ってご飯を炊く「飯炊き」はいささか手順に追われている感がありましたが、茶道具に向かいながらも、常に背中に二人のことを気遣っているように感じられるなど、台詞もほとんどない場面であれだけ場を持たせ、引きつけられるのはすごい。
八汐に眼の前でわが子 千松を殺されながら、鶴千代君を護って顔色ひとつ変えず身じろぎもしないで凛と立つ姿もよかったですが、花道で栄御前を見送って、死んだわが子と二人きりになった時の慟哭、クドキが「もっとー」と思ってしまいました。


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2019年08月30日

初音ミク南座初お目見え 「八月南座超歌舞伎」


minamiza201908.jpg2016年から毎年ニコニコ超会議の中で「伝統芸能である歌舞伎とNTTの最先端技術 ボーカロイドの融合」として幕張メッセで上演されてきた「超歌舞伎」。
南座新開場記念として、歌舞伎発祥の地 京都に登場。
初音ミクさんもバーチャルアイドルとしては史上初めて、南座の舞台にお目見えです。


八月南座超歌舞伎 
2019年8月14日(水) 3:30pm 南座 3階1列センター



一、 超歌舞伎のみかた
出演:中村蝶紫   澤村國矢
(上演時間: 30分)


蝶紫さんと國矢さんで「超歌舞伎」予習編。

「超歌舞伎のみかた」がスクリーンで上映された後、超歌舞伎特有の要素である「分身の術」や「変化の術」を実演をまじえて解説の後、客席に募って「分身の術」の体験コーナー。
この日はツインテールの10歳くらいの女の子でしたが、見よう見まねながらとても上手に見得していて感心。

客席全員で大向うの練習もしました。
「超歌舞伎」では大向うはいつでも好きな時にかけていいのだそう。
初音ミクさんの屋号は「初音屋」、超高臨場感通信技術「Kirari!」を駆使するNTTさんにもちゃんと屋号があって「電話屋」ですって(笑)。

14色に発光するというペンライトの説明&販促も。
初音ミクさんはグリーンがイメージカラーということで、ミクさんの登場シーンでは緑、青龍は青、獅童演じる佐藤四郎兵衛忠信赤、ラストの桜ではピンク・・・など。
「ペンライトは絶対必要」と力説するお二人のペンライト営業トークが一番印象的でした・・・それでも買わなかったけれどもww



image1 (18).jpg

この方が初音ミクさんです(私以外 皆さまご存知かと思いますが)。


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2019年08月24日

第五回あべの歌舞伎 晴の会 「肥後駒下駄」


soranokai2019.jpg上方歌舞伎塾第一期生で松嶋屋ご一門の片岡松十郎さん、千壽さん、千次郎さんが中心となって2015年に始められた「晴の会」。今年でもう5年目です。
毎年8月のこの時期恒例のお楽しみの一つとなりました。

昨年、一昨年と鶴屋南北の戯曲がつづきましたが、今年は上方作者 勝諺蔵の作品を67年ぶりに復活。
晴の会としては初めて義太夫も入れての上演です。


第五回あべの歌舞伎 晴の会
「肥後駒下駄」 (ひごのこまげた)
作: 勝諺蔵    改訂:亀屋東斎
監修: 片岡仁左衛門  片岡秀太郎
演出: 山村友五郎
出演: 片岡千次郎  片岡松十郎  片岡千壽  
片岡當吉郎  片岡佑次郎  片岡りき彌  片岡當史弥  
中村翫政  片岡當十郎  飯田優真(子役)

2019年8月4日(日) 4:00pm 近鉄アート館 Bブロック4列
(上演時間: 3時間10分/幕間 10分・30分)



物語: 播州姫路の元藩士、向井善九郎(千次郎)は、武者修業の為に諸国を巡り、肥後熊本の松山家に「駒平」という名で中間奉公しています。松山家の息女 お縫(千壽)は、許嫁の松田新蔵(翫政)と、数日後に祝言を控えていますが、隣屋敷に住む八坂源次兵衛(松十郎)がお縫に横恋慕しお縫をさらおうとした時、駒平に助けられます。その駒平に、中老 中川縫之助(松十郎二役)は、「下郎たる身分を弁えぬ無礼者」と叱りつけ、駒下駄で額を打ち割ります。「ひとかどの武士になれば、相手になってやる」という縫之助の言葉に、いつか必ず仕官し、仕返しをする事を心に誓う駒平でしたが・・・。


お話はこの後、肥後を追放された源次兵衛が逆恨みからお縫の父を殺害→新蔵と結婚したお縫は弟の秀之助と3人で仇討ちの旅に出る→旅の疲れから新蔵が眼病を患って失明→そこに現れたニセ医者は実は源次兵衛の変装→家計のため伏見の遊郭に出たお縫は駒平と再会→肥後に戻った駒平こと善九郎は熊本藩の家老 月岡刑部の娘 松枝の婿にと乞われる→その松枝の姉 お沢の夫こそ、自分の額を割ったあの縫之助だった
という怒涛の展開。

おもしろかった~。

とてもスピーディに展開しますが、折々に作者の亀屋東斎さんこと千次郎さんが登場して状況を説明してくださるので混乱することもなく、とてもわかりやすく楽しむことができます。

仇討ちに恋に家族愛、さらには「ええ~?」な展開と盛り沢山。
藤棚の上下を使った大立ち廻りや、客席通路を使った出入り、役者さんたちの熱が舞台に弾力を生んで相変わらず素晴らしい舞台でした。

毎年こうして復活狂言が上演されるたびに、「こんなおもしろいものが埋もれていたのか」と驚いて、掘り出してくる役者さんに感心して、脈々と受け継ぐ家の力を尊び、そして、歌舞伎の懐の深さに感じ入る次第です。


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2019年08月16日

夏休み文楽特別公演 「仮名手本忠臣蔵」


bunraku201908.jpg4月から11月にかけて3回に分けて「仮名手本忠臣蔵」を上演する今年開場35周年の国立文楽劇場。
4月に大序から四段目までを観て、次は4カ月も先か~と思っていたら、その日はすぐにやって来ました。
この分だと11月も程なくやってきて、1年あっという間だったね、という日もすぐそこでしょう。


国立文楽劇場開場三十五周年記念
夏休み文楽特別公演 第2部 <名作劇場>
通し狂言 仮名手本忠臣蔵
五段目  山崎街道出合いの段/二つ玉の段
六段目  身売りの段/ 早野勘平腹切の段
七段目  祇園一力茶屋の段

配役はこちら

2019年8月1日(木) 2:00pm 国立文楽劇場 1列センター
(上演時間: 3時間33分/幕間 20分)



主君の大事に「色にふけったばっかりに」居合わせることができなかった早野勘平と勘平が討入りに加わるための金を工面するために京の花街に身売りする妻おかる、おかるの兄で足軽ながら何とか討入りに加わりたいと願う寺岡平右衛門・・・「仮名手本忠臣蔵」中盤の人間ドラマ。

勘平の悲劇を描く五段目、六段目ですが、何度観ても苦い思いは残ります。
姑に責められ、自分が撃った人が舅の与市兵衛と思い込んで絶望する勘平はともかく、与市兵衛の死体を改める弥五郎さんたち、勘平が腹を切った後ではなく、もっと早くそれやってよと思います。そのあたりが「主君の仇討ち」という大義の影で運命に翻弄される末端の人間の悲劇や不条理を際立たせているとも言えますが。


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