2020年09月05日

大向うが入る歌舞伎はやっぱりイイ 第6回あべの歌舞伎 「晴の会」


soranokai2020.jpg上方歌舞伎塾第一期生の片岡松十郎さん、片岡千壽さん、片岡千次郎さんが中心となって2015年に始まった「あべの歌舞伎 晴の会」。第1回目からずっと観ていて毎年夏のお楽しみです。
今年はコロナ禍で開催も危ぶまれていましたが、感染症対策を徹底したうえで無事開催。しかも初めての試みとして映像配信もされました。


第六回あべの歌舞伎 「晴の会」
上方落語 「宿屋仇」より
「浮世咄一夜仇討」
(うきよばなしひとよのあだうち)
作:城井十風   改訂:亀屋東斎 
演出: 山村友五郎
監修: 片岡秀太郎
出演: 万事世話九郎:片岡松十郎/紀州屋女中 いさき:片岡千壽/客 源兵衛:片岡千次郎
    片岡當吉郎  片岡りき彌  片岡佑次郎  片岡當史弥  中村翫政  片岡千太郎

2020年8月20日(木) 3:00pm 近鉄アート館 Aブロック4列
(上演時間: 1時間)



今年は三密を考慮して、第一回公演で上演された「浮世咄一夜仇討」のみを上演(初演時は舞踊との二本立て)。城井十風さんの原作に亀屋東斎(千次郎)さんが改訂を加えたバージョンアップ版です。

第一回公演(2015年8月)の感想はこちら


開演時間4分前くらいから口上人形のご挨拶がありました。
「かーったおかせんじろう」「かーったおかせんじゅ」「かーったおかまつじゅうろう」というあの口上人形の役者紹介の名調子、久しぶりに聴きました。
口上人形を操っていらっしゃるのは佑次郎さん(このツイート)のようですが、お声は千次郎さんかな?


幕が開くと梅川 忠兵衛や八右衛門、おえん、お染 久松やらがわらわらと登場して町ですれ違ってははけていきます。
開演前、座席に置いてあったプログラムに、梅川:片岡當吉郎  お染:片岡りき彌・・・と書いてあるのを見て、「そんな人たち前観た時は出てきたかなぁ?」と思っていたのですが、この冒頭の場面だけ、台詞のない顔見世のような出番でした。
今でこそこんなに出演者も増えましたが、第一回目は本当に3人きりだったなぁと思い出して、改めてあべの歌舞伎の発展を感じました。この役者さんたちはこの後はずっと黒衣として舞台を支えてくださっていました
久松に扮した片岡千太郎くんが大きくなっていて、登場した時、客席がどよめきました。もう14歳ですって。そりゃおばちゃん、年取るはずですワ。


続きがあります
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2020年08月26日

図夢歌舞伎家話


zoomyawa1.JPG

6月から7月に配信された「図夢歌舞伎」のトークイベント。
7月25日に「図夢歌舞伎 忠臣蔵」の千穐楽(第五回)終演後に収録されたものだそうです。

幸四郎さんは冒頭のご挨拶で「もぬけのから って感じですね」とおっしゃったとおり、脱力してねむねむモード、染五郎くんはいつもと変わらずクール、そして猿弥さんはハイテンションでした。


図夢歌舞伎家話
出演: 松本幸四郎  市川猿弥  市川染五郎
進行: 戸部和久

2020年8月25日(火) 7:00pm Streaming+
(配信時間 72分)




全体的な印象としてはユルいというか(笑)、「終わった」という解放感からか幸四郎さんはフリーダムで(いつも通りか?)、それを猿弥さんがツッコんだりさらにボケたりしつつ、染五郎くんが戸部さんの質問に真摯に答える、という感じでした。
そんな中、印象に残ったことをいくつか。


■今年東京でする最初の歌舞伎
「これが配信される頃には八月(花形歌舞伎)始まっていますが、僕はこれが東京でする最初の歌舞伎になります」と幸四郎さん。
ああ、そうだったかぁと胸が苦しくなりました。
今年の初春は松竹座にご出演で、三月は歌舞伎座で無観客で収録された演目がありましたが、こんなに長い間東京(歌舞伎座)の舞台に立てなかったことは、少なくとも大人になってからはないのでなかったかしら。あんなに舞台が、歌舞伎がお好きな方なのに、どれほどの葛藤があったかと思うと切ない気持ちでいっぱいです。

その後、「その第一声が猿弥さんでいいのか、というのはありますが」というオチつき。
「そういえば、どうして僕がこの図夢歌舞伎に呼ばれたんですかね」という猿弥さんからのご質問には「口上人形の顔を見てたら猿弥さんに見えてきた」だそうです(笑)。

猿弥さんといえば、師匠(猿翁さん)の携帯電話の話、おもしろかったな。
暴露話ですが、「どうかこれを見ていませんように」とおっしゃっていましたので、書かない方がいいかなwww


■大道具さん、小道具さん、照明さん、衣装さん・・・
そもそもこの企画の始まりから・・・と戸部さんに振られた幸四郎さんが「歌舞伎をやるなら、大道具さん、小道具さん、照明さん、衣装さん・・・皆さんにも入っていただきたかった」とおっしゃったのを聞いて、幸四郎さんの心の底にはいつもそれがあるのだなぁと改めて思いました。
終わった直後のトークでも同じことをおっしゃっていました。ご自身が歌舞伎をやりたいのはもちろん、日ごろからご一緒に仕事をされているスタッフの方たちのこともいつも気遣っていらっしゃるお言葉には胸熱です。


続きがあります
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2020年08月05日

夢を図る歌舞伎 図夢歌舞伎 「忠臣蔵」 第五回


zoomsenshuraku .jpg

図夢歌舞伎『忠臣蔵』もついに千穐楽。
始まる前は、毎週観られるのね、5回もあるのね、と楽しみにしていましたが、あっという間でした。
ラストはいよいよ討ち入りです。


図夢歌舞伎 「忠臣蔵」 第五回 「九段目・十一段目」
構成・演出:松本幸四郎
脚本:戸部和久
竹本:竹本葵太夫  豊澤淳一郎
長唄:鳥羽屋三右衛門社中  杵屋栄十郎  鳥羽屋里松
鳴物:田中傳左衛門社中  田中傳左衛門  田中長十郎  田中傳九郎  田中傳四郎  田中傳三郎
尺八:川瀬順輔  
立師:市川猿四郎
出演: 大星由良之助/加古川本蔵:松本幸四郎
戸無瀬:市川猿之助
大星力弥:市川染五郎
口上人形:市川猿弥
坂東やゑ亮  市川右田六  市川喜楽  尾上松悟  坂東やゑ六  川笑猿
後見:市川段之  松本幸蔵  市川郁治郎  松本幸之助  松本幸次郎

2020年7月25日(土)11:00am Streaming+
(配信時間 40分+アフタートーク 15分)



冒頭、これまでの4回のダイジェスト映像が口上人形の口上とともに流れます。
師直、本蔵、顔世御前、判官、由良之助、勘平、定九郎・・・畳みかけるように次々と画面に現れて、いや~、千穐楽にして凝った映像でした。
「越すに越されぬ画面越」と名言も出て、口上人形の周りにも雪がちらついて開演です。


雪道を傘を手に歩く戸無瀬。
小浪は出てきませんが、手の動きや目線で傍らに小浪かいるかのように感じられます。
白い雪の中に戸無瀬の着物や傘、下駄などが色鮮やかに映し出されて映像ならではの美しさ。

そして、由良之助と戸無瀬とのやり取り。
チャット紹介コーナーで口上人形が、「本日現場にはわたくしとあーちゃんしかいません」とおっしゃっていましたので、事前撮りの戸無瀬とナマの由良之助とのお芝居だった模様。
これがまるで対面しているかのようで、本当に図夢歌舞伎は回を重ねるごとに様々な面が格段にヴァージョンアップして、録画とナマの区別も全くつかなくなってきました。
小浪の台詞は葵太夫さんの語りで、お石の役割は由良之助の台詞として見事に置き換えられるという脚本の妙。
戸無瀬、由良之助、力弥、本蔵(幸四郎さん早替り)で、とても深いお芝居を見せていただきました。


口上人形の場面を挟んで十一段目。

図夢ならでは

今回の図夢ならでははこの討ち入りの場面。
1画面1人なので全部映像合成なのですが、2分割、3分割、4分割と駆使して、名題下さんたちのスピーディで迫力ある立ち回り(立師は猿四郎さん)になっていました。
まるで映画を観るようなこの場面、結構長くて見応えありました。

ついに高師直を討ち取り、判官の位牌に師直の首を手向け、勝どきを挙げる浪士たち。
「貫く一念 叶いて今ぞ明けの明星 必ず明日は日本晴れ必ず明日は日本晴れ」という言葉に万感の思いが溢れる幸四郎さん由良之助の目は潤んでいて、その表情を観ているだけでも胸に迫るものがありました。



アフタートーク

この図夢歌舞伎の初回レポにも書いた幸四郎さんの涙はこの時にやってきました。
「図夢歌舞伎、いかがでしたか?」と戸部さんに聞かれて、
「3月に歌舞伎座で収録のためにお芝居して以来会う方々ばかりでした。大道具さん、照明さん、衣装さん・・・」と話すうちに感極まって声をつまらせ、みるみる涙ぐむ幸四郎さん。ついには着ていた浴衣の袖で涙をぬぐっていらっしゃいました。
多分ライブで観ていた人みんなそうだと思いますが、私も例に漏れず、もらい泣きしたよね
「歌舞伎には底力があるんだぞ、というところをお見せしたという思いがあった」と。


千穐楽の二役、図夢なんだから由良之助か本蔵、どちらか事前撮りにしてもよさそうなのに、それをよしとせず、大汗かいて早替りしたという幸四郎さん。
早替りが本当に早いと戸部さんに言われて、
「それができたらおもしろいだろう 
 それができたらカッコいいだろう 
 それができたらびっくりするだろう
 ・・・ということだったらやらないと」

早替りに限らず、幸四郎さんはいつもそうです。
いつも私たちを驚かせ、楽しませ、ドキドキワクワクさせてくれます。



「歌舞伎の力を信じてやり通した」とおっしゃる幸四郎さんの強い思いと覚悟が溢れた今回の企画。
少ない人数ながら座組にも恵まれて、毎回とても見応えがあり、楽しませていただきました。
そして最後にあの涙だもんなぁ。ズルイよ、幸四郎さんw



千穐楽の由良之助と幸四郎さんの涙を伝える松竹演劇部さんのツイート









いつか満員の歌舞伎座で、目一杯の拍手を贈れる日が来ることを信じています のごくらく度 (total 2125 vs 2130 )


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2020年08月01日

夢を図る歌舞伎 図夢歌舞伎 「忠臣蔵」 第四回


図夢歌舞伎 第四回は七段目。
今回の目玉は何と言っても事前に発表された「初代松本白鸚と39年ぶりの共演」。
1981年の高麗屋三代襲名公演で、初代白鸚さんが由良之助、市川染五郎を襲名した幸四郎さんが力弥を演じた、幸四郎さんにとって「祖父との最後の共演舞台であり、染五郎襲名狂言」という演目。

そうかぁ、映像でなら共演できるし、それが図夢なら可能になりますものね。本当によく思いついたなといたく感心。
「図夢歌舞伎だからこそ実現できる、と出演を依頼しましたらOKをいただけました」のですって (^^)


図夢歌舞伎『忠臣蔵』 第四回 「七段目」
構成・演出:松本幸四郎
脚本:戸部和久
竹本:竹本東太夫  豊澤淳一郎
長唄:鳥羽屋三右衛門社中  鳥羽屋長秀
三味線: 杵屋栄十郎  鳥羽屋里松
鳴物:田中傳左衛門社中  田中傳左衛門
出演: 寺岡平右衛門:松本幸四郎
遊女おかる:中村雀右衛門
大星由良之助:初世松本白鸚(八世松本幸四郎) <映像出演>
口上人形:市川猿弥

2020年7月18日(土)11:00am Streaming+
(配信時間 40分)



七段目といえば祇園一力茶屋の場面から、ですが、由良さんが目隠しして登場の遊興場面は、大人数が無理なのでやはりなし。
平右衛門が落語家みたいに座って、事前にtwitterで募集していた見立てを披露するという、図夢ならではの趣向でした。

どうじゃいな どうじゃいな
この箸ふたつこうとって 縦と横とにこう重ね ツイッターでおなじみの
ハッシュタグとはどうじゃいな
・・・みたいな感じの三題。
あとの2つは「段位も同じ七段目」の「藤井聡太」と、「アマビエさん」でした。
楽しかった!


図夢ならでは

今回の図夢ならでははもちろん、「初代松本白鸚さんとの共演」。
これまでのように「別撮り」「事前撮り」ではなく、元々あった過去の映像との共演となる訳ですが、違和感は全くありませんでした。

大きさも度量も威厳もいかにも“由良之助”としてそこに存在する白鸚さん。
幸四郎さんの平右衛門、雀右衛門さんのおかるともども由良之助のその存在感に引き寄せられるように濃密なお芝居が展開されました。
画面は3分割されているのですが、本当に3人が会しているかのように感じられることもしばしば。

初代白鸚さんの舞台は残念ながら拝見したことはありませんが、すばらしい役者さんの演技は数多の時を経ても色褪せることはないのだと思い知りましたし、こういう形で観ることができたのは幸せでした。


おかるはてっきり壱太郎くんだと思い込んでいて、雀右衛門さんが画面に現れた時は少し驚いたのですが、とても可愛くて儚げで切ないおかる。
これまで数々の演目で共演されている幸四郎さんとも息がぴったり合った”兄妹”で、もちろん白鸚さん由良之助ともバランスよくて、雀右衛門さんよくぞ図夢歌舞伎に出てくださいました、という思いでした。




次は五回目千穐楽 あっという間だな のごくらく地獄度 (total 2124 vs 2130 )



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2020年07月30日

夢を図る歌舞伎 図夢歌舞伎 「忠臣蔵」 第三回


図夢歌舞伎 第三回は市川猿之助さんを早野勘平に迎えての五段目、六段目。
この回だけ、演出に幸四郎さんだけでなく、「市川猿之助」とクレジットされていました。


図夢歌舞伎『忠臣蔵』 第三回 「五段目・六段目」
構成・演出:松本幸四郎
演出(第三回):市川猿之助
脚本:戸部和久
竹本:竹本葵太夫  豊澤淳一郎
長唄:鳥羽屋三右衛門社中  杵屋栄十郎  鳥羽屋里松
鳴物:田中傳左衛門社中  田中傳左衛門  田中佐英  田中佐吉郎  田中傳三郎
出演:早野勘平:市川猿之助
女房おかる:中村壱太郎
母おかや/一文字屋お才の声: 上村吉弥
百姓与市兵衛:松本高麗五郎
口上人形:市川猿弥
斧定九郎/不破数右衛門/猪:松本幸四郎
後見:市川段之  上村折乃助  市川澤五郎
中村翫之  市川段一郎  市川郁次郎

2020年7月11日(土)11:00am Streaming+
(配信時間 50分)



幕が開くと、左に猿之助さん、右に幸四郎さんがそれぞれ顔を拵える映像。
お役の違いもあるでしょうが、お二人の拵え方、順序の違いも興味深く、大変おもしろく拝見しました。
これまでよりアップが多用されていた(葵太夫さんをあんなにアップで見たのも初めてかも)印象ですが、五、六段目らしくこっくりと物語を見せていただきました。

猿之助さんは2012年に新橋演舞場 四月花形歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」で早野勘平を演じられた際、坂田藤十郎さんに教えていただいたそうですが、口跡が藤十郎さんそのままだったのに驚きました。聴いていて藤十郎さんのお顔が頭に浮かんだくらい。猿之助さん、演技力もさることながら、きっとすごくよい耳と記憶力をお持ちなのですね。
声音はもちろん、表情の変化もドラマチック。
すごく寄ったカメラで、お才が与市兵衛に持たせた財布の話を聞く勘平の表情がみるみる変わっていくところなどとても見応えありました。

山城屋さん、つまり上方式の勘平なので、壱太郎くんのおかる、吉弥さんのおかやとう上方味がまたよく合います。
壱太郎くんおかるは可憐な中に愁いを帯びた風情が切ない。
吉弥さんはおかやも万全ながら、お才の声だけでいかにも京の廓のキリリとした女将を感じさせるのさすがです。


図夢ならでは

三回目の「図夢ならでは」は、五段目の大好きなあの場面にやってきました。
「忠臣蔵」の登場人物の中で斧定九郎が一二を争うくらい好きな悪役フェチスキップ。
幸四郎さんの「ごじゅうりょう~」が聴けると楽しみにしていたのですが、あの場面をあんなふうに観ることができるなんて!
稲叢の前でひと休みする与市兵衛、稲叢の後ろに潜んで与市兵衛の持つ五十両を狙う定九郎。
その二人を真横からカメラが捉えて、稲叢を挟んで二人を同時に観る形。
いつもなら、稲叢の中からヌックと定九郎の手が出てくるまでドキドキしているのですが、あんな表情して、あ、今手を出す・・・とドキドキ感増し増し。
しかも幸四郎さんの定九郎の悪そうなこと色っぽいこと。
髪の露をなで、ずぶ濡れの袂を絞り、与市兵衛を殺して奪った金を確認してあのドスの効いた低音ヴォイスで「ごじゅうりょう~」
いや~、たまりません



この場面で登場する猪も実は幸四郎さん。
猿弥さん口上人形が、チャット紹介コーナーで、「猪だれ?」「あーちゃんです。あーちゃんがやってます。もう、やりたがりなんです、あーちゃんは」と(笑)。最後にちゃんと「猪 松本幸四郎」とクレジットされたのにも笑っちゃいました。
六段目の不破数右衛門(声だけ)も幸四郎さん。
いい声だ~。

この第三回は通常のアーカイブの他にこだわって編集した「特別編集版」も公開されました。
回を重ねるごとに進化して、ナマと別撮りの差もわからないくらい完成度が高まり、映像作品としても鑑賞できつつナマのよさもありつつという図夢歌舞伎。あと2回 どんな夢を図ってくれるのか、ますます楽しみです。



定九郎が最後に撃たれて白いフトモモに血が滴り落ちる場面がなかったのはちょっぴり残念 のごくらく地獄度 (total 2123 vs 2129 )
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2020年07月26日

夢を図る歌舞伎 図夢歌舞伎 「忠臣蔵」 第二回


図夢歌舞伎 第二回は「忠臣蔵」の四段目。
全五回 すべて楽しませていただきましたが、元々四段目が好きなこともあって、この回がマイベスト。
配信時間が30分と短く見やすく、翌日の制限時間まで時間が許す限りアーカイブも繰り返し拝見しました。


図夢歌舞伎『忠臣蔵』 第二回 「四段目」
構成・演出:松本幸四郎
脚本:戸部和久
竹本:竹本東太夫  鶴澤慎治
長唄: 鳥羽屋三右衛門社中  杵屋栄十郎  鳥羽屋里松
鳴物:田中傳左衛門社中  田中傳左衛門
出演: 塩冶判官/大星由良之助:松本幸四郎
    大星力弥:市川染五郎
    口上人形:市川猿弥
    後見:松本幸蔵  松本幸之助  松本幸次郎

2020年7月4日(土)11:00am Streaming+
(配信時間 30分)



開演前、映し出された定式幕がCGではなく実写映像になっていました。
時々ふわりと揺れる幕に中の人の動きを感じて、そうそう、開演前の劇場ってこんな感じだったよね、とより臨場感のある演出。
1回目の様々なトラブルは大きく改善され、また、映像としてもお芝居のクオリティ的にも大幅にバージョンアップして完成度も高まり、1週間でよくぞここまで、という思い。
はじめに口上人形が前回の大序から三段目までを映像つきで振り返ってくれて、一気に忠臣蔵の世界に入り込み、四段目扇ヶ谷塩冶判官切腹の場 開幕です。


白木の三宝に九寸五分を載せ、判官の元へ運ぶ力弥。
憂いを含んだ美しい横顔に畳の上の摺り足の音が重なります。

白装束の肩衣をはね膝下へ敷き、袖から腕を抜く判官。
しんと静まり返った中、判官の動く衣擦れの音だけが響きます。

劇場で「通さん場」を観る時と同じ緊張感に包まれ、息をのむ思いで画面を凝視するワタクシ。

幸四郎さん判官の切腹へと向かう所作一つひとつが厳かで、哀しいくらいに美しい。
今回特に感じたのは「音」。
先に挙げた摺り足や衣擦れの音、そして、判官が九寸五分に巻く懐紙の紙音、それをぎゅっと握りしめる音。
静寂が支配するこの場面で、それらの「音」がどれほど大きな役割を担っているか、改めて感じ入りました。

力弥の染五郎くん。
判官を見上げる瞳、襖越しに判官とやりとりするまっすぐな眼差し。
もちろん初役で、台詞も多く、(リモートのため)相手が目の前にいない中でのお芝居はハードル高かったと思いますが、とてもよかったです。
判官に「由良之助は」と何度も問われて、「いまだ参上 つかまつりませぬ」と応える表情の切なさ、声の哀しさ。


■ 図夢ならでは

今回の“図夢ならでは”は、判官切腹の場面。
判官が九寸五分を腹に突き立てたまさにその刹那、苦痛に歪む判官の表情、無念さを、正面から横から上から、マルチカメラで様々なアングルでとらえ、画面にマルチに映し出し、さらには駆け付ける由良之助の足もと、そして横顔を畳みかけるように次々と4分割で見せていきます。
いやぁ、これぞ映像ならではで、すごい迫力と緊迫感でした。

そこからの、判官から形見と言われて九寸五分を渡された由良之助の腹の底から響くような低音の
「い~さぁ~い~」
・・・自分でも意識しないまま涙がこぼれていました。

そうそう、判官がどっと前に突っ伏すところで一瞬画面がフリーズして、「あれ?そういう演出だったのかな?」と思っていたのですが、アーカイブでは修正されていましたので、あれはトラブルだったのね。


続きがあります
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