2020年10月20日

幸せの白いコート 「あなたの目」


publiceye.jpg「ピサロ」や「アマデウス」の作者として有名なイギリスを代表する劇作家ピーター・シェーファーが1962年に発表した 2 本の男女3人芝居「わたしの耳」(The Private Ear)「あなたの目」(The Public Eye)を2作連続上演というシス・カンパニーの公演。

それぞれリンクしない単独の戯曲ながら、「耳 」から入る話がすべてなのか、「目 」で見 たコトこそが本物なのか・・・2作同時に観ることで、男女関係の機微のみならず、人間関係の距離感の妙を2倍堪能し、2倍深めることができる楽しい仕掛けとなっているのだとか

両作品とも1日ずつライブ配信されて、両方観る気マンマンだったのですが、「わたしの耳」の配信日(9/12)に謎の体調不良で全く起き上がれず、必要最小限のことしかできない状況で泣く泣くあきらめ。「あなたの目」のみ視聴しました。


シス・カンパニー公演 
「あなたの目」(原題:The Public Eye) 
作: ピーター・シェーファー
上演台本・演出: 寺十吾
美術: 堀尾幸男  照明:北澤真(監修:服部基)  音楽: 坂本弘道
プロデューサー: 北村明子
出演: 小林聡美  八嶋智人  野間口徹

2020年9月26日(土) 2:30pm 配信視聴
(上演時間: 1時間35分)

 

物語:ロンドンで会計事務所を構えるチャールズ(野間口徹)のもとをある夜白いコートを着た男が訪ねてきます。彼の名はジュリアン・クリストフォルー(八嶋智人)。チャールズが自由奔放な若い妻ベリンダ(小林聡美)の浮気を疑い、素行調査を依頼した探偵事務所の調査員でした。ジュリアンは「奥さんは毎日ロンドンの街をあてもなく歩き回っているだけだが、1人の男がいつも一緒にいて、言葉は交わさないものの2人は心を通わせているようだ」と報告します。そこに突然、ベリンダが事務所に現れ・・・。


チャールズの事務所のワンセットで繰り広げられる物語。
典型的なアッパーミドルで「妻は夫のために自分を捨てて尽くすべき」と考えていて、ライブハウスでウエイトレスをしていた18歳のベリンダと結婚し、自分にふさわしい理想の妻にしようと教育しマナーを教え込んできたチャールズ。
最初は何でも知っている夫を頼もしく思い、その“教育”を受け容れてきたものの、次第に「家庭は学校のよう」と息苦しさを感じ、自分の感情に素直に自由に行きたいと街を歩くようになったベリンダ。
「街を歩き回るうちにある男性と出会ったことで自分が生き返ったように感じる」とベリンダが語るそのその男性とはベリンダを尾行するジュリアン。
チャールズは探偵が依頼主である自分を裏切ったと怒り、ベリンダは自分の浮気を疑った夫と素性を隠していた探偵に怒る。
・・・という会話が展開されます。


夫婦の価値観の違いが浮かび上がりますが、愛情がなくなった訳ではなく、それぞれを認め合っていることも感じられる2人。
第三者として2人の会話を聞いていたジュリアンは、少しこじれた2人の関係を修復しようと、「奥さんを客観的に見ていれば、相手の良さが見えてくるし自分の気持ちも変わってくる」と自分がしたのと同じように、1カ月間、ひとことも口を聞かず距離を置いてベリンダを見るだけの生活をするよう提案するのでした。

原題の Public を「あなたの」としたのはどういう意図だったのでしょうか。
ベリンダを見るチャールズの目、チャールズを見るベリンダの目。
2人を見るジュリアンの目。
そして、3人を見る私たち観客の目。
すべて「あなたの」目ということになるのかな。


冒頭、チャールズの事務所にやって来たジュリアンが自分の正体を明かすまでが長い、そしてウザい(笑)。
事務所の中を動き回り、マカロン食べたりヨーグルト飲んだりやりたい放題。口数多くおせっかい、ちょっと人を食ったようなとぼけたところもあって、八嶋智人さんの真骨頂です。
白いコートに天使の羽みたいなものがついていて、結果的に夫婦2人の恋のキューピッドになることを示唆していたのでしょうか。
幸せの黄色いハンカチならぬ白いコートですね。

野間口徹さんのチャールズはノーブルでエリートっぽく、慣習に縛られた高圧的な感じがよく出ていて、そんな硬質な彼がベリンダの真実を知tって動揺したり、ジュリアンの言葉で心の中に変化が生じる様がよく伝わってきました。

小林聡美さんのベリンダはチャールズが「自分の娘のような女の子と結婚した」という若い妻にはさすがに見えなかったし、いささか理が勝ちすぎるかなとも思いましたが、いかにも奔放でチャールズも認める美的な感性も持つ女性という雰囲気。
ベリンダが街を歩くところでロンドンの地名やストリートの名前がたくさん出てきて、またロンドンに行きたくなっちゃったな。
3人とも口跡よくて台詞が聞きやすいのもすばらしかったです。

ベリンダ観ていて「あれ?これ、ミア・ファローがやってたやつやん」と気づく(遅い)。
高校生ぐらいの時に観た映画で題名も忘れていたのですが、自由奔放なミア・ファローがとにかく可愛かった記憶。
後で調べたら映画「フォロー・ミー」の原作と公式サイトにもちゃんと書いてありました(^^ゞ

終演後には、舞台今終えたばかりの3人のトークもついていて、楽しい配信でした。




youandme.jpg

マギーさん上演台本・演出、ウエンツ瑛士くん、趣里さん、岩崎う大さん出演の「わたしの耳」と一体になったポスター



やっぱり「わたしの耳」の方も観たかったな の地獄度 (total 2166 vs 2166 )



posted by スキップ at 23:22| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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