2020年03月14日

幸せは愛しき人の瞳の中に 月組「赤と黒」


akatokuro.jpg宝塚歌劇としては初めての御園座公演。
昨年亡くなられた柴田侑宏先生が、スタンダールの「赤と黒」を原作に書き下ろされた作品で、1975年月組・大滝子主演で初演されて以来、1989年 月組・涼風真世、2008年 星組・安蘭けいと錚々たるスターが主演を重ねてきた名作です。


宝塚歌劇 月組公演
ミュージカル・ロマン  「赤と黒」
原作: スタンダール
脚本: 柴田侑宏
演出: 中村暁
作曲・編曲: 吉田優子  寺田瀧雄
振付: 羽山紀代美  ANJU  百花沙里
出演: 珠城りょう  美園さくら  月城かなと  夏月都  
千海華蘭  輝月ゆうま  晴音アキ  夢奈瑠音  蓮つかさ  
天紫珠李  礼華はる  結愛かれん  きよら羽龍/一樹千尋  夏美よう  ほか

2020年2月24日(月) 12:00pm 御園座 1階1列上手
(上演時間: 3時間/休憩 30分)



物語の舞台はポレオン失脚後の復古王政下のフランス。
フランス東南部の小都市ヴェリエールに貧しい製材業の息子として生まれたジュリアン・ソレル(珠城りょう)は、聡明で強い自負心を持った青年でした。神父となり立身出世して富と名声を手に入れたいと願っていたジュリアンは、町長のレナール(輝月ゆうま)の子どもたちのラテン語の家庭教師となり、そこで美しいレナール夫人(美園さくら)と出会い恋に落ちます。しかし、ジュリアンに恋していた女中のエリザ(きよら羽龍)の告げ口によってレナール家を追われることとなりました。ピラール神父(夏美よう)の紹介で政界の実力者 ラ・モール侯爵(一樹千尋)の秘書となりパリに移り住んだジュリアンは、ラ・モール家の令嬢 マチルド(天紫珠李)と出会います・・・。


今回の公演が発表された時、「たまきちがジュリアン?なんで?ちなつ(鳳月杏)の方が似合ってない?」と思ったものでしたが、蓋を開けてみると、珠城さんのジュリアンも美園さんのレナール夫人も想像以上によくハマっていて、いかにも古き良き時代の柴田作品でクラシカルロマンで物語はこっくりしていて見応えありました。先に感想アップした「出島小宇宙戦争」のちなつさんもヤバイほどカッコよかったので、結果オーライ。宝塚の制作陣の先見の明というかスターさんたちのすばらしさというか。

「恋と野望に彩られたジュリアン・ソレル」と言われていますが、ジュリアンは確かに立身出世を願っているけれど、それは野望とか野心というのとはちょっと違う印象を受けました。自分が成り上がるために人を欺いたり、陥れたりしないし、聡明で真面目に勉強しているのに上層部の権力争いの犠牲になって成果が出せないという理不尽に見舞われていて、気の毒。
ところが恋については、どちらも、心が求めたのではなく、「自分を蔑むように見られた」という自負心やプライドの高さから「彼女を屈服させたい」という方向に動いたように見えます。まぁ、きっかけはどうであれその後本気になってしまう訳ですが。
マチルドのことも憎からず思っているには違いないですが、やはりジュリアンにとってはレナール夫人が one and only の女性で、彼女の変わらぬ愛を知って死んでいくのだから、幸せだったのかな。


珠城りょうさんのジュリアン・ソレル ステキでした。
若く美しく、聡明なのはもちろん、若さゆえの思い込みの激しさや暴走も体現していて、破滅に向かうことはわかっていても応援したくなる、魅力的なジュリアン。
レナール夫人の首筋にキスをする危険な色っぽさを見せたかと思えば、マチルドの豹変にとまどってコラゾフ公爵に恋の手ほどきを受ける生真面目な一面もあり、演技の振り幅も大きく、ポスター画像よりはビジュアルもスッキリして、白いシャツイチ姿のハマること。

美園さくらさんは「I Am From Austria」のエマに代表されるようなパキパキした現代娘がお似合いだと思うのですが、しっとりとしたレナール夫人、健闘でした。
何不自由なく育って、本当の恋を知らず親の言うままに結婚して、封建的な夫に従い、3人の子どもたちと幸せに暮らしている上流階級の奥様が若いジュリアンの情熱に戸惑いながらも自分の気持ちを抑えられなっていく様が美しくも切ない。

逆にマチルドの天紫珠李さんはいつものじゅりちゃんだったなー。

娘役ではほかに、女中 エリザのきよら羽龍さんの芝居の上手さ、ジュリアンの恋のさや当てにされる フェルバック元帥夫人の結愛かれんさんの美しさ、色っぽさも印象的。かれんちゃんはフィナーレのダンスのキレ味にも注目。
そして、デルヴィール夫人晴音アキさんがとてもよかったです。
美しくてゆったりとしていて品があって、聡明でいかにも訳知りで、友人のレナール夫人のことを案じつつ、友情以上の思いも匂わせるようなマダム。上級生の娘役さんならでは風情でした。

月城かなとさんはジュリアンの友人 フーケとコラゾフ公爵の二役。どちらもよかったです。
いかにも友人思いでジュリアンとは逆に地に足つけて生きているフーケと、何考えてるかわからない(ほめています)恋愛達人のコラゾフ公爵の演じ分けくっきり。声や表情はもちろん、立ち居振る舞いまで変えてきてさすがだなと思いました。そして、あの赤い軍服姿の美の破壊力ね。

かわいい顔して嫌味ったらしさ抜群の千海華蘭さんのヴァルノ、傲慢さと俗物感が何ともいい塩梅の輝月ゆうまさんのレナール、相変わらず立ち姿が美しくてどこにいても目を惹くマチルドの兄 ノルベール伯爵の夢奈瑠音さん、貴公子然とした美しさの蓮つかささんのクロワズノワ侯爵、ラ・ジュマート男爵の礼華はるさんが、いずれも出番は多くありませんが、若き貴族の美しさと傲慢とスノッブさを見せていて、月組やっぱり層が厚いなと改めて思いました。
一樹千尋さんのラ・モール公爵、夏美ようさんのピラール神父という専科のお二人の安定感と存在感は言わずもがな。

1本立てなので大劇場公演と同じくらい盛りだくさんなフィナーレがついていました。
・月城かなとソロ
・男役娘役5組のダンス
・美園さくら中心に娘役群舞
・珠城りょうソロダンスからの男役群舞
・デュエットダンス
・パレード
という流れ。

5組は、男役: 千海華蘭・輝月ゆうま・夢奈瑠音・蓮つかさ・礼華はる
    娘役: 晴音アキ・天紫珠李・結愛かれん・白河りり・きよら羽龍
で、男役はもちろん、娘役も推されているメンバーなのは明らか。
5組同時にくるくる回る回転リフトもステキでした。

男役群舞は、衣装もモダンで少しくだけた感じでしたが、振付も凝っていて、センターで数人が踊っている間、上手で何人かそれを見ながら談笑する、みたいな部分がありました(振付: ANJU先生)。
上手の最前列だったのですが、本当に何か話している声が聞こえました。
その後、客席降りもあり。

デュエットダンスは相変わらず迫力もあって美しい。
今の宝塚でこれをやらせたらピカイチの高さのある高速回転リフトも美しく見応えたっぷり。
エトワールは白河りりさんでした。



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2018年の「柿葺落四月大歌舞伎」以来2年ぶりの御園座。
御園座レッドに「赤と黒」が映えます。
1公演限定50個の薔薇の最中アイスもいただきました。



この公演も2月28日までで中止。ライブ中継もなくなっちゃった の地獄度 (total 2080 vs 2082 )



posted by スキップ at 15:54| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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