2019年05月26日

JUST BE WHO YOU WANT TO BE 「キンキーブーツ」


kinkyboots.jpg

「他人をありのまま受け入れて」
「誰に?いつから?」
「やってみて。いつでも、誰にでもよ」

ドンとローラの会話に込められたこの作品のメッセージ。

他人をありのまま受け入れるということは自分自身もありのまま受け入れるということ。
JUST BE WHO YOU WANT TO BE


ブロードウェイミュージカル 「キンキーブーツ」  Kinky Boots
脚本・歌詞: ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞: シンディ・ローパー
演出・振付: ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力・上演台本: 岸谷五朗
訳詞: 森雪之丞
出演: 小池徹平  三浦春馬  ソニン  玉置成実  勝矢  ひのあらた  
飯野めぐみ  白木美貴子  施鐘泰  森川次朗  佐久間雄生 ほか

2019年5月22日(木) 2:00pm オリックス劇場 1階14列センター
(上演時間: 2時間25分/休憩 25分)



物語: イギリス ノーザンプトンで代々続く靴工場 Price & Sonの息子チャーリー(小池徹平)は父の急死で工場を継ぎますが、大手取引先からの契約解除で工場は経営難。そんな時、ロンドンでドラァグクイーンのローラ(三浦春馬)と出会います。ローラたちがショーで男性の体重を支えるようにできていないブーツを履いて踊っていることからインスピレーションを得て、工場をドラァグクイーンのブーツ専門工場として再生させる過程でチャーリー自身も自分と異なる者たちや自分自身も受け容れる軌跡が描かれます。


2013年にブロードウェイで初演されたミュージカル。
2016年日本初演。
その時もチケットを取ろうとしていたのですがどうしてもスケジュールが合わず断念。開幕するととても評判がよくてやっぱり観ればよかったぁと後悔したものです。
3年を経て同じキャストで再演ということで、とても楽しみにしていました。
実際に観て、そりゃこれ評判いいはずだワ、となりました。


楽しい!
ダンスも歌もたっぷり。
シリアスな場面もありながら、センスよくショーアップされた舞台。
歌詞もメロディも挑戦的で魅力的なシンディ・ローパーの楽曲。
華やかでパンチ効いていて彩鮮やかな衣装。
華やかなドラァグクイーン、ひたむきな靴工場の従業員。
もちろん役者さんたちすばらしい。


実話に基づいた作品ということですが、物語しては奇をてらったところはなくて、出会い→同調→葛藤→決別→和解&ハッピーエンドという流れで、こうなるんだろうなというふうに進みます。
チャーリーとローラの友情、二人それぞれが抱える父親への葛藤、そして社会的マイノリティ(と思われている人たち)と周囲の問題を扱っていてメッセージも込められているのですが、押しつけがましさも説教臭くもありません。
シリアスなシーンも華やかなショーも、場面場面が歌やダンスで彩られてショーアップされ、盛り上がったり心に染みたり。


一幕ラストの Everybody Say Yeah
一足の赤いブーツがベルトコンベアに流れてきて、さらにエンジェルズも次々流れてきて、そしてそのベルトコンベアの上で踊るローラとチャーリー。エンジェルスも工場の人たちも皆一緒になって。
劇場全体が弾けそうなくらい大盛り上がりでした。

さらに盛り上がったのがオーラス
ミラノの品評会でモデルがおらず、慣れない高いヒールのブーツを履き、何度も転びながら一人ランウェイに出て行くチャーリー。
観ている私たちはわかっています。きっとローラが来てくれるということを。

それでも

照明が変わって、真っ赤なドレスに真っ赤なブーツを履いたローラがバアアァーッン!と登場した時の胸熱MAX。
ここからの Raise You Up/Just Be の高揚感はたとえようがありません。

そして、ローラ&エンジェルスはもちろん、チャーリーもローレンもニコラも、工場のみんなも、ジョージにドンまでもブーツを履いて歌い踊るエンディング。
客席みんな、今にも立ち上がりそうでした。


三浦春馬くんを初めて舞台で観たのは劇団☆新感線「ZIPANG PUNK ~五右衛門ロックⅢ」(2013年)。場所も今回と同じオリックス劇場でした。
その時の感想にも「ビジュアルよし歌よしダンスよし芝居よしで、新感線にぴったりの役者さんです」と書いていますが、とにかく「何でもできる子、しかもどれもハイクオリティで」という印象で、以来、春馬くんが出演する舞台は積極的に観てきました(まぁ、某地球ゴージャスはスルーしたけど・・・)。

ローラ、ほんとすごい。

ダンスはキレッキレ、歌声はパンチあってのびやか。
華あるオーラ全開のビジュアルに鍛え上げられたたくましい筋肉。
あの最初の登場シーンの暗い照明の中に浮かび上がる後ろ姿から目が惹きつけられっ放しです。

キャラクターの心象としては、パワフルで何でも見通していて自分の信念に揺らぎがなく、それを相手にきちんと主張できるローラが「スーパーすぎる」と感じていました。
が、華やかなビジュアルの背中にふっと漂う孤独の影。
華やかさ、美しさと寂しさ、切なさが共存しているローラがたまらなく愛おしい。

かつてボクシングの試合にドレスを着て行って激怒したお父さんから勘当された過去を語り、自分の名前はサイモンだと寂しげな表情で告げるローラを見て、過剰なまでの華やかさの裏に隠した孤独、寂しさに胸がしめつけられる思いでした。だから、終盤、老人ホームを慰問して歌う Hold Me in Your Heart は心に染み入ります。
歌った後、車椅子の父の肩にそっと手を乗せる姿に救われる思い。


image2 (2).jpg

オリックス劇場の3階ロビーに「ZIPANG PUNK ~五右衛門ロックⅢ」に出演した時の古田新太さん、三浦春馬くん、蒼井優ちゃんのサインが並んでいました。


小池撤平くんのチャーリー。
ローラに比べたら地味な役回りですが、観客の目線に一番寄り添っているのはチャーリーじゃないかな。
マイノリティであるドラァグクイーンと対をなすマジョリティの代表のような存在。
撤平くんのチャーリーの造形がしっかりしているからこそこの物語が成立しているし、ローラが一層輝いてくるのだと思います。
歌も演技も相変わらず上手いし、このローラにしてこのチャーリーあり、本当に名コンビです。

ソニンさんのローレンもとてもよかった。
いかにも田舎町の人のよい女の子で、何にでも一生懸命で、でもキラリと光るセンスは持っていてという役どころ。歌のうまさには元々定評がありますが、一人でぼそぼそ口走るところなんてコメディエンヌぶりも発揮してとてもキュート。


ナンバーによってはライブ会場のように手拍子したり、終わった瞬間ヒューヒューと歓声が上がることもしばしば。
実はこれ、私の苦手なパターンなのですが(もっといえばミュージカルもあまり得意ではない)、何かそれ、ワカル、という気持ちになりました。こんなに高揚するのって、音楽の力ってすばらしい、と改めて。


ありのままに受け入れる・・・「自分は偏見なんかない」と思っている人(私も少なからずそう思っている)も、人生の様々な場面でそうはなれない現実に直面することがあります。そうなってしまった時にも、ローラの言葉だけは胸に刻みつけておきたいし、JUST BE WHO YOU WANT TO BE 自分がこうありたいと思える自分でいたいと、そんふうに思える舞台でした。



image1 (11).jpg

ロビーのフォトスポット


image1 (12).jpg

当然撮るよね。
ちびっこなので頭身バランスおかしなことになっていますww
ローラの真似したつもりだったのにポージングも全然イケてません。

開演前から長蛇の列でとても無理ムリと横目で見ていたのですが、座席が通路近くだったこともあって休憩時間にロビーに出たらまだ誰も並んでいなくてラッキーでした。



kinkyboots2.JPG

劇場外のこのボード撮るのも行列してました。




春馬くんのローラにまた会いたい のごくらく度 (total 2055 vs 2054 )



posted by スキップ at 21:37| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください