2018年09月26日

秀山祭九月大歌舞伎 夜の部


秀山祭 昼の部と夜の部の間は37分しかない過密スケジュールですが、一旦外に出てリフレッシュしてから夜の部に臨みました。


歌舞伎座百三十年
秀山祭九月大歌舞伎  夜の部
2018年9月19日(水) 4:30pm 歌舞伎座 3階1列下手



一、 松寿操り三番叟
出演: 松本幸四郎  中村吉之丞
   (上演時間: 18分)


大好きな幸四郎さんの踊りの中でも特に好きな演目のひとつ 「操り三番叟」。
最初木箱の中でぺったんこになっていたお人形が、後見が糸を整えるのに合わせて手を動かし、顔をあげて、と少しずつ動き始める時のワクワク感。
本当にお人形に命が宿って踊り始めたようです。
ぴょーんと飛んでも床に降りても音ひとつしない軽やかさ。
難しそうな振付もさらりと踊ってみせて、さすが身体能力が高い踊り巧者。後見の吉之丞さんとの息もぴったりでした。
ずっと観ていたいような楽しい踊りでしたが、三番叟が振る涼やかな鈴の音に、何だか福をいただいたような幸せんば気分になりました。


shunkan201809.jpg二、 平家女護島 俊寛  鬼界ヶ島の場
作: 近松門左衛門
出演: 中村吉右衛門  中村雀右衛門  尾上菊之助  
中村錦之助  中村又五郎  中村歌六 ほか
(上演時間: 1時間17分)


六月の博多座 仁左衛門さんで観たばかりの「俊寛」。
吉右衛門さんの俊寛を観るのも初めてではないいのですが、演じる人が違うと印象が変わるのはもちろん、今回は家の型の違いも印象的でした。

特に幕切れ。
鬼界ヶ島にただ一人残る選択をした俊寛が、小さくなっていく船影を見送る時、その顔には悲哀はあるものの、どこか諦念というか、むしろ澄み切った表情・・・それは誇りを守り抜いた人間だけが持つものかもしれませんが・・・を見せていました。


昼の部の「河内山」でも感じたのですが、吉右衛門さんの台詞はすごく声を張っているとか緩急をつけているという印象は受けないのですが、喜怒哀楽を様々な声音と表情で細かく使い分けて描いていて、その時々の心情がとてもよく伝わってきます。
やせ衰えた俊寛が瀬尾に斬りつけた時、千鳥を船に乗せたいという気持ちはもちろん、そこには妻を殺した瀬尾やひいては清盛への思い、どれほどの覚悟があったかと思うと胸がいっぱいになりました。

又五郎さんの瀬尾がまたとんでもなく憎たらしくてね(ほめています)。
島流しでやつれていても公家の品を失わない菊之助さんの成経、錦之助さんの康頼、「年の差カップルじゃん」と思っていたらとても可愛かった雀右衛門さんの千鳥、毅然とした中に情を感じる歌六さんの丹左衛門と役者が揃って、当代一の「俊寛」を見せていただきました。

3階からでしたので、ラストに俊寛が上った岩の部分が大セリで回転しながら、そこだけを残して周りの床が次々と海になっていくという、歌舞伎座舞台美術のすばらしさにも感激しました。


yugen201809.jpg三、新作歌舞伎舞踊  幽玄
羽衣/石橋・道成寺 
出演: 坂東玉三郎  中村歌昇  中村萬太郎  
中村種之助  市川弘太郎  中村鶴松 ほか
(上演時間: 44分/54分)


今年の秀山祭は全部観たことある演目でしたが、これだけ初見だわ~・・・とそれもそのはず、新作舞踊ですから。
とはいえ、「羽衣」も「石橋」も「道成寺」も、歌舞伎舞踊としては観たことがあります。
玉三郎さんとの共演も多い太鼓芸能集団・鼓童の20人が地方になって能「羽衣」「石橋」「道成寺」のハイライトを綴っていくという趣向。
玉三郎さんの美意識が隅々にまで行き渡った舞台でした。

「羽衣」は舞踊というよりフォーメーションを楽しむひと幕のように感じました。
横一列に並んで太鼓を打ち鳴らす鼓童の面々が台ごと舞台の前に出てきたり奥へ引っ込んだり。
歌昇くんを先頭にした伯竜たちも隊列を組んで形を変えながらもフォーメーションで舞台上を静々と進んでいきます。
その一糸乱れなさぶりに、玉三郎さんご指導のもと、きっとすごくたくさんお稽古したんだろうなぁと感心することしきり。
花道七三に天女の玉三郎さんが現れて、「あ、羽衣だった」と思い出した次第です。

「石橋/道成寺」はもう少し原点の舞踊に寄せた感じ。
歌昇くん・萬太郎くん・種之助くん・弘太郎くん・鶴松くんというフレッシュな顔ぶれの毛振りも楽しかったです。
妖しく美しい玉三郎さんの白拍子花子。
「道成寺」はダイジェスト版みたいにいろんな踊り、要素が少しずつ入っているのがかえって玉三郎さんが踊る本家の道成寺が観たいという気持ちになりました。
ラストの鱗四天たちの大蛇は圧巻。

鼓童の皆さんの演奏を観たのは多分初めてで、寸分の狂いなく揃った撥さばきを観ていると、太鼓はその演奏を楽しむばかりでなく、全員ぴたりと息が合って統一された動きを視覚でも堪能す芸術なのだと思いました。

が、これを「秀山祭」でやる意味は??



しかも「幽玄」は幕間入れると2時間と長い の地獄度 (total 1964 vs 1967 )


posted by スキップ at 20:58| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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