2018年08月16日

大人だって時にはけんかしたい  「大人のけんかが終わるまで」


otonanokenka.jpgフランスの劇作家 ヤスミナ・レザの最新作の日本初演。
豪華キャストもさることながら、最も注目したのは
「演出: 上村聡史」。
え?上村さんって、コメディを演出したりもするの?!という感じでした。


「大人のけんかが終わるまで」
作: ヤスミナ・レザ (原題 Bella Figura)
翻訳: 岩切正一郎
上演台本: 岩松了
演出: 上村聡史
出演: 鈴木京香  北村有起哉  板谷由夏  藤井隆  麻実れい

2018年8月11日(土) 11:00am 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階C列下手
(上演時間: 1時間45分)



タイトルどおり、物語は最初から「けんか」で始まります。
車から不機嫌そうに降りてくるアンドレア(鈴木京香)。タバコに火をつけたり、かなり苛立っている様子。
彼女はシングルマザーで、妻子あるボリス(北村有起哉)とデートで訪れたレストランが、彼の妻のおススメの店と知って喧嘩となり、ポリスが宥めても埒が明かず、結局食事をとりやめて帰ることに・・・。

ここまでのプロローグ?が結構長いのですが、二人の会話だけで、二人の関係や状況が手に取るようにわかる脚本すばらしいな、と思いながら観ていました。

その帰り道、老女イヴォンヌ(麻実れい)と接触事故を起こしてしまいます。
幸いイヴォンヌに怪我はないようでしたが、一緒にいたフランソワーズ(板谷由夏)はボリスの妻の親友で、夫 エリック(藤井隆)とともにエリックの母であるイヴォンヌの誕生祝いにこのレストランにやって来たのでした。お祝いに同席することになるアンドレアとボリス。


アンドレアとフランソワーズはその場にいないボリスの妻をはさんで最初から険悪な雰囲気。
情緒不安定気味で精神安定剤?を常用しているアンドレア。
フランソワーズの前でアンドレアとの不倫関係を隠したいボリス。
認知症の症状が現れ始めたイヴォンヌとの関係がうまくいかず、エリックへの苛立ちを募らせるフランソワーズ。
やさしいけれど母イヴォンヌにべったりのマザコン男エリック。
そんな4人を前に唯我独尊というか、我が道を行くイヴォンヌ。

この5人のやり取りが延々と続く中、話していくほどにそれぞれの事情や心の内が露わになって、ボリスは会社の負債で家も手放さなければならいない状況だということが明らかになったり、アンドレアとフランソワーズが心を通い合わせる場面も。

このあたりは「けんか」とも言えない感じでしたが、それが「大人のけんか」ということでしょうか。
言いたいことを言い合って、本音をさらけ出して喧嘩できることが本当は幸せなんじゃないかと感じたり。

コメディらしく笑える部分も多いけれども、全体の流れとしては少し単調かな。
出演者も皆さん達者でしたが、翻訳劇、しかも「現代劇でコメディ」の難しさを感じた作品でもありました。


イヴォンヌは状況をよくわかっていないようでいて何だかすべてを超越した存在のよう。
何の話だったかフランソワーズに振られて、まるで関係ないかと思うようなたとえ話をして、「誰だって人前で侮辱されるのは好きじゃないわ」とサラリと言ってのけるあたり、ハッとさせられたり。
麻実れいさんのちょっと人外な雰囲気(ほめています)がこの役にハマっていました。

常に苛立っているようなアンドレアはイヴォンヌのことをほっとけず世話をやく人のよさを見せたり、実はデートを楽しみにして高級ブランドのハイヒールを新調していたりする可愛らしさも持ち合わせた女性。
短めスカートから思い切りより脚を出した鈴木京香さんが表情豊かに熱演。

服装や言動から察するに、ボリスやフランソワーズ、エリックの側とアンドレアには“住む世界が違う”感があるように思うのですが、鈴木京香さんは品が良すぎるのが難点かな。


そしてやっぱり北村有起哉さんが上手くてホレボレ。
ボリスってだめんずだと思うのですが、それでも共感できたり同情してしまうのはちゃんと人物像が伝わってくるからだと思います。
しかもセクシー。アンドレアが惚れるのも無理なきことかな。

その有起哉くん、カーテンコールでお辞儀した時、舞台に舞い散っていたあわ雪のような綿を拾ってフッと吹き上げてとびきりステキな笑顔を見せてくれました。ヤラレたわ





大人には大人のけんかがある のごくらく地獄度 (total 1950 vs 1955 )


posted by スキップ at 22:36| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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