2018年08月11日

八月納涼歌舞伎 第一部


201808noryo.jpg八月納涼歌舞伎 初日第一部、二部、三部 通し観劇。
二部、三部は千穐楽にもう一度観る予定ですが、一部はこの一度限りのつもりですので、記憶が新鮮なうちに(笑)感想を。


歌舞伎座百三十年
八月納涼歌舞伎 第一部
2018年8月9日(木) 11:00am 歌舞伎座 1階7列上手



一、 花魁草 (おいらんそう)
作・演出: 北條秀司
演出: 大場正昭
出演: 中村扇雀  中村獅童  市川高麗蔵  中村梅枝  
坂東新悟  市村萬次郎  坂東彌十郎  松本幸四郎 ほか
(上演時間: 1時間27分)



物語: 江戸を襲った安政の大地震から一夜明けた中川堤。
難を逃れた大部屋役者の幸太郎(獅童)はと吉原の女郎お蝶(扇雀)と知り合い、百姓米之助(幸四郎)に助けられ、栃木で達磨の絵付をしながら一緒に暮らし始めます。互いに想い合っている様子の二人ですが、お蝶は過去に自分を裏切った男を殺めた過去があり、結ばれることを避けていました。そこへ、復興した江戸 猿若町 中村座の座元勘左衛門(彌十郎)や芝居茶屋の女将お栄(萬次郎)がやってきて、幸太郎に芝居へ復帰することを勧めます。6年後、江戸で売れっ子の役者となった幸太郎は姿を消したお蝶を探して栃木宿の家を訪ねますが・・・。


北条秀司さんが七世尾上梅幸さんに書き下ろした演目で、安政の大地震が物語の背景になっていることもあり、東日本大震災が起こった平成23年 八月花形歌舞伎(歌舞伎座建替中のため新橋演舞場)で中村福助さんによって再演された作品ということですが、今回初見。
あらすじも知らず、全く予備知識なしで観ましたが、とてもよかったです。


扇雀さんはお蝶さんのように気が強いけれど情に厚い女性がとてもハマります。
差し入れ持ってきたお糸ちゃん(新悟)にやきもち焼いてツラく当るくらい幸太郎のことが大好きなのに、自分の過去と10歳年上ということから幸太郎のためを思って踏み出せないでいる女ごころが切ない。
そんなお蝶さんだから、これはきっと身を引くことになるんだろうなぁと思っていたら、その通りになる訳ですが。

幸太郎の獅童さんは台詞まわしがちょっと若づくりすぎかなぁとも思いますが、純粋で生真面目な幸太郎像。


少し上手寄りの席だったので、下手側から舟漕ぎながら百姓 米之助が出て来た時、最初誰だかわからず、拍手が起こって「誰?」とオペラグラスあげて「幸四郎さんじゃん!」となりました
栃木なまりも自然で、素朴で気のいいお百姓さん(って今は言ったらいけないのかな)を楽しそうに演じていらっしゃいました。

誰だかわからないといえばその女房お松の梅枝くんも。
幸太郎の家の庭先に出て来た時、「あの女形さん、地味だけど(百姓の女房なので)いい声で台詞うまいなぁ」と思っていたら梅枝くんだったという・・・。
(少しは配役予習しろよって話ですが)


照明が美しい演出も印象的でした。
最初の場面では暗い河原が朝の光を浴びて徐々に明るくなっていって、遠くに夕焼けのような空が見えて、実はそれが地震後の江戸の大火だということがわかります。
ラスト 立派な役者になって栃木に凱旋した幸太郎の船乗り込み。
舞台中央に大きな橋がかかり、人々が手を振り歓声をあげて見送る中、ほんのりした照明の灯りだけで表された船がゆったりゆったり川を進み、橋の下をくぐって花道を進んで行くところ、素敵だったな。
そして群衆の間からすっくと現れるお蝶さんの切なさもひとしおです。


二、 龍虎
出演: 松本幸四郎  市川染五郎
(上演時間: 20分)
 


幕が下りた時、思わず目頭が熱くなりました。

2007年6月 藤間齋くんの名前で2歳で初お目見えした時からずっと観てきた染五郎くん。
こんな立派に踊れるようになって・・・おばちゃん、感無量だよ。


演目自体は10年位前に演舞場で愛之助さんの龍、獅童さんの虎で観たことがあります。

毛振りしながら引き抜きが2回もあったり、隈取の早替えとか踊りそのもの以外にもいろいろと段取りが多く大変だなぁという印象。

幸四郎さんの舞踊が大好きなワタクシではありますが、今回はついつい虎の方に視線が・・・。
染五郎くん、登場の場面から本当に綺麗。
踊りも毛振りもまだまだお父様と対等という訳にはいかないし、初日とあってか龍の膝の上に乗ってキマるところではちょっとヒヤリとする場面もありましたが、綺麗な海老反りも披露してくれて、これからの成長が楽しみ・・・11月南座の連獅子もとてもとても楽しみ。

ラスト、隈取から元の綺麗なお顔に戻った時、顔中汗が吹き出ていた幸四郎さんに対して染五郎くんは涼しい顔だったようにお見受けして、「運動量が違うのと若さの差かな」と思ったのですが、本日開催された「歌舞伎夜話」で、「終わった時、シャワー浴びたように汗だく」とおっしゃっていたそうなので、顔には汗をかかない女優タイプなのかしら。


三、 新作歌舞伎  心中月夜星野屋 (しんじゅうつきよのほしのや)
脚本: 小佐田定雄
演出: 今井豊茂
出演: 中村七之助  市川中車  片岡亀蔵  中村獅童 ほか
(上演時間: 51分)


物語: 元芸者のおたか(七之助)は、相場で失敗し金に困った青物問屋の照蔵(中車)から別れ話を切り出され、はずみで心中をする約束をしてしまいますが、おたかの母お熊(獅童)の入れ知恵もあって、騙された照蔵だけが吾妻橋から飛び降りて・・・。


落語「星野屋」を題材にした新作歌舞伎。
落語を元にして、小佐田定雄さんの脚本といえば、2016年の納涼歌舞伎「廓噺山名屋浦里」(名作!)が思い出されますが、あの作品に比べると小品で軽いタッチのコメディといった印象。

「虫が好かない人」と言われた中車さん照蔵が、「虫が好かねぇだと?おらぁ虫が大好きなんだよ」と見得をしたり、小ネタもはさみつつ、楽しくてケラケラ笑っている間に打ち出されました。

お話としては「狐狸狐狸ばなし」によく似ていて、そこに「浮かれ心中」テイストふりかけたという感じかな。
七之助さんは「狐狸狐狸」のおきわちゃんもそうですが、おたかさんのようにしたたかだけど可愛い女性が本当によくお似合いでお手のものといった風情。
その上をいくしたたかな母お熊が獅童さんだなんて、本当に何て母娘だ(笑)。

中車さんは七月松竹座でも感じましたが、何て言うんだろう、上手いんだけど一人芸風が違う感がなくなって、歌舞伎役者として舞台の中に存在するようになったと感じました。台詞はもちろん、所作も佇まいも。演技力はもとよりすばらしく。


この3人トリオ(七之助・獅童・中車)が第二部「東海道中膝栗毛」では爆笑の活躍を見せてくれるのですが、その感想はまた改めたいと思います。



「心中月夜星野屋」で早起きの疲れがちょっと出たの・・・それって寝たってこと? のごくらく地獄度 (total 1947 vs 1952 )


posted by スキップ at 23:01| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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