2018年08月03日

初めてづくし! 「松本幸四郎ディナーショー」


koshirodinner.jpg市川染五郎さんが十代目松本幸四郎となって初めてのディナーショー。
染五郎さん時代にディナーショーは何度か拝見していますが、今回は名跡も新たに内容一新とご自身が公言されていた通り、ナマ化粧・弁慶の滝流し・毛振りつき石橋・ラストは幸四郎先生ご指導のもと客席も一緒に総踊り・・・ と初めてづくし。とても楽しく、他では見られない貴重なものを見せていただいたディナーショーでした。


松本幸四郎ディナーショー
018年7月31日(火) 7:00pm 京都ホテルオークラ
 「暁雲」の間 テーブル2
(7:00-8:00 ディナー、8:00-9:00 ショー)



開演時間ジャストに舞台両側の大スクリーンに弁慶はじめ松本幸四郎になってから演じた役と、阿弖流為など染五郎時代の役がスライドショーで映し出されます。いつも思いますが、あのスライドショーほしい。
上手から幸四郎さん登場。
黒紋付に袴の正装で、扇を手にした踊りで幕開けです。
二枚扇も鮮やかにキリリと舞う幸四郎さん。見惚れるワ

今年1月から襲名披露興行が続いている幸四郎さん。
何かと節目の年と重なって、今年は歌舞伎座130年、11月に顔見世で襲名披露する南座は発祥400年で新開場、そしてこちらの京都ホテルオークラさんも130周年だそうです、とおっしゃっていました。
そんな年に三代襲名が重なること、不思議なご縁でもあり高麗屋さんの強運も感じます。

印象的だったのは、37年前の三代襲名の時、本当はもう少し先にと言われていたところ、お祖父様の初代白鸚さんが「それでは遅い」とあの年にされたということ。
「37年前の10月、11月に歌舞伎座で襲名披露興行をして、祖父は翌年1月に亡くなったのですが、もし祖父が早くと言わなくてあの時襲名していなかったら、今回の三代襲名もなかったということになります」と。


次の踊りは弁慶の滝流し
「『滝流し』は父が弁慶を演じる時はやっていて、私も滝流しつきの弁慶をやるのが最終目標。十一月の南座が最後のチャンスかなと思いますが、もしできなかったらいけないので(←w)ここでやってしまおうと」
白鸚さんの弁慶は4月御園座は元より、幸四郎さん時代にも何度か拝見していますが、不見識で滝流しがついていたかどうか確信できません。
この日幸四郎さんの舞を拝見していて、長唄の最後が「・・・陸奥の国へぞ下りける~」でしたので、延年の舞の最後に踊られるものと思われますが、テンポも速く、かなり激しい舞ですので、弁慶を演じ切った最後にあれを舞うのは心身ともに相当の負担になるのではと拝察しました。とはいえ、もし11月南座で、弁慶の拵えでこれを舞う幸四郎さんを拝見できたら、望外の喜びです。


続いてはオドロキの公開メイク。
他の役者さんで観たことはありますが、幸四郎さんのようなポジションの方、しかもご本人の解説つきでナマ化粧観られるなんて。
「250人の前でやるのは初めて」とおっしゃりながら、まずは踊りで噴き出た汗を拭くところから。
汗が残っていると鬢付け油の下地がうまく塗れず、結果として白塗りも綺麗に乗らないから。
何度も何度も手ぬぐいで汗を拭う幸四郎さんを見かねて最前列のお客さまがハンディ扇風機を貸し出しw

鬢付け油の下地をのばし、白塗りをして白粉をはたいた後、丁寧にまつ毛の白粉を拭きとる幸四郎さん。
「自慢じゃないけどまつ毛は長いんです」「その長さを活かして・・」とマスカラも塗っていらっしゃいました。
化粧道具の筆は「僕のお気に入りのもの。どこのかは秘密です」ですって。
眉を描き、紅をひいて、「おわかりかもしれませんが、女形の化粧をしています」
と出来上がったのは「鏡獅子」の小姓・弥生ちゃん。

ここまでと思いきや、「鏡獅子」の通りに、獅子の精への早替りメイクも披露。舞台で演じる時も「時間がないので」一旦落としたりせず、弥生ちゃんメイクの上から口や目もとの紅だけをオフしてそのまま上に隈取を重ねて描いていかれました。その筆が速く鮮やかなこと。
隈取の描き方は人それぞれのやり方があるそうですが、「僕は紅は紅、とまとめて描く方です」と。
こういうのって絵心がいるよなぁと観ていて思いました・・・幸四郎画伯の絵の腕前はこの際さておき(笑)。
「トランプマンじゃないですよ」「麿赤児です」「小梅太夫です」「氏神一番です…ちょっと古い」と折々に自分でチャチャ入れながらw

そうして出来上がった勇壮な獅子の隈取も、もったいないことにあっという間にオフ。
オイルクレンジングはベタベタするので水クレンジングを使っているそうです。


元の素顔に戻った幸四郎さん。
今度は黒い毛を取り出して、「石橋」。
黒い毛というのは珍しくて、染が入っていて一番重いのでお稽古で使うことが多いそうです。お稽古で重い毛を使っておくと本番で軽く感じるから。
八月納涼で倅と踊る「龍虎」では黒い毛を振ります、とおっしゃっていました。

頭に白い羽二重のようなものを巻いて毛をつけるところから見せていただきました。
「石橋」は以前にもディナーショーで踊られたことがありましたが、毛振りもついているのは初めて。
幸四郎さんの軌跡が綺麗で軸がぶれない高速毛振りが大好物の不肖スキップ、感動に打ち震えました(言い過ぎ)。


その後は会場をまわって質問コーナー。
同じテーブルの方が質問してくださったので、幸四郎さんが間近に来てくださってラッキー
その方は昨年「氷艶」をご覧になって以来のファンということで、「氷艶」の再演はいつですか?というご質問。
-スケーターの方たちとは今も会っている・・・飲んでるということですがw
いつも「次はどんなことやる?」という話になります。まだ歌舞伎で出してない技もありますし。具体的には全然決まっていませんが、氷の上ではなくスケーターの方たちは滑るという方向になりそう。

今回の質問はわりと最近ファンになったという方のものが多くて、もっと突っ込んだ質問が聴きたかったなと思ったのですが(それなら自分が質問しろよって話ですが)、もう一つ印象的だったのは、今後どんな歌舞伎をやっていきたいかという質問。
「女殺油地獄」の与兵衛は元々あんなキャラクターではなかったのを松嶋屋のおじさまがつくりあげたもの。それを一つひとつ丁寧に教えていただいて大変有り難く幸せでした。僕も古典は大切にしながら現代にも通じる歌舞伎を目指していきたい。

そうして舞台に戻った幸四郎さん。
最後は客席に振付指導して、自ら舞いながら客席も巻き込んで総踊りで幕、となりました。
これまた日舞に疎くて何の曲かわからず。振りのところの印象的な歌詞を覚えていたつもりなのに帰りの電車の中ですでに思い出せないという私の海馬・・・

情けない海馬はさておき、初めてづくしの幸四郎さんディナーショー。
お料理もおいしく、心から楽しい夜でした。



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メニューには「楽しいひとときを」と手書きのメッセージつき
これも初めてかも
お料理は、オードブル・スープ・メイン・サラダ・デザート というオーソドックスなコース
夏野菜たっぷりで彩り鮮やか。おいしかったです。



7/27 松竹座千穐楽 (大阪)→ 7/28南座顔見世会見(京都) → 7/29妄想妄想歌舞伎(東京)→ 7/30早稲田大学三代襲名スペシャルトークショー(東京)→ そして 7/31 ディナーショー(京都)と、 ずっとお休みなしの幸四郎さん。
酷暑の時期でもあり、お身体だけが心配。心よりご自愛お祈りしています。



松本幸四郎として全国初ディナショー のごくらく度 (total 1941 vs 1947 )


posted by スキップ at 23:30| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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