2018年07月30日

お蘭が誘うラビリンス・・なのか? 「お蘭、登場」


oran.jpg2013年から始まった北村想さんとシス・カンパニーの日本文学シアター・シリーズ 第5弾。
太宰治 「グッド・バイ」、夏目漱石 「草枕」、長谷川伸 「沓掛時次郎」、能 「黒塚」と続いて今回描くのは江戸川乱歩の世界。


シス・カンパニー公演 日本文学シアター Vol.5
【江戸川乱歩】  「お蘭、登場」
作: 北村想
演出: 寺十 吾
美術: 松井るみ
照明: 服部基
出演: 小泉今日子  高橋克実  堤真一

2018年7月25日(水) 2:30pm サンケイホールブリーゼ 1階F列センター
(上演時間: 1時間15分・・実際は15分押し)



神出鬼没の謎の女・お蘭(小泉今日子)はさまざまな犯罪に首を突っ込み、ある時は婦人警官、またある時は科捜研の女、時には人妻と姿を変え、彼女を追う名探偵 空地(あきち)小五郎(堤真一)や目黒警部(高橋克美)を翻弄します・・・。


タイトルからして、昨年観た「お勢登場」のような雰囲気を想像していましたが全く違っていました。

資産家の男性が長持の中で謎の死を遂げるという最初の“事件”は「お勢登場」そのままですし、その後に繰り出されるエピソードも生首とか人間椅子とか、いかにも乱歩ワールドなのですが、一つの事件を掘り下げるでもなくオムニバスのように次々展開して、おどろおどろしさとも無縁な軽いコメディタッチ。
小泉今日子さんの開演前諸注意アナウンスが突然シャットダウンするオープニング、堤真一さんと高橋克実さんの楽屋落ちトークやキョンキョンの歌まで飛び出して、楽しいことは違いありません。
が、公式サイトに「北村想が軽やかに紡いだ“乱歩テイスト”な目眩く迷宮世界(ラビリンス)へ!」とあったのが、「え?ラビリンスって・・?」といささか拍子抜け感。


これはいずれも観劇後に見つけたものなのですが、
・「裏にきちっとした社会的なテーマがある知的な作品です」という堤真一さんの発言
・「江戸川乱歩のお勢登場のコラージュかと思いきや探偵小説に名を借りた戦後体勢の問題点を投げ掛けた大人のエンターテイメントだった」という八嶋智人さんのツイート

この2つとも感じ取れなかった私の感性どうよ?

しいていえば、お蘭には「冤罪で死んだ兄弟(キョウシロウと言ってたかしら?)」がいて、彼らの恨みをはらすため警察体制へ報復的な意図があるらしいというあたりでしょうか。


結末については、いろんな受け止め方ができますが、私は、空地夫人が実はお蘭で、それを空地も承知の上だったのではないかと思っています。
ただ、2人が組んで目黒警部(というか日本の警察全体)をだましていたというのではなく、空地夫妻が互いの正体を知っていながら知らないふりを装うスリリングな関係のような・・(考えすぎ?)
滝壺に飛び込んで以来姿を消したお蘭のことを「きっとまた現れる」と言う空地の表情が何とも意味深に感じられました。


堤真一さんと高橋克実さんは息ぴったりで本当のバディのよう。
お二人ともこれくらいのお芝居は軽々といった雰囲気。
衛生帽を「警部、それ何のためにかぶってるの?」と堤さん空地が繰り返し言ってもそのたびに笑っちゃうのは間がいいのと受ける高橋さんが絶妙だから。

椅子を作っている工場 → 椅子・カンパニー → シス・カンパニーという流れからのシスの社長がどれだけコワイか話なんて、リアルの顔が思い浮かぶだけに爆笑しちゃったよね。
「この歳になってマジで襟口つかまれて怒られたことある?俺、あるんだ」 by 高橋克実 とか。
このグダグダコーナー(?)、私が観た日は結構長かった様子で、「そろそろ切り上げないと、尺も長くなってるし・・」(実際、終演15分押しましたが、毎公演これ言っているようですので、完全にネタですね)からの「もういいか?」と堤さんが言って、声までパッと切り替えて台詞に入った時には一瞬会場どよめきました。役者だねぇ。

この作品限りで女優業の一時休業を発表されている小泉今日子さん。
大の男2人を振り回す小悪魔的な役はイメージぴったり。
七変化というよりコスプレにも見えましたが、どんな衣装も髪型もよくお似合いです。
いつもそうなのだけど発声が、声が響かないというか、口先だけで台詞を言っているように聞こえてしまって・・実際はそうではないのかもしれませんが・・私は苦手であります。



たった75分の上演時間なのに一部意識飛んでいるって・・・? の地獄度 (total 1940 vs 1947 )


posted by スキップ at 23:55| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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