2018年07月26日

六月博多座大歌舞伎 夜の部


image1 (9).jpg


馴染みのある演目が並んだ六月博多座夜の部。
観たことのある演目でも新しい発見や驚きがあったり、歌舞伎っていいなと改めて感じた夜でした。


松本幸四郎改め 二代目 松本白鷗
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎 襲名披露
六月博多座大歌舞伎 夜の部

2018年6月23日(土) 4:20pm 博多座 1階A列下手



image2 (11).jpg image1 (7).jpg

博多座入口には歌舞伎座ギャラリーから幸四郎さん等身大松王丸が出張。
くるりと回って後ろ姿も撮っちゃった。



一、 近松門左衛門 作
平家女護島 「俊寛」
出演: 片岡仁左衛門  中村鴈治郎  片岡孝太郎  
市川猿弥  坂東彌十郎  中村梅玉 ほか
(上演時間: 1時間10分)


初めて「俊寛」という演目を観たのが仁左衛門さんで、以来、勘三郎さん、吉右衛門さんの俊寛を観てきましたが、三つ子の魂百までも・・というか、私にとって俊寛は仁左衛門さんのイメージが強い。

舞台奥からよろけながらおぼつかない足取りで歩いてくる俊寛。
その姿、風情は言葉は語らなくても今の俊寛の置かれた境遇が見て取れて、一気に「俊寛」の世界に入り込みます。


丹波少将と千鳥の結婚を心から喜んで、まるで自分の息子、娘の幸せを喜ぶようなやさしい笑顔。
瀬尾が読み上げる御赦免状に自分の名がなく、「入道殿の物忘れか」と必死に詰め寄る姿。
丹左衛門が登場して自分も赦されて船に乗れると知った時の安堵と喜び。
船に千鳥を乗せるために一人島に残ると決めた覚悟。
そして、
御赦免船が消えていった水平線を見つめながら、ふっと微かにもらす笑み。
・・・一つひとつの表情が、所作が、言葉が、俊寛として舞台に息づいて、万感胸に迫る俊寛でした。


仁左衛門さんの俊寛で最も特徴的な演出は、御赦免船が去って行く際、心乱れて海の中まで船を追いかけ、花道のすっぽんに半身を沈めて波につかるところですが、今回座席が花道そばで間近で凝視していたら、お香の香りが漂ってきて、あら、俊寛さまってば、こんな島に流されていても風雅と思ったのでした(違)。


二、 二代目松本白 鸚  十代目松本幸四郎  襲名披露 口上
(上演時間: 20分)


坂田藤十郎さんの仕切りで、上手から
片岡仁左衛門・大谷友右衛門・片岡孝太郎・中村鴈治郎・坂田藤十郎・松本白鸚・松本幸四郎・中村魁春・市川高麗蔵・坂東彌十郎・中村梅玉 という並び。
幸四郎さんがお得意の「母が博多の出身なので自分の体には半分博多の血が流れている」を言い放っていて、客席からはやんやの拍手喝采。
気心の知れた役者さんが列座されて、1月から始まった襲名披露興行の口上で一番和やかな雰囲気でした。



三、 河竹黙阿弥 作
新皿屋舗月雨暈  魚屋宗五郎
出演: 松本白鸚  大谷友右衛門  中村亀鶴  中村壱太郎  
上村吉弥  松本錦吾  坂東彌十郎  中村魁春 ほか
(上演時間: 1時間10分)


白鸚さんの魚宗は幸四郎さん時代に何度か観たことがあります。
が、「あれ?こんなによかったっけ?」と思うくらい、とてもハマっていておもしろかったです。

世話物の白鸚さんは台詞まわしや処々に時代物の大仰な雰囲気が出ることが多くて、「・・・」となることも少なくなかったのですが、今回、いい意味でとても軽みを増した印象。

妹の死の真実を知って、禁酒の誓いを破って酒を飲み、一杯が二杯、三杯と杯を重ねていくうちに酔っぱらって手がつけられないほど暴れ、その勢いで妹が仕えていた磯部家へ乗り込むという次第が、ただの酒癖の悪い男ではなく、妹を思う兄としての悔しさ、切なさも漂わせていて、それでいて笑いのツボも外さないという緩急自在ぶり。

位の高い武家の奥方様のイメージが強くて意外な配役と思った魁春さんのおはまもとてもよかったです。



image2 (12).jpg四、 新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子
出演: 松本幸四郎  市川笑也  市川笑三郎  
澤村宗之助  中村壱太郎  大谷廣太郎  市川猿弥
(上演時間: 55分)


鏡獅子すっごくよかった。心震える。
posted at 20:51:33

これ、「鏡獅子」観終わったすぐ後の私のツイート。
ほんとに、すっごくすっごくよかったです。

幸四郎さんが本興行で「春興鏡獅子」を踊るのは、2008年 歌舞伎座、2013年 国立劇場に続いてこれが三度目だそうです。
5年前、国立劇場で観て、とても感激して「もう1回観たーい!」と思ったものですが、あれからもう5年経ったのね(遠い目)。


まず、弥生ちゃんの初々しさ、可憐さにオドロキ。
幸四郎さんは元々美しい人ですが、昼の「伊達十」でも感じましたが、今回ますます女っぷりが上がったようで、吉野と飛鳥井に手をひかれて、いやいやながら登場する弥生ちゃんの花が咲いたような可愛らしさ。
踊りも艶やか、華やかで、そんじょそこらの女方さんに全くひけを取りません。

そして獅子です。
ダンッと所作板踏みならす力強い音。
きりりとした隈取に、一つひとつピタリと決まる型の美しさ。
気迫にあふれた高速回転の毛振り。
ヤラレっ放しです。
久しぶりに・・・と言っては失礼ながら、超気合入った幸四郎さんの踊りを見せていただきました。
今回の博多座は全部の演目よかったのですが、これだけだったとしても観に行く価値あったと思うくらい。


客席の雰囲気もすばらしくて、胡蝶の舞の後、舞台には誰もいない中、客席全体がコトリとも音をたてず、張り詰めたような緊張感で息を詰めて舞台に見入っていました。そこに響き渡る傳左衛門さんの鼓・・・たまりません。

女方としての可憐さ、艶やかさと、立役としての勇壮さ、豪快さ。
その両方を併せ持って一曲の中で表現しなければならず、なおかつ華やかさも色気もある・・・松本幸四郎さんは当代最高の「春興鏡獅子」の踊り手の一人だと感じました。



博多座昼夜堪能! のごくらく度 (total 1939 vs 1943 )


posted by スキップ at 23:12| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください