2018年07月01日

「ハングマン」 アフタートーク


image1 (9).jpg当初別の日に観るつもりだったのが急遽予定変更してチケット取り直したのが公演の4日前でしたので、会場に着くまでアフタートークがあるとは知らず、「ラッキー」となりました。
終演後、舞台上ではなくホワイエで開催されるというのも初めての経験。


「ハングマン」  アフタートーク
登壇者: 長塚圭史  大東駿介  富田望生
2018年6月16日(土) 3:55-4:35pm
ロームシアター京都 サウスホールホワイエ



ホワイエにこんなふうに並べられた椅子。
このロープの前に通常ホワイエの窓際に置かれたスツールが50脚くらい並べられていて、座れない人は立って観るという感じ。
舞台を最前列で観ていたのでホワイエには出遅れるなぁ(客席一番後ろから出たところがホワイエ)と覚悟してのんびり出たら、まだ誰もスツールに座っていなくて、「何で??」と思いながらちゃっかり最前列センターに座りました。


image2 (5).jpg

向かって左から、長塚圭史さん、大東駿介くん、富田望生ちゃんでした。
トークが始まる前にはもちろんこの柵は撤去されて、大東くんが目の前数10センチの距離。
かえって緊張しましたワ。いやしかし、大東くん、色白美肌。

白いシャツにボロルック風の穴のあいた白ジャケット、黒のガウチョパンツ、素足に黒サンダルで金髪の大東くんは、背が低くて座席に届きにくそうだった富田さんの椅子を下げてあげたり、それが低過ぎてまた上げてみたり、今度は自分の椅子を高く上げて「後ろの人見えないから」と口パクで言ったりと茶目っけたっぷり。やわらかな関西弁も素敵でした。


ロームシアターの方の進行で始まったアフタートーク。
マイクがハウリングしてしまうのでナマ声でスタートとなりました。


まずは長塚さんが口火を切って「ハングマン」という作品について
マクドナーの作品を最初に演出したのは「ウィー・トーマス」で15年前。その時に初めて彼に会いました。ほぼ同世代で、向こうが3、4歳上かな、昔は猫が殺されたからってバンバン人を殺すみたいな話書いてたけど、その頃に比べたら話全体を俯瞰で見るようになって、彼も年をとったなと思いました。

翻訳ものということで、そもそも日本人がピーターとか呼ばれて外国人を演じるのはどうか、みたいな話もあって、台詞の中にできるだけ名前を出さないような脚本もありますが、今回はそれも考えず、どんどん名前も呼び合うようにしました。そこはお客さんの想像力に委ねて。こちらは衣装とか髪・・金髪にするもよし(と金髪の大東くんを見て)でできる限りの対応をしています。

言葉についても、このホンには「北」と「南」という表現が出てきて、英語では全く別の言語かというくらい違っているらしいのですが、それを日本語で表現するのは難しいということで、出演者も含めてどう表現するか考えた結果、方言を使うことにしましたが、ある方言を使ってしまうとその土地が思い浮かんでしまうので(例えば関西弁とか)、どこの言葉でもないなまりやイントネーションを試行錯誤しながらつくりました。
「ビリー・エリオット」なんかは(長塚さんの口から「ビリー・エリオット」が出るなんて、「おっ、観たんだ!」と何だかうれしくなりました)九州の言葉を使っていましたが、あれは炭鉱の話だったからね。
言葉を忘れてしまったのですが、物語に出てきた「わちゃわちゃする」的な言葉は「完全に僕の造語です」と長塚さん。


大東駿介くんは自分の役 ムーニーを
つかみどころのない人物で、人によって受け取り方が違ってくると思います。演劇って何度も同じことを演じますが、たとえ台詞や仕草が完全に頭の中に入っていても毎回ちょっとずつ何かを変えて新鮮に演じるようにしています。
稽古の休憩中、小川さん(翻訳の小川絵梨子さん)と圭史さん(長塚さんのことを大東くんは終始こう呼んでいました。若者らしい平板なイントネーションで)がムーニーは実際罪を犯したのかと話していて2人の意見が真逆だったんです。ムーニーってそういうことだと思います。自分の中でこう、というのははっきり持って演じているけど、それが全部お客さんにわかってしまわない方がいいんじゃないかと思います。

もう一つ大東くんのお話で印象的だったのは、
「この前、SWITCHインタビューで中川家の礼二さんが出てて(それ、私も観ました。文楽の竹本織太夫さんと対談された回)、漫才の舞台に出て行く時、喫茶店に入るみたいにスッと出たい、とおっしゃってて、それ僕もすごく共感して。僕も舞台に出る時はお気に入りの店に入るように自然に入って行きたいです」と。


富田望生さんは現在18歳で今回が初舞台(ここで客席からえぇ~!という声があがる)。
演じたシャーリーは15歳ので、3年前自分はどうだったかな?というところから考えて役づくりをしていって、話の中には描かれていませんが、ムーニーとの2人の時間をどう過ごしたのかと考えたり、できるだけシャーリーの気持ちに近づけていきました。

富田さんはオーディションでこの役に決まったそうで
「即決だったんでしょ?」と大東くんが長塚さんに振ると
「他にも受けた人がいますのでここだけの話にしてほしいんですけど、一発で決めました」と長塚さん。
すごく自然な感じで、普通の女の子としての演技を見せてくれて、こういう少し大きな(ぽっちゃりしたとはおっしゃいませんでした)人を探していたのですが、そういう体型の人は大抵お笑い芸人の人と同じようなものをアピールしたりするのに、彼女にはそういうとこが全くありませんでした。

ここで富田さん
「だからかもしれないんですけど、私、オーディションの時、すごく楽しかったんです」と。
ある場面の台詞を読むテストで、前後の関係わからなくてもシャーリーでいるのがすごく楽しかったそうです。
長塚さんは「みうのこと、もう初舞台とは思ってないです」


客席の一角に招待された朱雀高校演劇部の生徒さんたちの席があって、彼らは今度全国大会に出場するのだとか。
その演劇高校生からの質問が3問。

①演技する上で気をつけていることは?

長塚さん: とにかく台詞がちゃんと伝わるように心がけています。言葉を観客にきちんと聞いてもらえるように気をつけています。

大東くん: 柔軟に演技がしたいと思っています。
以前、大好きで尊敬する2人の先輩と一緒になる機会があり、1人の先輩からは「お前の演技には心がない」と言われ、もう一方の先輩からは「心なんてどうでもいい。お客さんが喜べばそれでいいんや」と正反対なこと言われましたが、どちらが正しいというのでなく、どちらも正解なんだと思います。

もう一つ、一緒に出ていた人が台詞を忘れて、自分はその人が思い出すのを待っていたのに、その人に小声で「お前がどうにかしろ」みたいなこと言われて、自分が台詞忘れたみたいなってしまって、何で?となったけど、後で先輩に「あれはお前がなんとかしなきゃいけない」と言われてて、そうか、どんな状況にも柔軟に対応していかなくちゃいけないと学びました。


②演劇をやっていく上でこれはしておいた方がいいというトレーニングは?

長塚さん: 求めてるような答えとは違うかもしれないけど、ワークショップを大切にしていてよくやります。
今回も、何もないところにみんなで輪になってあれこれ言いながらつくり上げていきました。そこ椅子ひとつあるとないとでは全然違ってくることもあります。


③高校を卒業したら役者になりたいと思っていますがどうすればなれますか

「役者になりたいの?」という長塚さんに、「はい。一旦就職して、お金を貯めてから・・・」という答えに壇上の3人も客席からも笑いが。

3人とも「就職」というワードにすごく楽しそうに反応していましたが、
長塚さんは、「僕は劇団です」ときっぱり。
入ろうと思っていた好きな劇団が解散してしまったので、自分で劇団をつくっちゃいました。
自分で劇団つくらなくても今はアンテナ張っていればオーディションもあるだろうし、劇場に劇団があったりもするし、いろいろ方法はあるはず。
と、その男子高校生をまっすぐ見ておっしゃっていました。

「高校3年生というと私はちょうど1年前で、この中で一番年齢が近い。自分が本当に何をやりたいかという気持ちを大切に自分を信じてやっていってほしいと思います」という富田望生さんの言葉には彼も共感したのではないかしら。


他にもまだいろいろ聞いたような気もしますが、かなり濃密な40分間のトーク。
「京都で好きなところは?」とか「関西の客席の反応は?」といったありがちな質問はなく、演劇に特化された深い内容でとても興味深かったです。
物語や登場人物に対する理解も深まり、3人の役者さんのお人柄や演劇に対する考え方にも接することができました。
長塚さんのワークショップの話や、みんなで話し合いながら言葉(方言)をつくっていくくだりなんて、創作の現場の一端に触れたような気持ちにもなって、これまで参加したアフタートークの中でも際立っておもしろかったです。




こんなアフタートークならまたぜひ参加したい のごくらく度 (total 1931 vs 1935 )



posted by スキップ at 22:31| Comment(2) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アフタートーク・レポ、ありがとうございます‼︎
たまたまこの日にご観劇とは……劇場の神様に愛されてますねー。
富田望生さん、全然知らない、と思ったら、初舞台だったんですね。びっくり。あの役は彼女じゃなきゃ考えられない、ってくらいハマってました。
そして、アフタートークの雰囲気がとても良かった、というのが何より。純粋にお芝居が好き!という方が集まってらしたんでしょうね。

これからも長塚圭史&田中哲司で、刺激的な舞台がいくつも見られることを願ってます。
Posted by きびだんご at 2018年07月03日 10:24
♪きびだんごさま

アフタートーク開催が発表されたのが公演の10日前くらいだった模様で
全くノーチェックでしたのでうれしい驚きでした。
まだまだ書き足りない感じではありますが、雰囲気だけでも伝わり
ましたら幸いです。

富田望生さんは私も存じ上げない役者さんだったのですが、
「それまでは映像ばかりだったので」とおっしゃっていましたので、
後で調べたら、「ソロモンの偽証」が映画初出演で、その作品も
オーディションだったそうで、プロデューサー側にとっては何か
煌めく刺激のある女優さんなのでしょうね。
(その時、役づくりのため15㎏太ったのだとか)

>これからも長塚圭史&田中哲司で、刺激的な舞台がいくつも見られることを願ってます。

本当に。長塚さんの作品の中のいろんな顔のタナテツが大好き
なので、これからも楽しみに待ちたいと思います。
Posted by スキップ at 2018年07月03日 23:47
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