2018年05月13日

柿葺落四月大歌舞伎 昼の部


misonoza201804.jpg高麗屋さんの襲名披露と新装再開場のこけら落としが重なった四月御園座。
祝祭感にあふれていました。


柿葺落四月大歌舞伎 昼の部
松本幸四郎改め 二代目 松本白 鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎  襲名披露

2018年4月20日(金) 11:00am  
御園座 1階1列センター



一、 寿曽我対面
出演: 市川左團次 中村又五郎  中村鴈治郎  中村壱太郎  
中村米吉  中村種之助  中村歌昇   市川 高麗蔵  大谷友右衛門 ほか
(上演時間: 50分)


工藤祐経の館で総奉行就任の祝宴が執り行われる中、工藤を父の仇と狙う曽我十郎、五郎兄弟が対面を願い出るお話。曽我兄弟ものの代表的な演目で歌舞伎の式美が凝縮され、祝祭劇的な色合いもあって、初春やこけら落としなどのお祝いの興行で上演されることも多い演目です。

左團次さんの工藤祐経、又五郎さんの五郎、鴈治郎さんの十郎という布陣。
いささか地味な座組かなと思いましたが、舞台の絵面は華やかでやはり祝祭感たっぷり。
悪役味のある左團次さんの工藤は大きさも貫録もあります。
血気にはやる五郎は又五郎さんにお似合いの役で、花道でカッと目を見開いて指を広げる姿も決まっています。
鴈治郞さんの十郎は初めて拝見しました。おっとり品よい上方和事風味の十郎。
お二人のバランスがいかにも兄弟味。短身丸顔兄弟× → 福々しい兄弟○

幕切れ近くに友切丸を持って花道をやってくる鬼王新左衛門が一瞬吉右衛門さんに見えて、「吉右衛門さんがこんな役を?襲名のご祝儀なのか?」と思ったのですが、舞台まで進み出ると友右衛門さんで、「そうだよね~」となりました(^^ゞ


昼の部の席は最前列かぶりつきのセンターブロック下手通路側だったのですが、目の前が種之助くん八幡三郎&米吉くん化粧坂少将という若手美形ペアのポジションでして、いやもうずっと観ていたいくらい眼福でございました(上手側は歌昇くん・壱太郎くん)。



image1 (7).jpg

襲名祝幕
開演前に撮ったら、たっつけに法被の大道具さんが花道歩くというレアな画像となりました。



二、 二代目松本白鸚
十代目松本幸四郎襲名披露  口上

(上演時間: 15分)


坂田藤十郎の仕切りで、上手から
吉右衛門・又五郎・鴈治郎・歌六・藤十郎・白鸚・幸四郎・秀太郎・雀右衛門・高麗蔵・友右衛門・左團次 という並び。
一月の歌舞伎座の口上より人数少なくて、温かくアットホームな雰囲気でした。
鴈治郎さんが、「ご当地は中日ドラゴンズですが、新幸四郎さんはあろうことかジャイアンツファン。でも今は2チーム仲よく最下位」と言うと頭を下げたまま笑う幸四郎さん。

鴈治郎さんはまた、「幸四郎さんはまるで『おもちゃ箱』のよう」とおっしゃっていて、これを受けて秀太郎さんが、「先ほど鴈治郎さんが幸四郎さんのことを『おもちゃ箱』とおっしゃいましたが、私はそうは思いません。幸四郎さんは『宝石箱』のようでございます」と。
幸四郎さんは、通常の口上の後、「おもちゃ箱で宝石箱でジャイアンツファンの幸四郎でございます」と全部引き取っていらっしゃいました。

幸四郎さんが「襲名してから父と共演するのは初めて」とおっしゃっていて、そういえばそうだったとハタと気づきました。
一月二月の歌舞伎座では、白鸚さんと染五郎くん、幸四郎さんと染五郎くんの共演はあっても、白鸚さんと幸四郎さんが演目で一緒になるのはこの四月御園座が初めてだったのでした。

歌六さんがこの場にいない染五郎くんのことを「噂の美少年」とおっしゃっていたのも笑っちゃったな。


三、三世河竹新七 作  籠釣瓶花街酔醒
序幕  吉原仲之町見染の場より
大詰  立花屋二階の場まで
出演:  松本幸四郎  中村雀右衛門  中村又五郎  市川高麗蔵  澤村宗之助  
中村米吉  嵐橘三郎  中村歌六  片岡秀太郎  松本白鸚 ほか
(上演時間: 2時間)


物語: 野洲の豪農佐野次郎左衛門(幸四郎)は幼い頃の疱瘡がもとであばた面のぶ男ですが、商いの帰り、見物に来た吉原仲之町で八ツ橋(雀右衛門)の花魁道中をひと目みて身も心も奪われてしまいます。八ツ橋のもとに通いつめ、近々身請けをする話もまとまろうとした頃、次郎左衛門は八ツ橋から満座の中で愛想尽かしをされます・・・。
この演目は、シネマ歌舞伎にもなっている勘三郎さん・玉三郎さん版の印象が強く(というか、舞台はそれしか観たことがない)、これを幸四郎さんが襲名披露の演目として初役で挑むというのは意外な感じがしました。叔父様の吉右衛門さんはもちろん、お父様の白鸚さんも持ち役にしていらっしゃるので不思議なことではないのですが。

結末を知っているので、観ている間じゅうずっと切なく、次郎左衛門が痛々しかった。
物見遊山で吉原なんかに行かなければ
仲之町で、立花屋長兵衛さんのおっしゃる通りさっさと帰っていれば
あそこに八ツ橋の花魁道中が通りかからなければ
八ツ橋が次郎左衛門に微笑みを投げかけなければ・・・

幸四郎さんの次郎左衛門は、ひと目で恋に落ちてしまった様子、もうすぐ身請けができるとうきうきしている感情がよく伝わって、田舎の生真面目な男の純愛だったのだと改めて感じます。だから、その後に待ち受ける悲劇が一層際立つ。
次郎左衛門が心の奥底に持つ屈折した闇といったもの(容姿からくるコンプレックスとか)をそれほど強く打ち出していないので、大詰めの八ツ橋殺しが少し唐突に感じられますが、それまで溜めに溜めたあの負の感情の爆発には切なさを通り越して怖いものがありました。
幸四郎さんの次郎左衛門の狂気の凄み。思いきり飛び上がって八ツ橋に刀振り下ろす迫力と動きのキレッキレなことよ。

雀右衛門さんの八ツ橋も今回が初役。
キリリとした花魁姿とは裏腹に、心根はやさしくて、儚げ。
玉三郎さんの八ツ橋のように、縁切りの台詞を冷徹にきっぱり言い放つのではなく、今にも泣き出しそうに切なく
苦しい面持ちでこの言葉を告げる八ツ橋。
心ならずも縁切しなければならない自分の意思を通すことなんてできない苦界に生きる女の悲しみが切々と伝わってくるようでした。

勘三郎さん・玉三郎さん版で片岡仁左衛門さんが演じた八ツ橋の間夫 繁山栄之丞は歌六さん。
少しやさぐれた大人のオトコ。「色悪」といった感じは少し薄めかな。

立花屋女房おきつの秀太郎さん。こんな役は秀太郎さんの独壇場です。
訳知りでいかにも花街の女将という抜け目なさを持ちつつ、ちゃんと筋を通し、次郎左衛門にも温かい情を見せるおきつ。こんな役は秀太郎さんの独壇場です。


あと味悪い結末ではあるけれど、とても見応えのある演目。
幸四郎さんがさらに練り上げて、高麗屋さんのお家の役として継承していかれることでしょう。




見どころたっぷり御園座昼の部 のごくらく度 (total 1911 vs 1914 )





posted by スキップ at 12:47| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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