2018年02月24日

二月大歌舞伎 昼の部


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二月大歌舞伎 昼の部は高麗屋三代で出演するのは幸四郎さんだけ。口上もないので通常の歌舞伎公演のような趣きですが、幕開きを祝う高麗屋さんの名前が入った舞踊に始まって、バラエティ豊かな演目が並びました。


歌舞伎座百三十年
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎  襲名披露
二月大歌舞伎 昼の部


2018年2月8日(木) 11:00am 歌舞伎座 3階1列センター



一、春駒祝高麗
出演: 中村梅玉  中村芝翫  中村梅枝  中村梅丸  
中村米吉  中村錦之助  中村又五郎  
(上演時間: 16分)


幕開き、舞台中央にセリ上がってくる4人。
品格ある梅玉さんを囲む梅枝くん、米吉くん、梅丸くんの並びが綺麗で華やかで眼福。
3人の中ではさすがに梅枝くんの舞や所作が美しかったけれども若く初々しい2人も観ているだけで笑顔になります。
初めての演目でストーリーも知らずに観ていて、花道から登場した春駒売りの2人(芝翫さん、錦之助さん)の踊りで「これって曽我十郎、五郎みたいじゃん」と気づく・・・みたいじゃなくてまさにそれだった訳ですが。
そう思って観ると梅玉さんなんて工藤祐経そのもので、もっと早く気づけよ自分、という感じ。


 二、一條大蔵譚  檜垣・奥殿
出演: 松本幸四郎  中村時蔵  片岡孝太郎  尾上松緑  
嵐橘三郎  澤村宗之助  中村歌六  片岡秀太郎 ほか
(上演時間: 1時間29分)



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楽しみにしていた幸四郎さんの一條大蔵卿。
檜垣で走り出てくる大蔵卿のふんわりとした可愛らしさは無敵。
公家らしい品と匂うような美しさを保ちつつ、子どものように無邪気で愛嬌があって、それなのに時折孤独で不安気な目をするところが何とも母性本能をくすぐられてたまりませんな(贔屓目)。
奥殿では、凛々しさの中に、ずっと作り阿呆でいなければ生きて来られなかった悲痛、切なさがヒシヒシと伝わってきました。長刀を遣う動きの大きさ、美しさも印象的でした。
この場での正気と作り阿呆の切り替えが緩め、というか落差がそれほど大きくないように感じましたが、最後に再び作り阿呆に戻る大蔵卿の姿には涙がこぼれそうになりました。

秀太郎さんの鳴瀬、歌六さんの勘解由がとてもよかったです。
あんな卑劣でいやな奴だけど、鳴瀬の夫である勘解由への情愛が見えるようでした。
松緑さん、孝太郎さんの鬼次郎、お京夫妻はどちらもキビキビ・・・だけど少し地味かなぁ。
実務的な鬼次郎、お京という雰囲気。
雀右衛門さんは「井伊大老」に出るし常盤御前誰?と思ったら時蔵さんでした(^^ゞ
さすがに品格も、清盛の思い人になるほどの美しさも感じられる常盤。


、歌舞伎十八番の内  暫
出演: 市川海老蔵  中村鴈治郎  片岡孝太郎  市川右團次  
坂東彦三郎  坂東亀蔵  尾上右近大谷友右衛門  市川左團次 ほか  
(上演時間: 55分)


海老蔵さんの鎌倉権五郎を観るのは2012年3月の平成中村座以来でした。
歌舞伎十八番の荒事がよく似合う当代一の鎌倉権五郎役者であることは間違いありませんが、平成中村座で観た時の舞台からはみ出るような、花道横のお客様の首をはねるんじゃないかといった勢いや豪快さがそれほど感じられませんでした。私の席が3階だったせいもあるかもしれませんが、出の時の「しばらく し~ば~ら~く~」という声も「さあ、来るぞ来るぞ!」という迫力がさほど感じられず。

尾上右近くんも「二月歌舞伎座への出演が急に決まった」とおっしゃっていて、この演目だけご出演ですが、成田五郎が右團次さんだったことにもびっくり。右團次さんもこれだけ。
赤面で3階からでは顔がよくわからず、でも声は右團次さんなんだけど・・・と何度もオペラグラスで確かめたのでした。
あとは彦三郎さんのよく通るお声が際立つ。



四、井伊大老
作・演出: 北條秀司
出演: 中村吉右衛門  中村雀右衛門  市川高麗蔵  中村歌六  中村梅玉 ほか
(上演時間: 55分)


「井伊大老」は苦手な新歌舞伎の中にあってはおもしろくて好きという印象の演目ですが、2017年1月2014年11月と結構間近に観てるし、もういいかなと思いつつ、観るとやっぱりしみじみよかったです。
赤い毛氈を敷いた華やかなひな壇と、ひな祭りなのに雪が降るという設定も今の季節にぴったり。

「自分は国のために幸せも捨ててわが身を砕いているのに、鬼畜と呼ばれ後世にも理解してもらえぬ」という井伊直弼のもどかしさ、苦しみが痛いくらい胸に響きます。
「生まれ変わってもお前と一緒にいたい」
「生まれ変わっても大名にはなりたくない」
直弼にとって、自分を理解してくれる者はお静ただ一人で、だからこそお静の前だけで弱さも迷いも哀しさも見せることができたのだろうと思いました。

ともにで過ごしてきた時間、その重みと愛情の深さが感じられる二人の会話。
直弼の大きさも信念も、悲嘆も無念も、静かな語り口の中に余すところなく表現する吉右衛門さんすばらしい。

お静→昌子と観た雀右衛門さんは、本来のニンからすれば昌子の方だと思いますが、直弼のすべてを受け容れて包み込むようなお静、よかったです。



昼夜ともに楽しかった二月大歌舞伎。とはいえ、やはりどちらも1階で観たかったなぁ のごくらく地獄度 (total 1879 vs 1884 )


posted by スキップ at 22:46| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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